12月18日に亡くなった神田沙也加さん(享年35)。

沙也加さんは‘01年5月、14歳でSAYAKAとしてデビュー。

’05年5月から一旦活動を休止したものの、’06年9月に19歳で本名の神田沙也加として再出発。今年はSAYAKA時代から数えてデビュー20周年目のアニバーサリーイヤーだった。

’14年3月に公開されたディズニー映画『アナと雪の女王』で主人公・アナ役の声優として参加し、国民的な人気を博すこととなった沙也加さん。同作は彼女の実力に裏打ちされた、ひとつの“集大成”といえるかもしれない。

「もともとディズニー映画を観て育った沙也加さんは、大のアニメ好き。またSAYAKAとしてデビューする前から、実は声優になりたかったそうです」(スポーツ紙記者)

本名で再デビューを果たした後、’11年からは女優業と並行して声優学校へ通うことに。講師を務めた声優の速水奨(63)は’14年9月、『FLASH』で《アドバイスを絶対に聞き漏らさないようにしていた》《自分の思うようにセリフがいえないと悔しがる》と沙也加さんの勤勉ぶりを語っていた。

「’12年7月にテレビアニメ『貧乏神が!』(テレビ東京系)で念願の声優デビュー。ステップアップを重ね、オーディションで見事『アナ雪』のアナ役を勝ち取りました。それだけでも大喜びだったのに、作品は大ヒット。好演が讃えられ、’15年3月には『第9回声優アワード』の主演女優賞を受賞しました」(芸能関係者)

■「舞台女優って呼ばれるようになってきたのが、すごく幸せ」

神田沙也加として復帰した後は舞台を中心に邁進。’10年1月、『スポーツ報知』の取材では《最近、少しずつですけど“舞台女優”って呼ばれるようになってきたのが、すごく幸せで……》とコメントしていた。

「沙也加さんは幼いころからミュージカルにも惹かれていました。舞台デビューも宮本亞門氏(63)が演出を手掛けた『INTO THE WOODS』で、’04年7月に上演。亜門さんは当時の沙也加さんを回想し、『舞台女優になるんだ』という気合がみなぎっていたと話していました」(前出・スポーツ紙記者)

演技に対しても、沙也加さんはストイックだった。母の松田聖子(59)は’08年4月、『婦人公論』でこう語っていた。

《娘は完全に分析型で、台本には彼女が演じる役の緻密な人物分析がびっしり書き込んであったり、気持ちの動きを折れ線グラフで示してあったり、本当にすごいんです》

ミュージカル女優には、歌唱力が必須だった。沙也加さんも歌声が絶賛されていたが、その陰には努力の日々があった。’14年8月、バラエティ番組『心ゆさぶれ!先輩ROCK YOU』(日本テレビ系)で彼女は、こう語っている。

「自分の声にコンプレックスもあるし、自分の歌にも自信がないので、人の何倍もやって……」

また昨年10月、沙也加さんはTwitterに《いつも住むところは出来るだけ防音性を重要視していますが、もしちょっとでも聴こえてるとしたら「アイドルの頂点へ!!」とか、「♪あぁぁああー!!♪(その時々で練習している歌)」とか、どんなひとだと思われているか不安しかない》とつづっている。家でも歌の練習に打ち込んでいたようだ。

■たゆまぬ努力の末にたどり着いた『アナと雪の女王』への思い

SAYAKAとしてのデビュー以降、歌に芝居に声優にと様々な仕事に携わってきた沙也加さん。そうしてたゆまぬ努力の末にたどり着いた『アナと雪の女王』について’14年7月、『婦人公論』でこんな思いを語っていた。

《10年、20年経って過去を振り返るときがきても、私の中で輝く金字塔であり続けることでしょう》
《この仕事を経て、やっと地に足がついたというか、自分が目指していた出発地点に到達することができたと感じています。

いよいよこれからが本番です》

『アナ雪』は2作のスピンオフを挟んだ後、’19年11月に続編が公開された。そして沙也加さんは作品を重ねるにつれ、アナの姉であるエルサ役の松たか子(44)といっそう仲を深めていったようだ。

’19年12月には自身のTwitterで《エルサ姉さんといっしょ!》とつぶやき、松とのツーショットを投稿していた沙也加さん。さらに今年5月、『スポーツ報知』の取材では『アナ雪2』を観るため、松とお忍びで劇場にも足を運んだと明かしていた。

松は沙也加さんの訃報を受け、ディズニー公式Twitterを通じてこうコメントしている。

《彼女と共に、互いにエールを送りあい 日本語を吹き込んで紡いだ時間は私にとってかけがえのない宝物です》
《ありがとう、アナ》

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