7月26日、27日に横浜・山下ふ頭で開催されたMrs.GREEN APPLEのデビュー10周年記念野外ライブ。2日間で計10万人を動員するバンド史上最大規模のイベントだったが、想定外の騒音問題が発生した。
運営側は後日「当日の風向きが影響して想定以上に広範囲に音が拡散した」と謝罪したが、そもそも風向きは音の伝播に関係するのだろうか。ウェザーマップの杉江勇次気象予報士は言う。
「風向きは非常に重要です。音というのは空気の振動で伝わっていくので、風が吹いている方向により遠くまで伝わりやすい。飛行機が上空10キロを飛んでいても音が聞こえるように、障害物がなければ大きな音は10キロ以上伝播可能です」
実際、当日のYahoo!天気アプリでは北方向の川崎エリアに《騒音すごい》という書き込みが集中していた。問題は当日の気象条件にあったようで、杉江氏がこう分析する。
「26、27日は南から高気圧に覆われ、基本的に南風(※北向きの風)が吹く気圧配置でした。さらに内陸で38~39度の猛暑となり、海陸風が異常に強く吹いたのです。内陸が暑ければ暑いほど、そこに向かって海風が強くなる。この2つの要因が重なり、平均10メートル、最大瞬間風速15メートルの南風が夕方から夜にかけて吹いていました」
まさにライブの時間帯と重なったのだ。
「横浜埠頭から北方向は東京湾という平坦な海面で、音を遮る障害物がありません。運営側は音が海側に向かって減衰すると想定していたでしょうが、猛暑による想定外の強い南風で、音が北方向に運ばれてしまったのです」
■夏の猛暑が騒音トラブルの原因?
興味深いのは季節性だ。
「冬は北風が卓越するので、同じ場所からの音は南方向の市街地に向かいます。しかし南方向は建物が密集しているため、音は建物に遮られて遠方まで届きません。今回は海方向への伝播だったので問題になったのです」
運営側にとってはまさに想定外だっただろう。一般的な海風の範囲を超えた、猛暑による異常な気象条件が騒音トラブルを招いた。
「今後も同様の猛暑が続く可能性があり、海陸風がさらに強まるかもしれません。音や臭いに関する問題の増加が心配されますね」
気候変動時代の新たなトラブルの火種と言えそうだ。
(取材・文=いからしひろき/きいてかく合同会社)
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