通訳だった水原一平容疑者に、数年にわたって裏切られていた大谷翔平だが、有名人が身近な人間から金銭的な被害を受ける例は少なくないという。被害者たちの顔ぶれから、ある共通点が見えてきた。

4月12日(現地時間)、米・ロサンゼルスの連邦裁判所に出廷したのはロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手(29)の通訳だった水原一平容疑者(39)。

違法賭博で作った多額の借金を返済するために大谷選手の口座から1600万ドル(約24億5000万円)以上を不正に送金したとして銀行詐欺の疑いで訴追されている。スポーツ紙現地記者が解説する。

「水原容疑者が違法なスポーツ賭博に手を染めたのは2021年9月ごろ。それから2年にわたり1万9千回ほど賭博に興じたといいます。

水原容疑者が大谷選手になりすまして口座にアクセスしたことに疑問を持つ人もいますが、アメリカでは高額所得者にはビジネスマネージャーやファイナンシャルアドバイザーがついて口座管理をするのが一般的。家族同然に付き合っていた水原容疑者への信頼度は相当高かったのです」

ファミリーと思っていた人物によるまさかの謀反だが、芸能人やスポーツ選手が“身内の裏切り”で金銭トラブルに巻きこまれる例は少なくない。

■35億円の借金を6年目で返した矢沢永吉

35億円を15年以上にわたる友人らにだまされたのが、日本ロック界のカリスマ矢沢永吉(74)だ。

オーストラリアのゴールドコーストに、世界に発信できる音楽スタジオや音楽学校を作りたいと、広大な敷地と敷地内に建つビルの購入資金31億円、プロジェクト資金4億円を出資した。

「ところが、プロジェクトを任せていた友人らが勝手に土地を担保に銀行から融資を受けたうえ、返済できずに土地が差し押さえられ、第三者に売却されていました。

矢沢さんには35億円の借金が残りましたが、グッズ版権を事務所が管理するなどして、事件発覚から6年目の2004年に完済しました」

と語るのは、芸能リポーターの駒井千佳子さん。身内の裏切りにあった芸能人やスポーツ選手にはこんな特徴があるという。

神田うのさんや叶姉妹デヴィ夫人など信頼していた人に裏切られた人たちは、浮世離れしているというよりも、とてもピュアな人が多いです。人に妬まれることもないから交友関係も広く、とくに自分を大事にしてくれる人を疑うことをしません。

さらにいえば所ジョージさんや新庄剛志さん、武田修宏さんなど、マスコミ対応がとても親切だという共通点もありますね」

■裏切りに気づかないのは夢にまい進しているから

身内の裏切りの被害者には、スポーツ選手も名を連ねている。

「スター選手は、高校卒業後、いきなり大金を手にします。そこにいろんな人たちが集まりますが、一定数は危険人物がいます。とりわけプロ選手にとって引退後の生活は不安。そこにつけこみ親身に相談にのる友人や親族に使い込まれたり、出資したりして全財産を失うケースも多いのです」(前出・スポーツ紙記者)

海外に目を向けると、元バスケット選手のケビン・ガーネットがファイナンシャルアドバイザーに騙し取られたのは7700万ドル。現在の日本円で119億円と失った額もハンパではない。

昭和の大スターには、身内の裏切りで人生がおかしくなったケースも。ベテラン芸能記者が語る。

「連続テレビ小説『ブギウギ』のモデルとなった笠置シヅ子さんは、同居していたマネージャーに今の価値で5000万円以上を使い込まれる被害にあっています。アメリカ公演の直前で、マネージャーの背信行為がなければ笠置さんはもっと活躍の幅を広げていたでしょう。

また、昭和の大スター江利チエミさんが財産管理を任せていた異父姉は、江利さんへの嫉妬心から宝石類から何から全財産を奪ったうえに、実家を抵当に入れて2億円といわれる借金を作りました。

当時、高倉健さんと結婚していましたが、江利さんは迷惑をかけたくないと離婚。借金は返済しましたが、そのころから酒量が増えて45歳で孤独死しました」

心を許した人からの裏切りは精神的にもつらいはず。駒井さんが最後にこう語る。

「信頼していた人による裏切りに気づかないのは、お金に無頓着になってしまうほど純粋に夢に向かって一心に生きているから。しかし大金を失っても、それを発奮材料にしてその後の人生をひたむきに頑張っている人も多いのです」

ひるまずにプレーを続けている大谷選手の活躍に期待したい。

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