10日、東京競馬場では3歳のマイル王者を決めるNHKマイルCが行われる。様々な路線から集結した18頭の中に高配当の使者はいるのか。
本記事では「ローテーション」をキーワードにお届けしたい。

クラシック路線組が圧倒的な強さを誇る理由

<NHKマイルC>上位人気馬は“ほぼ壊滅”か…データが示す“...の画像はこちら >>
 本レースにおいて、毎年のように議論になるのが、異なる路線を歩んできた馬たちの横の比較だ。主に①王道のマイル路線、②(マイル未満の)短距離路線、③牡馬クラシック路線、④牝馬クラシック路線の4つに分類することができる。

 よく言われるのは、「NHKマイルCは牡馬クラシック路線で足りなかった馬たちの敗者復活戦」というフレーズである。実際に皐月賞で敗れ、日本ダービーに向かわなかった馬が距離を短縮し、その実力を発揮するパターンが多く、過去10年だけを見ても、ロードクエスト、アドマイヤマーズ、ジャンタルマンタル、マジックサンズの4頭が皐月賞の敗戦からNHKマイルCで連対を果たしている。

 そんな皐月賞組に匹敵する好成績を残しているのは、牝馬クラシック路線組だ。桜花賞からNHKマイルCに参戦してきた馬は皐月賞組に負けず劣らず好走しており、この距離なら「牡馬=牝馬」と考えてもいいだろう。牡馬か牝馬かを問わず、やはりクラシックを目指すような馬に優位性があるのがNHKマイルCの特徴である。

 ただし、今年は桜花賞組がおらず、皐月賞組にしても、アドマイヤクワッズとカヴァレリッツォの2頭だけで、両馬は前走で2桁着順に敗れている。創設以降の過去30回を見ると、皐月賞組は【3-5-5-44】の好成績だが、皐月賞で2桁着順に敗れた馬は【0-0-2-35】。1.3秒以上の差をつけられていた馬は【0-0-0-28】と巻き返すのは困難なことがわかる。カヴァレリッツォはあっても3着までだろう。

毎日杯組とファルコンS組に潜む“危険なデータ”

 続いて見ておきたいのが、通算【6-3-0-13】と驚異的な成績を残す毎日杯組。クロフネやキングカメハメハ、ディープスカイなどが毎日杯をステップにNHKマイルCを制したが、2011年までは【6-1-0-4】だったのに対し、2012年以降は【0-2-0-9】とかつての勢いはない。
今年唯一の出走馬、ローベルクランツにしても2着からの参戦で、かなり厳しい戦いを強いられそうだ。

 では1番人気が予想されるダイヤモンドノットはどうか。福永祐一厩舎のG1初勝利がかかる同馬の前走は中京1400mのファルコンSだった。同レースからの参戦は通算【2-1-2-27】とまずまずだが、重要なのがNHKマイルCにおける人気順。当日6番人気以下の【2-1-1-21】に対して、同5番人気以内は【0-0-1-6】といまひとつ。

 昨年のパンジャタワーも2020年のラウダシオンも9番人気という低評価を覆しての戴冠だった。データ通りならダイヤモンドノットも3着まで。狙うなら200mの距離延長を味方につけられそうな伏兵だが、今年は該当しそうな馬がいない。

 3戦2勝のエコロアルバも有力視される1頭だ。2歳新馬、サウジアラビアRCを連勝し、前走の朝日杯FSは0秒3差の4着と健闘した。休養明けはむしろ買いといわれる最近の競馬界だが、NHKマイルCに関してはそれが当てはまらない。前走が2歳G1だった馬は【0-0-0-9】と全滅している。
中にはセリフォス(1番人気)やオースミダイドウ(2番人気)、マイネルマックス(3番人気)、ゴンバデカーブース(4番人気)など有力視された馬もいたが、馬券に絡むことができていない。

積極的に狙いたいのは「王道マイル路線の実績馬」

 前置きが長くなったが、やはり積極的に狙いたいのがマイル路線を歩んできた馬だ。とりわけニュージーランドT組である。

 過去30年のNZT組の成績は【10-9-8-158】。馬券に絡んでいる馬も多いが、これは出走馬の数が多いため。勝率、連対率などはむしろ平均をやや下回っている。

 NZT組の中でも特に狙いたいのが、あと一歩足りなかった2~3着馬。NHKマイルCで【5-5-3-40】と連続好走を見せていて、特に3着だった馬は【4-0-1-22】と、中山から東京へのコース替わりを味方につけている。

 逆にNZTで1着だった馬は【3-2-0-22】で、3着馬と変わらない成績。2012年の勝ち馬カレンブラックヒル以降は【0-0-0-12】と不振に陥っている。3頭いるNZT組では優勝したレザベーションの評価を下げて、2着ロデオドライブと3着ジーネキングを上に取りたいところだ。

チャーチルダウンズC組は“末脚の質”が重要に

 最後は、2年前までアーリントンCとして開催されていたチャーチルダウンズCから参戦してきた馬。過去30年で【2-0-5-32】と、NHKマイルCで連対した馬は2頭しかいない。

 チャーチルダウンズC組で重要なのは、どれだけ速い上がりを使えていたか。
前走上がり4位以下の【0-0-1-18】に対して、同3位以内の馬は【2-0-4-14】と本番でも好走するケースが多かった。

 今年、これに当てはまりそうなのは、メンバー2位タイの末脚を駆使して優勝したアスクイキゴミと同最速で3着に食い込んだバルセシート。前者は今年のメンバーで唯一の無敗馬で、まだ底を見せていない未知の魅力を感じさせるが、2月1日のデビュー時期がネックとなりそう。これまで2月1日以降にデビューし、NHKマイルCに臨んだ馬は【0-0-0-15】という結果が残っている。

今年の“激走候補2頭”

 今年はローテーションという視点から、上位人気組に死角が少なくないことがわかった。先週の天皇賞・春ではヴェルテンベルクを注目馬として挙げたが、今週はズバり、ジーネキングバルセシートの2頭を激走候補にピックアップする。

<NHKマイルC>上位人気馬は“ほぼ壊滅”か…データが示す“激走候補2頭”。コントレイル産駒の一発に期待
ジーネキング 写真/橋本健
 特にジーネキングは前走のNZTで初めて差す競馬を敢行。先行馬有利な流れや馬場にもかかわらず、中団からいい末脚を見せた。寒い時期は惨敗続きだったが、気温とともに調子も上昇。1週前、最終追い切りともに超抜の動きを見せている。左回りに替わるのもプラスだ。

 週半ばには“ジーネキング回避”という真偽不明のうわさがSNSで出回ったが、無事にゲートイン。
今年絶好調の斎藤新騎手に導かれ、ここでコントレイル産駒がG1初制覇を飾るとみた。

文/中川大河

【中川大河】
競馬歴30年以上の競馬ライター。競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。競馬情報サイト「GJ」にて、過去に400本ほどの記事を執筆。
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