参院選(20日投開票)でも躍進を期す国民民主党は世論の不信を解消できるのか。候補者選定をめぐる緩さは前哨戦の東京都議選でもくすぶっていた。

陰謀論などを追うウオッチャーの黒猫ドラネコ氏がリポートする。


 国民民主が都議選に擁立した18人中9人が当選。都議会に初めて議席を得て勢いづくが、かねて問題視されているのが奥本有里氏(新宿区)だ。スピリチュアルカウンセラー「リリーアルバ」を名乗って関連商法に加担した疑いがあり、SNSなどで疑惑が渦巻いている。


「リリーアルバ」は2020年ごろまで資格商法のような手法でカウンセラーを育成。「薬を使わずがんや病気を起こしている細胞にエネルギーを送り活性化させる」という「万能細胞DNAクリアリングセッション」(60分2万円)などの科学的根拠が不明な施術を広めていた。奥本氏は15年設立の「株式会社Lilly Alba」の代表取締役だったほか、13年設立の「一般財団法人日本スピリチュアルカウンセリング協会」の代表理事も務めていた。両者の所在地が同一だった時期がある。


 国民民主が奥本氏に衆院選(東京3区)の公認内定を出した昨年2月、SNSで問題を指摘した山口貴士弁護士(リンク総合法律事務所)はこう言う。


「一番の問題はワラをもつかみたい思いの人に対し、薬に頼らず短期間で効果を得られると断定的に述べ、標準治療から遠ざけてしまうこと。景品表示法(優良誤認表示の禁止)に違反する可能性が高い。勧誘方法や施術説明によっては不法行為に該当する余地もある」


■都ファ時代に区議2年


 奥本氏は昨年3月に自身のブログで「法令違反をしたことは一切ない」と釈明。

父親が俳優の秋野太作氏であることから「一般人より書かれやすい」とし、「選挙のたびデマや中傷、フェイク画像が拡散された」「これに関して今後私が申し上げることはありません」などと書いていた。都民ファーストの会公認で19年の大田区議選で当選し、1期目途中で21年の都議選に出て落選した過去がある。奥本氏は「リリーアルバ」としての痕跡を大量に残している。「フェイク画像」だと主張するのであれば、「自分はリリーアルバではない」となぜ明言しないのか。不可解だ。


 先月の都議選で玉木代表は奥本氏とマイク納めをするほど力を入れていた。事実関係の確認や擁立した経緯説明を求め、都連に質問状を送ったが、期日までに回答はなかった。国民民主はスピ容認政党なのか──。そうした非難は消えない。


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 自民党の鶴保庸介参院議員が、参院選和歌山選挙区の応援演説で「運のいいことに能登で地震があった」などと発言し、大炎上。ただでさえ苦戦している自民公認の二階伸康候補は、大ピンチ!●関連記事【もっと読む】『自民・鶴保失言「運のいいことに地震」で苦戦の二階ジュニアに赤信号…参院選“仁義なき紀州戦争”決着か』で詳報している。


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