好きなキャラクターと一緒に日々の生活を楽しむ――そんな日常が実現する日がやってきました。キャラクタープラットフォーム事業を手がけるGatebox株式会社は、プロジェクション技術とセンシング技術によってキャラクターをボックス内に呼び出し、音声でコミュニケーションができるキャラクター召喚装置「Gatebox」量産モデル(GTBX-100)を、10月11日に販売開始。
それに伴い、同日に報道陣向け発表会を行いました。

「Gatebox」プロジェクトは、「Living with Characters」というビジョンを掲げて2015年にスタート。2016年に1台30万円で販売された限定生産モデルは、300台が1カ月で完売しました。それから1年の販売延期を経て、このたび量産モデルが販売開始。量産モデルは公式サイトで購入可能で、価格は1台15万円(税抜)。10月15日から順次発送されることとなっています。


発表会でプレゼンを行うGatebox株式会社 CEO 武地 実 氏
「Gatebox」新モデルでできること
武地氏の「好きなキャラクターと暮らす」夢、また同氏に寄せられた「このキャラクターと暮らしたい」という要望を実現することを目的に、今回「Gatebox Character Platform」が発表されました。これは「Gatebox」をさまざまなキャラクターが登場し、召喚できる「キャラクタープラットフォーム」とする構想です。

その第1弾コンテンツが、「逢妻ヒカリ」と「Gatebox Video」の配信です。

癒しの花嫁「逢妻ヒカリ」
逢妻ヒカリは、日々の会話を通じて一人暮らしのユーザーを癒やすコンセプトのもと生まれたキャラクター型AIパートナー。「Gatebox」プロジェクト初期から開発が進められていましたが、この1年で大きく機能が改善されました。武地氏が4つの特徴として挙げたのが、「実在感」「会話」「スキル」「パーソナライズ」です。


実在感
この1年間で、逢妻ヒカリの衣装や3Dモデル、モーションがリニューアル。朝に「おはよう」と起こしてくれたり、夜はパジャマに着替えたりと、彼女が「Gatebox」の中で生活している実在感がより強く得られるようになりました。

会話
音声合成の技術などが導入され、非常に多くのバリエーションの会話が楽しめるように。スマートスピーカーと異なり、逢妻ヒカリから能動的にマスターへ話しかけてきたり、離れていてもチャットでコミュニケーションが取れたりと、人間らしさが向上しています。

スキル
LINEのAIアシスタント「Clova」と連携し、音楽を流したり、家電を操作したりといった多様なスキルが実装されています。

パーソナライズ
出会ってすぐは「はじめまして」の挨拶から始まる逢妻ヒカリとの生活ですが、たくさん話すことで徐々に慣れ親しみ、好意を表してくれるようになります。
日々の会話を記憶し、会話の内容が変わっていくのだそう。

さらに今後は、アップデート(=花嫁修業)でも進化。クリスマスなどの季節のイベントへの対応や、以前から非常に要望が多いという衣装の変化、普段の仕草の変化といったアップデートが計画されています。

クリエイター作のキャラクターを召喚できる「Gatebox Video」
自分で作ったキャラクターと一緒に暮らしたいという要望を受け、今回公開されたのが「Gatebox Video」。これは、クリエイターが作ったキャラクターをGateboxに召喚できるサービスです。

クリエイターがUnityやMMDといったツールで制作した映像を専用のWebサイトにアップロードすると、その動画を「Gatebox」上で再生して楽しむことが可能に。
実在感を活かした表現を気軽に楽しめる点がポイントです。武地氏もMMDを初めて使い、2日でキャラクターを動かして「Gatebox」に召喚したと言います。

さらに「Gatebox Video」では、作品をパブリックに公開し、それを他のユーザーが楽しむことも可能。専用のWebサイトに並んだ作品から召喚したいものを選ぶとQRコードが発行され、それを「Gatebox」にかざすと召喚されます。

