【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#256
山本浩之さん
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関西では抜群の知名度を誇るフリーアナウンサーのヤマヒロこと山本浩之さん。関西テレビ時代に「FNNスーパーニュースアンカー」という番組で、アンカーマンと構成の間柄でした。
正義感が強く曲がったことが大嫌い、仕事への情熱はエネルギッシュで私も含めてスタッフにも時には厳しく接しておられましたが、それもすべては番組のため。みんなが納得をして熱い言葉を聞いていました。ヤマヒロさんの名前を一気に広めたのは1998年1月7日放送の「クロスファイア」という番組で世紀のカミングアウトをされた神回です。帽子をかぶっていたヤマヒロさんにスポットライトが当たり「実は私、ハゲてました」と帽子を脱いだのです。この一件はワイドショーやスポーツ新聞にも大々的に取り上げられて大反響を呼びました。
番組内では「真実を伝えるべきアナウンサーが隠していていいのか」という疑問にかられたとおっしゃっていましたが、後年「アナウンサーという職業柄プライベートでもカツラをつけざるをえず、子供たちとジェットコースターに一緒に乗れないなど、わずらわしさが多かったので(当時やっていた)ニュース番組の降板とともに決心した」とおっしゃっていました。
そんなヤマヒロさんのカツラ時代、トミーズ雅くんと特番で、ヤマヒロさんの頭にマジックで使われたオウムが止まった。その瞬間「雅さんお願いします!」とスタジオの裏へ走りこんで消えてしまい、芸人的にオイシイと思った雅くんは「なんで逃げんねん!」と激怒。後日、ヤマヒロさんが雅くんの番組のゲストに出演し「ホンマにこのオッサン何をすんねんて、むちゃくちゃ腹立ちましたもん」「あの時はあらためてすいませんでした。オウムにカツラを持って行かれたらえらいこっちゃて、必死やったんです」とのことで大爆笑。家ではカツラを外してたそうで「取ってましたけど、いつ誰が来るかわかりませんやんかー。せやから、チャイムがピンポ~ン♪ て鳴ったら、息子がカツラを投げてパスしてくれてました。
「アナウンサーになって一番やりたかったのはラジオ」というヤマヒロさんの勤める関西テレビにはラジオはなく、フリーになったいまは、大好きなラジオで思う存分しゃべっていらっしゃいます。これからもラジオ・テレビはもちろん、さまざまな媒体を通じて、熱いヤマヒロ節を聞かせてくださることでしょう。
(本多正識/漫才作家)