26日放送の「痛快!明石家電視台」(MBSテレビ)で、2010年公開の北野武監督(78)の映画「アウトレイジ」のエピソードについて語ったのが、俳優の椎名桔平(61)。当時46歳の椎名は“全員悪人”のキャッチコピーの「アウトレイジ」シリーズの第1作に出演。
クランクイン前に監督の招きで開催された中華料理店での食事会の様子について、椎名は次のように語った。
「15分ぐらい一言もしゃべらないんですよ」
三浦友和(73)、北村総一朗(89)、加瀬亮(50)など、そうそうたる顔ぶれが集ったが、しばらくの間、誰も話すことも料理に手を伸ばすこともなかったため、椎名が口火を切って加瀬とともにエビチリに手を付けたという秘話を明かした。
「アウトレイジ第1弾は興行収入7.5億円のヒット作となりましたが、当初ここまでヒットするとは予想されていませんでした。第1弾のヒットで2弾、3弾と続きましたが、公開にこぎつけるまであまたの困難に見舞われています」(芸能ライター)
12年公開の「アウトレイジ ビヨンド」のクランクイン直前に直撃したのが、芸能人と暴力団の黒い交際問題だった。11年8月、暴力団との交際が発覚した島田紳助さんが電撃引退。10月には東京都で暴力団排除条例が施行された。
「第1弾は刑務所の中で中野英雄が演じた木村に大友が刺されたところで終わっています。第2弾では大友が生存しているほかに、木村を再び出演させなければストーリーが成立しません。しかし、中野には暴力団との黒い交際の噂がありました。そのため、北野監督は頭を抱えたといいます」(前出・芸能ライター)
■中野英雄の“暴力団絶縁宣言”
当時、Vシネマを主戦場にしていた中野は“闇金の帝王”と呼ばれた山口組系暴力団幹部と銀座で飲み歩いているところを目撃されている。そこで、当時たけし(北野監督)と親交があった筆者は「週刊実話」で中野に“暴力団絶縁宣言”をさせている。
「ビヨンドの台本ができあがっているときに、監督は芸能界の重鎮から高橋克典の出演を打診されました。今さら書き換えられないため、高橋はセリフのないヒットマン役で起用されることになったのです。セリフがなかった結果、『凄みが増した』と監督はご満悦でした」(映画関係者)
全くの素人にもかかわらず、在日フィクサーの張大成という重要な役に起用されたのが金田時男(88)だ。
「横浜在住の実業家の金田氏とは、監督と金田氏の息子さんの関係から交際が始まっています。金田氏自身から頼まれて起用することになった異色の存在でしたが、第3弾の最終章でも本職顔負けの演技と好評でした」(前出の芸能ライター)
功労者と言われているのが、故・西田敏行さん(享年76)と塩見三省(77)だろう。
「最終章の打ち合わせに、大病を患っていた西田さんと塩見さんが重症患者のようにようやくたどり着いた様子を見て、撮影に不安を覚えたようですが、本番では役者魂を発揮した2人に感服していました」(前出の映画関係者)
今でも語り継がれるアウトレイジシリーズの裏側には、さまざまな物語が存在していたのだ。
(本多圭/芸能ジャーナリスト)
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“役者魂”が語り継がれるのはデマに見舞われながら、俳優を貫き通した西田敏行さんについて。【関連記事】で詳報している。