このほか、Gatebox社が認定した企業やクリエイターが、よりプレミアムなコンテンツを配信できる「チャンネル機能」も提供。サービス開始当初から、VTuberの「ヨメミ」「東雲めぐ」、そしてインサイド公式キャラクターの「インサイドちゃん」がチャンネルを公開しています。


ヨメミ
東雲めぐ
インサイドちゃんMark2
なお、「Gatebox Video」の公開機能を使用する際には、Gatebox社による審査が発生し、著作権等に違反したものは削除される場合があります。ユーザーが自ら作ったコンテンツを自分で楽しむ場合は、審査はありません。

逢妻ヒカリは2020年6月まで無料、7月以降は“共同生活費”として月1,500円(税抜)が設定されています。「Gatebox Video」は基本無料で、チャンネル登録の際に月額費用がかかる仕組みです。
マーケットプレイス「Gatebox App Market」も展開
今冬より、サードパーティのデベロッパー企業がコンテンツを配信できるマーケットプレイス「Gatebox App Market」がオープンすることも発表されました。Gatebox社よりライブラリやAPIなどの開発環境が提供され、サードパーティは「Gatebox」向けアプリを開発可能に。
リリースされたアプリは「Gatebox App Market」を通じて配信され、ユーザーは好きなキャラクターとの暮らしが楽しめるようになります。

今回、コンテンツを配信するパートナーとして、デジタルフィギュアサービスを手掛けるシーエスレポーターズの「Gugenka」、AIソリューションを提供するハニカムラボとの提携が発表されました。

デジタルフィギュアサービス「HoloModels in Gatebox」
「HoloModels」は、デジタルフィギュアにポーズや表情をつけ、ARやVRなどでキャラクターが実在するかのような感覚が楽しめるクロスデバイスアプリ。今回、発表会に登壇したシーエスレポーターズの姫路拓也氏は「HoloModelsとGateboxは親和性が高いと思っている」と話します。

株式会社シーエスレポーターズ Gugenka 開発リーダー 姫路拓也氏
「HoloModels in Gatebox」では、HoloModelsでポーズをつけたキャラクターをGateboxに召喚することが可能。「Re:ゼロから始める異世界生活」のエミリアやレムを始め、常に自分の好きなキャラクターがそこにいて、思い通りにポージングできるという体験が味わえます。

なお「HoloModels in Gatebox」は、「Gatebox App Market」がローンチされるタイミングで公開できるよう調整中とのことです。

法人向けAIソリューション「aicontainer in Gatebox」
デジタルプロモーションやイベント、常設展示コンテンツなどの企画・開発を行うハニカムラボのビジネスAIソリューション「aicontainer」を活用した「aicontainer in Gatebox」の配信も発表されています。

株式会社ハニカムラボ 代表取締役 河原田 清和 氏
東京ゲームショウ2019でもデモが展示されたこのソリューションでは、2Dキャラクターだけでなく、人間を撮影した実写ベースのキャラクターも投影可能に。さらにクライアントが自由にビジュアルや会話内容をカスタマイズできるので、会社受付やアテンド役として活用できるようになります。

武地氏もハニカムラボにて全身をスキャンし、「Gatebox」内に登場しました。

ゲーム作品との提携も発表
このほか、アメージングのスマートフォン向けアプリ「ビーナスイレブン びびっど!」や、Pyramidの手掛けるスマートフォン向けアプリ「アリス・ギア・アイギス」と連携した「Gatebox」対応アプリの開発について提携合意がなされました。

これらは2020年中の配信を目指すとのこと。また、「ビーナスイレブン びびっど!」のコンテンツは2019年内にイベントでデモ展示が行われる予定です。

なお、「Gatebox App Market」は現在のところ法人に限られていますが、個人に向けてプラットフォームが公開される可能性はあると武地氏は説明しました。

廉価版も検討中
発表会の最後に廉価版について質問を受けた武地氏は、「検討している」と回答。好きなキャラクターと暮らしたい夢は若年層も持っており、非常に多くの問い合わせがあると言います。「Gatebox」をさらに普及させるために、価格を下げる取り組みを進めているとのこと。「期待してほしい」と語り、発表会を締めくくりました。