まだ記憶に新しい、静岡県裾野市の「さくら保育園」で起きた、園児虐待により3名の保育士が逮捕された暴行事件。「ご臨終です」と、寝かしつけた1歳児に暴言を吐く。

「ブス・デブ・ガングロ」などと容姿をからかう。泣く園児をスマホで撮影する、園児の足をつかんで逆さ吊りにする、カッターナイフなどで脅す、真っ暗な排泄室に放置するなど、判明している行為だけでも15項目に上る、保育現場での凄惨な実態が明らかになった。

この事件を皮切りに、各地の保育園でも不適切保育が発覚している。東京都日野市では、保育士が「早く人間になれ!」と園児に暴言を吐くといった唖然とする虐待が発覚。また富山県富山市の保育園でも、1~2歳の園児を逆さづりにするなどの虐待行為があったと発覚した。それらのあまりに酷い虐待行為や暴言が大きな反響を呼び、社会問題となっている。

裾野市の事件は、内部告発により発覚したものの、園側が迅速に対処しようとせず箝口令を敷くなどの隠蔽体質も明るみに出た。

豊富な取材実績と現場感覚をもとに話題作を次々と発表。『誰かたすけて~止まらない児童虐待』(リーダーズノート)『ルポ 居所不明児童 ――消えた子どもたち』(中央公論新社)など子供の虐待問題の著作も多い、ジャーナリストの石川結貴氏はこう話す。

「逮捕された保育士たちの行為は決して許されるものではありません。しかし、全国の不適切保育の背景には、保育士の厳しい労働環境など、さまざま問題が潜んでいると考えられます。たとえば長期化するコロナ禍でこれまで以上に業務量が増えたり、マスク越しの保育でコミュニケーションがむずかしかったり、そのようなストレスが高じたことで虐待行為に走ったという可能性もあるかもしれません」

コロナ禍で、玩具や寝具などの消毒に始まり、密を避ける対策へのプレッシャーやマスク生活を強いられている現状も、保育士たちを疲弊させる原因になっていると、石川氏は指摘する。

「本来、言語の理解のおぼつかない年齢のお子さんには、『ダメですよ』と言い聞かせるにしても、表情でコミュニケーションをとることが必然でした。けれど、たしなめようとしても、保育士の顔はマスクで覆われているため、子どもたちにうまく伝わらない。それが不安や焦りとなってしまったケースもあるかもしれません。虐待を行う保育士はそもそもの資質に問題がありますが、彼らを責めて罰しただけでは根本的な解決にはなりません」

いったいどんな解決策があるのだろうか――。

(その2へ続く)