ももいろクローバーZが8月2、3日、神奈川・横浜スタジアムで3年ぶりの夏ライブ「ハマの夜祭り番長襲名記念 ももクロ夏のバカ騒ぎ2025 in 横浜スタジアム」を開催。2日間で延べ5万8721人の「モノノフ」(ファンの通称)を熱狂させて、三十路アイドルの底力を誇示した。


 夏のスタジアムライブはアーティストの定番だが、大前提として数万人規模の観客動員を見込めなければ実現できない。オープンスペースならではの花火やウオーターキャノン(放水)ほか演出も制作費も莫大とあって、選ばれし者しかそのステージに立てない。


 ももクロは、今年結成18年目を迎えた。メジャーデビューした2010年から活動の中心をライブに定めてきたが、メンバー全員がアラサーとなったいまなお同一メンバーで単独のスタジアムライブを開催できる。これは、奇跡に近い。


 デビュー時は6人グループだったが、11年に早見あかり(30)、18年に有安杏果(30)が脱退。それでも増員せずに百田夏菜子(31)、玉井詩織(30)、佐々木彩夏(29)、高城れに(32)のスタートメンバーで活動を継続した。


 結成当初は中学生だった佐々木は、ももクロ唯一の20代となった。高城は22年に北海道日本ハムファイターズ(現在は中日ドラゴンズ)の宇佐見真吾(32)とグループ初の結婚をしたが、翌23年に離婚。その翌24年には、百田がKinKi Kids(現DOMOTO)の堂本剛(46)と電撃婚。トップアイドル同士の“ノーマーク婚”は、世間を驚かせた。


 アイドルにとってはマイナスでしかない脱退、結婚、離婚をエネルギーに変換できた背景には、モノノフと呼ばれる熱狂的なファンの存在が大きい。


 モノノフは、世間知らずで歌もダンスもそこそこレベルの少女たちが努力を続け、立派な成人女性になる成長過程を親心同然で見守ってきた。2010年代以降の女性アイドル戦国時代には、常にAKBや坂道グループ系と比較され、令和に突入後は抜群のダンススキルと歌唱力で跳躍したグローバル女性ユニットにセールス面で後塵を拝したが、モノノフは“推し変”しなかった。この互助ともいえる関係性が、ももクロ最大の武器となった。


 横浜スタジアムでのライブでは、メンバーの呼びかけによる挙手と返事で、ファン層が子ども(チビノフ)から80代まで幅が広いことがわかった。メンバーがブランドプロデュースやモデルもしているせいか、女性ファンも増えている。


 来年は、全員が30の大台に乗る。ももクロは、女性アイドルの賞味期限という高き壁をぶち壊す可能性大だ。


(取材・文=伊藤雅奈子)


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