【テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】


 そうなんですよねー。俳優の清水尋也容疑者が大麻で突然の逮捕ですから、驚きました。

僕はTBS系ドラマ『19番目のカルテ』をとても楽しみに毎回見ていたので、最終回を前に逮捕って…というので心配です。最終回を盛り上げるという意味もあってか、ドラマだけでなく他の番組にも「番宣稼働」で出演することになっていたみたいですもんね。今頃、各番組のスタッフが必死で当該俳優さんを編集で「消す」作業を必死になってやられていることだと思います。バラエティーなどの番組では、じつは「出演者をひとり編集で消す」のは比較的簡単です。手間と時間はかかりますけれど。カメラも何台も回してますし、尺も長めに収録してますからね。結構キレイに消すことができます。


 それに比べてドラマは大変ですよね。ストーリーが通じなくなる危険性がありますし、バラエティーほど何台も同時にブン回してるわけじゃなくて、ある程度カット割りが決まった上で撮影してますからね。本当にご苦労さまだと思いますよ。『19番目のカルテ』最終回が、少しテンポが悪くなったりストーリーが変になったりしないことを祈ります。好きなドラマですので。

そういう意味では今度の日曜日が逆にとても楽しみだったりもしますけどね。どうやって切り抜けたのか? ディレクターのお手並み拝見です。


■編集基準やルールは決まっていない


 さて、「出演者の不祥事の時の対応ルールが決まっているか」という質問の答えですが、ハッキリしたルールはありません。まあ、「逮捕されたらアウト」とか、「SNSで特に女性が怒ってたらアウト」とか、「スポンサーが難色を示しそうならアウト」とかがだいたいの基準かな? と思いますけど、出演部分をカットするとか放送自体を取りやめるとかは、個別のケースごとに局の編成担当者や制作上層部が横並びの局の対応を見つつ決めることになります。


 局員的な立ち位置から言わせてもらうと、一番大切なのは「局として、やれるだけのことはやったか」だと思います。例えば、不祥事が明らかになった直後に放送! とかだとこれはもう対応しようがないわけですし、ドラマの主役俳優が不祥事とかなれば「もはや消しようがない」わけですから、「エイヤッ」で放送しちゃうしかないわけです。「限られた時間と条件の中で、最大限誠意を尽くしました」というのが大切なわけで、世間さまに「おまえも頑張ったな」と思われたら許される、という感じでしょうか。


 そして制作現場的に言わせてもらうと、一番大切なのは「とにかく早く決めること」です。放送前だととにかく時間がない。編集スタジオとかも緊急で押さえなければなりませんし、各方面に連絡も必要ですし、何より編集って結構時間がかかりますからね。時間がないと変なミスや問題が追加で発生しかねません。


 あまり悩みすぎずに、方針をバチっと決めてスピード対応してしまうこと。

「出演者の不祥事」で「局に責任がない場合」の対応ではこれが何より大切です。もちろん「制作側の不祥事」の場合は話は別です。これは、真摯に、キッチリと対応しなければもちろんアウトですけどね。


(鎮目博道/テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人)


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