息子と重なり、この子を迎え入れたいと思った――。愛猫ティファちゃんとの出会いを、そう振り返るのは飼い主のMIZUHOさん(@tiffaminto)。
ティファちゃんは、ブリーダー出身。他の子とは少し鼻の穴の形が違うという理由から、命を軽視された過去があります。
「口唇裂」を持つ息子と重なった1匹の保護猫
ティファちゃんは生まれつき、右鼻の穴が上に引っ張られたような形。ブリーダーは、「商品として売れない」と判断しました。
その後、ティファちゃんは生後1ヶ月ほどで、子どもを産めなくなった子や引退猫など、ブリーダーからのレスキューを専門に行っている保護主さんに引き取られたそう。
ティファちゃんに強く惹かれた理由
「息子は唇が切れている他に、右鼻が少し下がっています。唇は生後5ヶ月で手術しましたが、鼻の手術は成長が止まるまでできないとのことで、行えませんでした。本人が大人になって、『このまま生きて行く』と決めたので、鼻はそのままです」
MIZUHOさんは息子さんのことや、自分が里親希望者になった理由を保護主さんに吐露。ティファちゃんにはMIZUHOさんを含め、3人の里親希望者が現れていましMIZUHOさんに正式に譲渡されることになりました。
保護主さんはMIZUHOさんが伝えた想いに心打たれ、命のバトンを手渡してくれたのです。
キャリーケース嫌いで食いしん坊な愛猫との暮らし
賑やかな生活の中、ティファちゃんは徐々に馴染んでいき、様々な姿を見せてくれるように。一緒に暮らす中でMIZUHOさんは、ティファちゃんがうんちを漏らしてしまうほどキャリーケースを苦手に思っていることを知りました。
そして、もうひとつMIZUHOさんを驚かせたのが、ティファちゃんが見せた食への情熱。どうやら、ティファちゃんは1日中、猫用おやつの「ちゅ~る」やご飯のことを考えているそう。
「ちゅ~るは、3時のおやつにあげるようにしていますが、貰えるまで何時間も粘る。我慢強い子です(笑)」
食いしん坊なティファちゃんは幼少期、MIZUHOさんの目を盗み、ゴミ箱に捨てていたトマトクリームパスタのゴミを漁り、ペロっと舐めてしまったことも。
「ほっぺにクリームを付けて、満足気に部屋へ帰ってきました。その時は、同居猫のミントがほっぺに付いたクリームを一生懸命クンクンしていて、かわいかったです」
「ミントは甲状腺の病気になってから突然怒ることが増え、ティファは近づかなくなりました。今はお薬飲んで落ち着いており、ほとんど喧嘩売らなくなりました。最近、ふたりは近くで寝たり遊んだりしています」
明るく一生懸命生きる姿に励まされる
「ティファとミントは、今の自分にとって人間の息子以上に大事な存在。いなかったら、生きていけない。そう語るMIZUHOさんはティファちゃんが日々、快適に過ごせるようにとお鼻のケアも怠りません。
「鼻くちょが溜まりやすく、出すためにくしゃみを連発するので、その時にティッシュで取るのをお手伝いします。息苦しそうな時もあるし、鼻くちょを出すのも大変そうだけど、本人は明るくて一生懸命生きている。そこがかわいいし、尊敬します。私も頑張らないと、と思うんです」
愛猫のかわいさを見て抱く、悪徳ブリーダーへの怒り
「保護主さんと関わる中で、こんなにたくさんの子が捨てられている現実を知りました。
かわいさ重視の危険な交配や、命を命として見ない非道な行いが「商売」として成り立っているのが日本の現状。
動物愛護法を“命を守る法律”に
猫種など関係なく、ありのままの姿を愛してくれる飼い主さんと出会えたティファちゃんには、この先も幸せしかないニャン生を歩んでほしいものです。
<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。