矢沢あいによる人気漫画を映像化し、主題歌の「GLAMOROUS SKY」も大ヒットを記録したのが、中島美嘉と宮崎あおいがW主演を務めた「NANA」だ。

2005年に公開された本作は、今年上映20周年を迎え、7月に東京・渋谷のホワイトシネクイントで初めてデジタル版としてリバイバル上映されるなど、再び話題を集めている。

バンドブーム真っ只中の時代の空気感や、パンキッシュなファッションをパッケージした本作。「雪の華」など当時からミリオンヒットを放っていた中島は、主人公のボーカリスト・大崎ナナを好演。そのヴィジュアルや尖った存在感が漫画から飛び出してきたようだと絶賛された。一方、ひょんなことからナナと同居することになる小松奈々を演じているのは宮崎あおい。

そして、今となってはレアすぎるのが、バンドのメンバーを演じているキャストだ。地元でナナが組んでいたバンド「Blackstones」の元メンバー・レンを松田龍平が、メンバーのノブを成宮寛貴、ヤスを丸山智己、後に東京でナナとノブが中心になってリスタートする「新生・Blackstones」に加入するベーシスト・シンを松山ケンイチが演じている。

育った環境も性格も対照的なナナと奈々が偶然出会い、2人の間に友情とも恋ともいえる強い繋がりが芽生えていく本作。それをより輝かせているのが中島と宮崎の演技だ。映像の中で、2人の存在自体がキラキラとしている。

■クールで群れないナナと、人懐っこくて泣き虫な奈々

中島美嘉と宮崎あおいの存在感が光る、友情の物語!松田龍平、成宮寛貴らバンドメンバーにも注目の「NANA」
性格も価値観も正反対の2人の
性格も価値観も正反対の2人の"NANA"の友情を描く

(C)2005「NANA」製作委員会

新幹線で隣の席になったことがきっかけでナナと奈々は知り合い、偶然が重なり、一緒に住むことになる。ぶっきらぼうで孤独な目をしているナナはバンドを組むために上京、一方の奈々は東京の美大に通うことになった彼氏を追いかけてきた。とにかくお喋りで、コップ1つ選ぶのにもウキウキしている奈々は"懐っこいけど、世話がかかる"と、ナナから「ハチ」というあだ名で呼ばれるようになる。

そんな奈々が夢中になっているバンドが、かつてナナの恋人でもあった「Blackstones」の元メンバー・レンもいる「TRAPNEST」だ。

奈々がファンだと知っても何も言わず、無言でポスターを見つめるナナ。やがて2人の暮らす部屋に同じく「Blackstones」のメンバーだったノブが新曲のデモテープを持って訪ね、ストーリーが動き出していく。

中島美嘉と宮崎あおいの存在感が光る、友情の物語!松田龍平、成宮寛貴らバンドメンバーにも注目の「NANA」

(C)2005「NANA」製作委員会

振る舞いも視線もエッジのあるロックボーカリストになりきった中島が、携帯をマイクに見立てて、いきなり部屋の中で歌い出すシーンは、まるでMVを見ているよう。そんなルームメイトをときめきの笑顔で誇らしげに見る奈々を演じた宮崎の表情には、言葉にしなくても"ナナ最高♡"という想いが溢れ出している。

■深まる友情のシーンでも、中島と宮崎のコンビが光る

奈々が恋に傷ついた時には自分のこと以上に感情を剥き出しにし、ベッドに入って泣いている奈々の頭を抱えるように寄り添うナナ。その不器用な優しさが、中島の視線や男前な仕草で痛いほどに伝わってくる。

そんなナナの深い傷となっているのが、レンとの思い出だ。倉庫に2人で暮らし、バスタブに浸かりながら心の鎧を脱ぐように気持ちを通わせる場面も印象的で、中島と松田のラブシーンはロマンティックというより痛みを伴う純愛を思わせる。そしてナナの過去に気付き、悲しい時にいつも笑顔にさせてくれた友人の閉ざした心を溶かしたいと願う奈々の心理を表現した宮崎のひたむきさも愛おしい。

ライブシーンが物語とシンクロし、多くの人の心に刺さった本作。中島と宮崎の絶妙な掛け合い、バンドメンバーを演じた俳優陣の若き日の演技にときめかずにはいられない。

文=山本弘子

放送情報【スカパー!】

NANA

放送日時:2025年8月6日(水)23:15~
チャンネル:WOWOWライブ

放送日時:2025年8月15日(金)23:15~
チャンネル:WOWOWシネマ

放送日時:2025年9月7日(日)17:45~
チャンネル:WOWOWプライム

※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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