「石破おろし」の熱は冷めつつあるのか。
事実上、石破首相への退陣要求となる「自民党総裁選前倒し」の是非を巡り、総裁選挙管理委員会が27日、党所属国会議員への意思確認の方法を決定する。
前倒し実施には党所属国会議員295人と都道府県連代表47人の計342人のうち、過半数の172人以上の要求が必要だが、この「172人の壁」を超えられるかは微妙な情勢。ただでさえ、記名式になり「腰砕けになる議員が出てくる」(同前)といわれている上、ここにきて、都道府県連も日和りつつあるからだ。
時事通信が47都道府県連の幹部を対象にアンケートしたところ、前倒しを「実施すべき」と答えたのは、半数に満たない21道府県にとどまった。「実施すべきではない」は2県で「分からない」が16県、8都府県が無回答。過半数が曖昧な態度を取っている状況だ。無回答だった東京都連の関係者はこう言う。
「もう機を逸している」
「『石破ヤメロ』と言っている議員の声は大きいけど、もう機を逸している感があるよね。『石破の顔を代えれば支持を取り戻せる』と甘い考えを抱いていることを、国民にスッカリ見透かされている。参院選の惨敗を受け、即座におろしにかかればまだよかったが、時すでに遅しですよ。石破総理は責任を取るべきだとは思うけど、いったん冷静になるべき。
地方議員は国会議員よりも有権者との距離が近いだけに、常々「自民党はどうなってるんだ」「裏金議員を何とかしろ」「また党内政局か」と批判にさらされている。だから、より厳しく今の状況を見ているわけだ。
安倍元首相の地元で保守王国の山口県内の地方議員はこう言う。
「国際情勢が混迷を極める中、日本はトランプ関税に振り回されている。政治空白をつくって党内政局をやっている場合じゃないでしょう。そもそも、地元では『裏金事件の総括が先だ』という声が上がっている。組織的な裏金づくりに手を染めた旧安倍派の幹部が『石破おろし』に蠢いている現状に、みんな呆れ返っていますよ」
国会議員の態度も微妙だ。日本テレビが党所属の国会議員295人に意向調査したところ、答えたのは251人で、前倒し総裁選を「行うべき」は120人と半数未満。「必要ない」は41人で「決めていない」などが90人。44人が未回答だ。
「名前を公表しないアンケート調査で、『決めていない』と『未回答』の合計が134人もいたわけですが、彼らが記名式の意思確認で『行うべき』と堂々と名前出しで答えるとは思えない。
172人の賛同が得られなければ、逆に石破首相を信任したということになる。反石破派は振り上げたこぶしをどこに持っていくのか。
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