年末年始を海外で過ごそうとする人の中には海外でレンタカーを借りてドライブ旅行を楽しもうという人も少なくないだろう。そこで、今回は海外ドライブに必須の免許証について書いてみようと思う。

手数料を支払って免許センターに出向き、国際免許証を発行してもらう必要がないケースもある。

海外でレンタカーを使うとき「国際免許証よりも大事なもの」とは…

■海外ドライブに必要な免許とは?

海外ドライブに必要な免許証といえば普通は国際免許証を思い浮かべるだろう。もちろん、国よって国際免許証は必要だ。しかしこれより最も大事なもの……それは日本の運転免許証である。こちらは、むしろ筆者の経験上、日本の免許証>国際免許証である。国際免許証はあくまでも、日本の免許証の「翻訳版」という位置づけなので、必ず日本の免許証とセットで使う必要がある。

また、後述するが国や地域によっては日本の免許証だけでOKだったり、無料の運転免許証翻訳フォームを使って国際免許証の代わりにできたりするシステムもある。

■日本の免許証を忘れるとどうなるのか?

海外でレンタカーを使うとき「国際免許証よりも大事なもの」とは…

日本の免許証を忘れると……レンタカーを借りることができない。少なくともアメリカはそうである。

実は先月、SEMAショウの取材でアメリカに行った際、途中でレンタカーを入れ替える必要が出てきたのでレンタカー会社のカウンターに車を走らせた。最初に借りた時に日本の免許証を確認しているのだから、国際免許証だけあればよいと思っていたらとんでもない間違いだった。

「最初に借りる際に見せた」といったところで、「車両入替であっても、新たに借りる場合と同様、日本の免許証は必須。

これがなくては貸せない」と絶対譲らない。レンタカー会社の担当者は筆者が最初に借りた時の免許証のコピーも持っていたが、それでも認められないという。こういう時、アメリカは異常に厳しい。結局、ホテルに取りに帰ることになり、夜中に片道60kmを往復した(この往復は最初に借りたレンタカーで行うことが許された)。

■国際免許不要の「運転免許証翻訳フォーム」とは?

あまり知られていないが、大手のレンタカー会社では国際免許の代わりになる「運転免許証翻訳フォーム」を無料で発行している会社がある。以下はハーツレンタカーの例。

ダラーレンタカーも同様のサービス(アメリカ・カナダのみ)を無料で行っており、1000~1500円の発行手数料で実施しているレンタカー会社もある。

国際免許証と比較すると、大きな違いはHDLTは発行手数料が無料!オンライン上で取得ができる。これまで国際免許証を取得するために、手数料と手間をかけていたのはいったい何だったのか!と、腹立たしい気持ちになる人もいるだろう。免許センターではこんな便利なサービスがあることを教えてくれるはずもない。

もちろん条件もある。国際免許は有効な国がジュネーブ条約加盟国約90か国であるのに対して、HDLTは14か国のみ。

有効期間も異なっているので注意が必要。

必ず運転免許証翻訳フォーム(HDLT)と日本の運転免許証をあわせて携行することが重要で、アメリカ・ジョージア州では適用外。ジョージア州でのレンタカー貸し出しには国際運転免許証と日本の運転免許証が必要だ。

■日本の免許証だけで運転できるハワイ、グアム、サイパン、パラオ

ご存知の方も多いと思うが日本人観光客が多い、ハワイやグアムでは日本の運転免許証だけでレンタカーを借りて運転することができる。これはアメリカ政府が正式に認可しているサービスなので、レンタカー会社に関わらず日本の運転免許証を持っている人ならだれでも同様に受けられる。ただし注意すべきは、このサービスがあることを知らない警官がいる、ということ。

そのために、「翻訳書」を持参するのが安心だ。

■有効期限の切れた国際免許証でもレンタカーを借りることができた

これは筆者の経験なのであくまでも参考程度の認識でいて欲しいのだが、2017年にロサンゼルスでレンタカーを借りた際、期限の切れた国際免許証をレンタカー会社の窓口で提出してみた。そうしたら何の問題もなく、手続きは完了。担当者は国際免許証が期限切れであることを認識していたが、免許証番号が同じであれば問題ないのだと言っていた。それよりも大事なのは、「日本の免許証が失効していないかどうか?」ということ。国際免許証はそれ自体が免許証の効力を持っているわけではなく、あくまでも日本の運転免許証の翻訳版だということも言っていた。

とはいえ、国際免許証の期限が切れていても貸し出しOKということは、どのレンタカー会社でも同じ対応になるかどうかはわからないので事前に確認する方が安心だ。ちなみに2018年も同じ期限切れの国際免許証でレンタカーを借りることができた。

■くどいようだが、日本の免許証をお忘れなく

国際免許証が不要の国があったり、無料の翻訳サービスを使えばOKだったりしても、日本の運転免許証はいかなる場合にも必要だ。海外で運転するんだから、「日本の免許証は役に立たない」という大きな勘違いをしていると、楽しい海外旅行が台無しになってしまう危険もある。実際、筆者の友人も日本の免許証を忘れてアメリカに行き、レンタカーを借りられなかった悲惨な体験を持つ者もいる。どんなにお願いしても、断固として拒否されたそう。海外でレンタカーを借りる際には、パスポートと同じ位大切な日本の免許証。どうかお忘れなく!

【著者プロフィール】

自動車生活ジャーナリスト 加藤久美子

山口県生まれ 学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。一般誌、女性誌、ウェブ媒体、育児雑誌などへの寄稿のほか、テレビやラジオの情報番組などにも出演多数。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。愛車は新車から19年&24万キロ超乗っているアルファスパイダー。