【城下尊之 芸能界ぶっちゃけトーク】


 女優の吉田羊がトーク番組で、先輩の三浦友和(73)について「先日、(俳優仲間で)ご飯会を開いて、お店も友和さん自ら予約してくださって、最後はさらっと支払いをしてくださるんです。本当にすてきです」と語っていた。


 その発言が記事になっていたが、なんとなく“違和感”を持ってしまった。当然のことながら、俳優仲間の中で友和が大先輩ということになる。僕らの世代でいえば、先輩が若手と飲み会や食事会をすれば、支払いは上の人がするのが当然だと思うのだが、今は時代が違うということか。


 聞くところによると会社の上司が誘っても“割り勘”が普通で、若手は上役と飲みに行くのが嫌で、断るのが当たり前なんだそうだ。まあ、吉田羊もそういう感覚でいるのだろう。


 僕なんぞは、俳優におごってもらった記憶ばかりだ。例えば、少し年上の三田村邦彦(71)。大阪の番組で2年以上、ご一緒させてもらったことがある。生放送の番組で芸能リポーターが4人、毎週レギュラー出演していて、東京に戻る新幹線を同じにして一杯やるのが定番だった。彼はいつも中華料理などを手配してくれ、楽しい時間を過ごしたものだが、その支払いは考えたこともなかった。


 三田村が故・中山麻理さんと離婚した際には、そのリポーターらが集められ、「僕の主張を伝える必要はないけど、離婚に至る事情を全部話すので頭の中に入れておいて欲しい」と伝えられた。こと細かに話してくれたが、彼の人柄はわかっていたので理解しやすかった。


 番組で何度か共演した中条きよし(79)は「今日は焼き肉を食べに行こう」とよく共演者たちを誘ったが、そろそろお開きの頃にスッと席を立った。財布から札束を抜き出して帯封をスパッとやぶっていたのを横目に覚えている。


 松方弘樹さんとも何度も会食したが、ある時、指定の店に数人で集まっていると、本人が急用で出席できないと伝えてきた。ところが、まだ注文もしていないのに、店の主人から「勘定は終わっています」と言われたものだ。ちなみに、メニューに単価が書かれていない高級ステーキ店だった。


 ところで、吉田羊とは九州の同郷で、交流のある近くの高校同士だったので、そう伝えたことがあった。すると彼女は「あっ、じゃあ、何度か行った学園祭で会ってたかも……」と返してきたが、僕が年齢が違い過ぎると話したら、「そりゃそうね」と笑った。そんな素直さが思い出される。


(城下尊之/芸能ジャーナリスト)


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