目まぐるしい展開から、“ダイジェスト朝ドラ”などと一部で揶揄されているNHK朝ドラ「風、薫る」。第2週「灯の道」も、まさに疾風のごとく駆け抜けた1週間だった。

そんななかでも、しっかりと爪痕を残したのが、ヒロイン・りん(見上愛)の結婚相手・奥田亀吉を演じた三浦貴大(40)だろう。


 飛脚から運送業を興し、一代で財を成した亀吉。羽振りはいいが、家柄はなく、学もなく、母親には頭が上がらない。大酒飲みで、酒乱で、妻に暴力をふるうわ、家が火事になっても妻と娘を置き去りにして、「お母ちゃ~ん」と自分だけ逃げるクズっぷり。少ない出番ながら、出てくるたびに不快感をまき散らし「こんな男と結婚したら最悪!」と視聴者に思わせる“クズ夫”を見事に演じきった。


 亀吉がイヤなやつであればあるほどりんへの同情が湧くというもので、これがなまじいい人であれば「亀吉、そんなにひどいか!?」とか「りんもりんだよ」などと亀吉擁護論が出てくるかもしれない。それでは困るのだ。りんが婚家を逃げ出しても当然だと視聴者に思わせるためには、亀吉が徹底してヒールでならなくてはいけない。そういう意味で三浦は最高の働きをしたといえる。


■「百恵ちゃんの息子」という信頼感


 それにしても、注目度の高い朝ドラでこんなクズ夫を演じたにもかかわらず、世間の評価は下がらず、それどころか「栃木ことばが完璧!」「演技がうまい!」「存在感ハンパない」など、むしろ好感度が逆に上がったことに驚いた。どんなに悪い役を演じても、視聴者は三浦が好青年(といっても現在40歳だが)なことはよく知っているからだろう。あの百恵ちゃんの息子が悪い男のはずがない! と。


 2010年に俳優デビューした三浦貴大。三浦友和を父に、山口百恵を母にもつサラブレッドだ。とはいえ親の七光で華々しくデビューした、という印象はなく、むしろ自分の力でコツコツと俳優道を歩んできたイメージがある。


 学生時代はライフセービング部に所属。そのマッチョな身体で「ファイト一発!」でおなじみリポビタンDのCMキャラクターをつとめていたこともある。20代の頃は好青年を演じることが多かったように思うが、年齢とともに役の幅も広がり、直近では、映画「国宝」で演じた竹男もいい味を出していたと評価が高い。朝ドラ出演は今回が2度目。前回の「エール」では、博多弁のバンカラ、早稲田大学応援団部の団長を演じた。



夫というより「下僕」に見える高嶋政宏

「風、薫る」にはもうひとりサラブレッドが出演している。大山巌役の高嶋政宏(60)だ。父は俳優・高嶋忠夫、母は元宝塚歌劇団で星組トップスターの寿美花代、妻はシルビア・クラブ、弟は俳優・高嶋政伸、従妹に高嶋ちさ子と、まさに芸能一家だ。


 初めて登場した際、その第一声「ウイ・マダム・ボン」だった。

“ボン”というのは彼の父・高嶋忠夫の愛称で、それと引っかけたのかと思ったが、そもそも、高嶋忠夫が“ボン”と呼ばれていたことを知る人がどれだけいることか。シニアに向けてのギャグだったとすれば愉快なのだが……。


 それはともかく、大山の役どころは多部未華子演じる“鹿鳴館の華”と呼ばれる大山捨松の18歳年上の夫で、娘ほど違う捨松の言うことを何でも訊くなど、見ようによっては夫というより妻に尽くす下僕のようにもみえる。


■彼の「性癖」が忘れられない


 実は高嶋、過去に「変態紳士」なる本を上梓しており、当時はトーク番組などで、自身のSM好きや妻への愛情表現として「こめかみを吸う」などといった自らの性癖を嬉々として語っていた。昨今の風潮から、そういったことは無かったことにされているが、あの時、見せられた変態キャラのイメージがどうしても離れず、大山巌が「変態紳士」にしか見えないのだ。多部ちゃんのこめかみが吸われるじゃないかと気が気でない。


 三浦貴大、高嶋政宏――2人の“2世俳優”に注目だ。


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