スポーツクラブで、まるで自分がルールであるかのように振る舞う“厄介な常連”に遭遇したことはありませんか?

 今回はそんな厄介者のストレスから抜け出せた女性のエピソードをご紹介しましょう。

突然の「そこ私の場所なんだけど?」

「そこ私の場所!」ジムの“マイルール強要おばさん”に、新入り...の画像はこちら >>
 佐藤友理さん(仮名・34歳)は、健康維持のために近所のスポーツクラブへ通い始めました。

「最初の頃は快適だったんですが、スタジオレッスンの常連の50代くらいの女性が嫌味っぽくて、ストレスなんですよね」

 問題の女性はいわゆる“自称常連”で、その振る舞いは、周囲の誰もが眉をひそめるようなものだったそう。


「ある日、私がレッスン前に何気なく立った場所が気に食わなかったようで、嫌味おばさんに『そこ私の場所なんだけど?』と睨まれたんですよ」

 スタジオの床には場所取りのルールなど一切ありません。それにもかかわらず、その女性はまるで“自分専用の縄張り”であるかのように振る舞いました。

「しかも、いつも同じ場所じゃなくてたまにお気に入りの場所が変わったりして本当に面倒くさいんですよね」

 つまり彼女の中でだけ通用する“謎ルール”があり、それを他人に強要してくるんだそう。

周囲も見て見ぬ振り……もう退会しようかな?

「他の会員たちも『あの人、うるさいから……』『今日も来てるね……』と目を合わせないようにしてる感じで」

 さらに厄介なのはレッスン中の振る舞いで、本来はインストラクターの指示に従う場であるにもかかわらず、その女性は周囲を監視するように見回し、ことあるごとに口を出してきました。

「『初心者は後ろ行ってくれない?』とか『動きが合ってないから邪魔』とか言って勝手に仕切るし……本当にイライラするんですよね」

「そこ私の場所!」ジムの“マイルール強要おばさん”に、新入り女性が“ひと言”。形勢逆転した結果…
画像はイメージです(以下同)
 そんな空気に疲れ果てた友理さんは、「もう退会しようかな?」と考えるほど追い詰められていたんだそう。

空気を変えたのは、若い新入り女性

「そんなある日、スタジオに見慣れない若い女性が入ってきたんです。20代後半くらいでしょうか? 髪をポニーテールにまとめ、明るく可愛らしい雰囲気でした」

 何も知らないその女性が、偶然にも例の“お気に入りの場所”に立ってしまい……。

「そこ私の場所!」ジムの“マイルール強要おばさん”に、新入り女性が“ひと言”。形勢逆転した結果…
ジム 若い女性
「すると嫌味おばさんは『そこ、私の場所なんだけど』といつもよりも低い声で、明らかに新参者に力関係を分からせてやるという空気が伝わってくる言い方で、若い女性に向かって行ったんです」

 スタジオは一瞬で静まり返り、誰もが固唾をのんで見守ります。

「すると若い女性の『え? ここフリーじゃないんですか?』と驚きながらも明るくハッキリした声が聞こえてきて……なんでこんな性格の良さそうな子が理不尽に絡まれないといけないの? と私は思わず目を伏せてしまいました」

「それクラブの公式ルールじゃないですよね?」

 その女性は動じることなく、まっすぐに疑問を口にしました。

 しかし嫌味おばさんは引き下がらず「長く通っている人には決まった場所ってのがあるの」と詰め寄ったそう。

「そしたら若い女性は『でもそれクラブの公式ルールじゃなくて、“ただの自分ルール”ですよね?』と間髪入れずに返して、場の空気を一気に変えたんですよね」

 さらに彼女は、にっこりと笑いながら「新しい人が入りにくくなるから、そういうのやめた方がいいですよ」と正論を、柔らかく、それでいてはっきりと伝えました。

 顔を赤くした嫌味おばさんが「あなたねぇ!」と言い返そうとした、その時……。

公式のひと言で完全決着

「レッスン担当のインストラクターさんがスタジオに入ってきて、状況を察したのか、にこやかな表情で『ちなみにスタジオは、どこでも自由に使っていただいて大丈夫ですよ~』と言ってくれたんですよ」

 その一言が“公式見解”とみなされ、空気は一気に緩みました。

「嫌味おばさんは何も言えず、端の方へ移動し、レッスン中もその日はずっと静かでしたね」

 レッスン後、友理さんは勇気を出して若い女性に「さっきはありがとうございました。実は、みんな困っていて……」と声をかけたそう。


「すると彼女は、あっけらかんと『そうなんですか? でも、普通のこと言っただけですよ』と笑顔で応えてくれたんですよね」

 その言葉通り、彼女がしたのは“当たり前の指摘”に過ぎません。ですが、その当たり前が通らなくなっていた空間では大きな一歩でした。

「それ以来、嫌味おばさんの来る頻度は極端に減り、来てもスタジオレッスンには参加しなくなったんですよ。お陰で今はすっかり和やかなムードで楽しくレッスンを受けられるようになりました」と微笑む友理さんなのでした。

<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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