現在放送中のNHK大河ドラマ『光る君へ』。『源氏物語』の作者で、吉高由里子(35)演じる紫式部/まひろの生涯を描いた本作は、初回視聴率は12.7%、1月28日放送の第4話は11.3%と視聴率の点では苦戦しているものの、女性ウケがとてもよいと評判だ。

「私の周りの女性たちは、『どうする家康』よりも面白い!と大興奮。放送後はLINEで、『光る君へ』の話題で盛り上がっています。歴史を知っていても続きが気になってしまうんです。視聴率が前作より悪いというのは、不思議に思います」

と本誌の60代女性記者も太鼓判。いったいどのような点が魅力なのだろうか? TVコラムニストの桧山珠美さんに解説してもらった。

■韓流ドラマを思わせる展開が見どころ

「平安絵巻の雅な世界を舞台に、セックス&バイオレンスが地上波で、しかもNHKの大河ドラマで楽しめるとは思っていませんでした。

制作統括の内田ゆきさんを始め、演出・脚本・音楽など製作陣に女性が多いことも影響しているでしょう。民放ドラマでもプロデューサーや演出を女性が手掛けることは多くなりましたが、大河でこれほど多いのは初めてのことでは」

物語の舞台、”平安”という時代も女性に刺さりやすいと分析する。

「やはり女性はベルばらやエリザベートの世界観が好きです。それを日本に変換すると、平安時代だったのでしょう。王侯貴族のドレスは、平安絵巻で描かれる美しい着物に通じるんでしょうね。昔は、“朝ドラは女性”“大河は男性”というイメージがありました。

そのため大河は家康・信長・秀吉で、たまに新撰組などの幕末が入って、チャンチャン、バラバラとやってきました。だから大河で、あえて雅な世界を描こうと考えるのは、女性の感覚が活かされたはず。

実は、NHKでは’21年に、千葉雄大さんが現代にタイムスリップした光源氏を演じた『いいね!光源氏くん』というドラマを放映しています。つねに烏帽子をかぶっていて、おいしいものを食べるなどして興奮すると和歌を読んでしまうというコメディタッチの作品ですが、このころから“平安時代は鉱脈アリ”と見抜いていた優秀なスタッフがいるのかもしれません(笑)」

ドラマの展開でも、やはり女性を意識した作りになっていると感じるという。

「御曹司との身分違いの恋や、惹かれ合う二人が実は兄妹だったとか、事故で記憶喪失になったりという衝撃展開は韓流ドラマあるあるですが、それを彷彿させる展開も見もの。『光る君へ』も、平安絵巻な雅な世界観だと思わせといて、第1話のラスト、主人公・まひろの母親(国仲涼子)が刀でブスッと刺されて殺されてしまいます。

さらに4話では、その母の仇が、あろうことか自分が思いを寄せる人の兄弟であると気づく。同じ藤原家でも名門の道長(柄本佑)と下級貴族のまひろでは身分違いで決して結ばれることはない、という展開も韓流好きの人は“こういうのお好きでしょ”という感じです。

元々韓流は、百恵ちゃんの赤いシリーズに代表される大映ドラマが基礎となっているとも言われています。日本が誇る大映ドラマが逆輸入されて、パワーアップして帰ってきたという印象です」

だからこそ、桧山さんが大石静さんの脚本に寄せる期待は大きいという。

「大石さんが手がけた『セカンドバージン』(’10年・NHK総合)で長谷川博己さん、『オードリー』(’00年~’01年・同)で佐々木蔵之介さんや堺雅人さん、近々では『星降る夜に』(’23年・テレビ朝日系)で北村匠海さんなど、とにかく”イケメン”眼力が凄い。

『光る君へ』でも町田啓太さん(33)をはじめとし、イケメンを多く取り揃えています。

で、なぜか大石さんが描くと、ロバートの秋山竜次さん(45)や、はんにゃの金田哲さん(37)も雅なイケメンに見えてくるから不思議。これぞ大石マジック。見た目だけじゃなく、人間的な魅力を引き出す脚本なんだと思います」

■“平安時代のセックス&バイオレンス”に期待!

その大石氏が’22年の制作発表記者会見で掲げたのが、桧山さんも期待を寄せる“平安時代のセックス&バイオレンス”だ。大石氏の手にかかった麗しい登場人物たちが、その世界観を繰り広げている。

「バイオレンス担当の玉置玲央さん(38)が演じる”ヒール” 藤原道兼が、おそらく当ドラマで、大石さんのイチオシキャラではないかと。粗暴で主人公の母親を刺し、父の寵愛を兄ばかり受けている腹いせに、柄本佑さん(37)演じる弟の藤原道長を、子供時代にボコボコにします。

しかも、その道兼が負わせた足の傷跡を見て、数年後、2人が再会した時、まひろが道長(幼名・三郎)と気づくという、少女漫画チックな展開に繋がります」

“セックス”担当は、花山天皇役の本郷奏多(33)だ。

「日曜22時の『アイのない恋人たち』(テレビ朝日系)では、童貞役を演じている本郷奏多さんがかなりクセツヨです。かりにも天皇がこんな悪い奴で、宮内庁からクレームが来ないのか心配になるほどです。

東宮時代、足で扇子を挟んでふざけながら、母と娘との性行為の素晴らしさを滔々と語るシーンには驚愕しました。さらに、第4話ではついに天皇となり、入内した井上咲楽さん(24)演じる女性の帯を解いた後に、両手首を結ぶ緊縛プレイ。狂気性を感じる演出で、セックスレス夫婦や小さな子供がいる家庭のお茶の間では、ざわつくシーンとなるので、とても一緒には見られないのでは。

あとで個人的に見逃し配信を見ている人が多いと思います。それが低視聴率という結果につながっているのかもしれません」

だが、高視聴率を追い求め、ゆるい内容になるよりも、現在のセックス&バイオレンス路線を維持してほしいと熱望している。

「ドラマでは、いよいよ紫式部演じる吉高由里子が宮中に入ります。家政婦のミタばりに覗き見する、『源氏物語』で描かれた、宮中で巻き起こるセックス&バイオレンスがどう展開していくのが、すごく楽しみです」