食文化研究家のスギアカツキです。
最近ハマっている漫画があります。それは、『ドカ食いダイスキ! もちづきさん』という漫画です。きっかけは、X(旧Twitter)でバズっている、食をテーマにした漫画があることを知ったこと。気になって読んでみたところ、その世界にどっぷりハマってしまいました。
同作は、雑誌『ヤングアニマルZERO』と、「ヤングアニマルWeb」というサイト上で連載中の作品で、現在は第2話まで公開されています。
“カロリーのオーバードーズ”とは、いったい!?
概要や設定は、次の通り。主人公の望月美琴は、21歳の営業事務。おっとりほんわかとした性格で、生きる喜びは「ドカ食い」。こってり山盛りの料理をひたすらに食べて快楽を得るという、非常にシンプルなストーリー。サイトでの説明には、カロリーのオーバードーズで“至る”、限界突破の禁断グルメギャグ!!とあります。オーバードーズ(過剰摂取)? 至る!? いったい、どういうことなのでしょうか……。
漫画を読んだ当初、私は開いた口が塞がらない気持ちでいっぱいになりました。
そこで今回は、「ドカ食いダイスキ!もちづきさん」から学んだ、毎日が楽しくなる食のヒントを2つご紹介していきたいと思います。みなさんも絶対に読みたくなるはずです。
もちづきさんの“至る”は、どんなグルメレポよりも破壊力がある
・鶏もも肉の照り焼き弁当(1775kcal)
・2倍サイズカップ焼きそば+マヨネーズを2個(2760kcal)
・4合分オムライス(3478lcal)
……この異常なボリューム感を若くかわいらしい女性がひたすら食べ続けるというシーンは、やり過ぎを振り切ったレベルであり、見事にファンタジーとして昇華しています。
そして何よりも脱帽したのは、望月さんの料理に対する集中力と表現力にあります。
自身の食欲を解放し、精神統一までしてドカ食いをする。彼女の食事シーンがお手本、教科書的だとは思いませんが、そこにはいつも“望月さんらしさ”がある。
異常な食体験はヒカキンの超爆買い動画以上のロマンがある!?
レシピはニンジンをフードプロセッサーで刻み、洗ってちぎったブロッコリーと乱切りしたソーセージをたっぷり加えて、コンソメとケチャップを入れて早炊きをする。
卵はフライパンの中で割り落とし、かき混ぜながらオムレツ状に焼き上げる。仕上げに4合分の炊き込みごはんにオムレツをドバっと乗せてケチャップをたっぷりかければ完成。
この料理は、各工程がイメージしやすく、炊飯器さえあれば作ってみたくなるような簡単さと楽しさがあります。
ヒカキンが宝くじを爆買いするような行為は見ていてスリル感を味わえますが、真似できない人も多い。でも望月さんの料理は、気軽にトライできるという魅力があります。
とにかくこの漫画はスゴイです。じっくり読んでいくと、日々のリアルな節制や節約は尊いものの、純粋に食を楽しんだり、たまには望月さんのように羽目をはずすしてもいいのではと思わせる自由さを味わえると思います。(あまりに度が過ぎる暴飲暴食には気をつけたいところですが(笑))
もしかすると望月さんは全人類の食欲を背負ってくれているヒロインなのかもしれません。
月イチ連載が決まり、次回3話は6月10日0時にヤングアニマルWebで公開されるそう。まだ読んだことのない人は一度体験してみてはいかがでしょうか?
<文/スギアカツキ>
【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。