「石破おろし」を巡って、ついに“ボス猿”が動き出した。


 自民党麻生太郎最高顧問が3日、横浜市内のホテルで開いた麻生派の研修会で講演した。


「私自身は総裁選前倒しを要求する書面に署名し、提出すると決めている」と明言。石破首相に事実上の「退陣要求」を突きつけた格好だ。前倒しには、国会議員と都道府県連代表者計342人の過半数「172人」の賛同が必要だが、麻生氏の一声で反石破派が勢いづく可能性がある。


「前倒しに賛成の場合、記名の上、公表もされますから、多くの議員が尻込みするとみられています。しかし、麻生さんが声を上げたことで皆、意思表明しやすくなったはずです。今後、賛同者が続々と出てきてもおかしくありません」(官邸事情通)


 前倒しを見越して、自民党議員の目線は臨時総裁選に向きつつある。総裁選そのものを巡っても、麻生氏がカギを握っている。党内に唯一残る麻生派の所属議員は43人。それだけの「数」を持つ麻生が誰を担ぐか──、永田町関係者の注目がそこに集まっているのだ。「高市前経済安保相ではないか」と言うのは、ある自民党事情通だ。


「麻生さんは現状、誰が勝ち馬か様子見している段階だとは思います。ただ、前回総裁選では高市さんを支援。

終了後、『石破政権は短いかもしれねぇ。だから、用意しとけ』と高市さんに伝えています。一方の高市さんも、7月の参院選直後、自らに近い議員10人と会合し、その足で麻生さんと面会している。まるで『私の後ろには麻生さんがいる』と言わんばかりの動きでした」


 今月2日の両院議員総会後、高市氏は「組織がうまくいかなかった時のリーダーの責任の取り方については、自分なりの考え方がある」と、事実上、石破首相に退陣を要求。同日夜、やはり自身を支持する若手議員約10人と会食し、総裁選への対応について意見を交わした。既に、参院選中に「私なりに腹をくくった」と、総裁選への出馬に意欲を示しており、ヤル気は十分。「ポスト石破」に向けて蠢いている。


「参院選で高市さんは数多くの陣営の応援に入りました。あれは総裁選に向けた“選挙対策”です。参院議員の票だけでなく、地方の党員票の積み上げを狙ったのは明らか。安倍元首相の地元・山口には参院選の応援だけでなく、選挙後にも入りました。参加したのは地元支援者100人程度の小規模集会です。

大きな集会に出てしまうと、安倍さんの政敵で山口県選出の林芳正官房長官にバレてしまう。林さんは総裁候補の一人でもあるため、あまり刺激しないようコッソリ動いているようです」(山口県政関係者)


■支持の広がりがイマイチ


「次の首相」の上位常連の高市氏。一定の人気があるのは確かだが、果たして勝算はあるのか。「どうですかねぇ」と懐疑的なのは、ある自民党関係者だ。


「前回総裁選で高市さんの推薦人に名を連ねた20人のうち、9人が落選や引退でバッジを外しています。ちょくちょく開く会合でも、集まるのはいつも10人程度。現状、彼女を支援する議員はそのレベルで、広がりがありません。麻生さんはそんな高市さんを見限った、とも言われている。それに、国際情勢が混迷を極める中、高市さんで大丈夫なのか、とも思いますね」


 空振り必至だ。


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「石破おろし」をめぐる自民党の醜悪な内ゲバについては、関連記事【もっと読む】【さらに読む】などで詳しく報じている。


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