クラシック路線組が圧倒的な強さを誇る理由
本レースにおいて、毎年のように議論になるのが、異なる路線を歩んできた馬たちの横の比較だ。主に①王道のマイル路線、②(マイル未満の)短距離路線、③牡馬クラシック路線、④牝馬クラシック路線の4つに分類することができる。よく言われるのは、「NHKマイルCは牡馬クラシック路線で足りなかった馬たちの敗者復活戦」というフレーズである。実際に皐月賞で敗れ、日本ダービーに向かわなかった馬が距離を短縮し、その実力を発揮するパターンが多く、過去10年だけを見ても、ロードクエスト、アドマイヤマーズ、ジャンタルマンタル、マジックサンズの4頭が皐月賞の敗戦からNHKマイルCで連対を果たしている。
そんな皐月賞組に匹敵する好成績を残しているのは、牝馬クラシック路線組だ。桜花賞からNHKマイルCに参戦してきた馬は皐月賞組に負けず劣らず好走しており、この距離なら「牡馬=牝馬」と考えてもいいだろう。牡馬か牝馬かを問わず、やはりクラシックを目指すような馬に優位性があるのがNHKマイルCの特徴である。
ただし、今年は桜花賞組がおらず、皐月賞組にしても、アドマイヤクワッズとカヴァレリッツォの2頭だけで、両馬は前走で2桁着順に敗れている。創設以降の過去30回を見ると、皐月賞組は【3-5-5-44】の好成績だが、皐月賞で2桁着順に敗れた馬は【0-0-2-35】。1.3秒以上の差をつけられていた馬は【0-0-0-28】と巻き返すのは困難なことがわかる。カヴァレリッツォはあっても3着までだろう。
毎日杯組とファルコンS組に潜む“危険なデータ”
続いて見ておきたいのが、通算【6-3-0-13】と驚異的な成績を残す毎日杯組。クロフネやキングカメハメハ、ディープスカイなどが毎日杯をステップにNHKマイルCを制したが、2011年までは【6-1-0-4】だったのに対し、2012年以降は【0-2-0-9】とかつての勢いはない。では1番人気が予想されるダイヤモンドノットはどうか。福永祐一厩舎のG1初勝利がかかる同馬の前走は中京1400mのファルコンSだった。同レースからの参戦は通算【2-1-2-27】とまずまずだが、重要なのがNHKマイルCにおける人気順。当日6番人気以下の【2-1-1-21】に対して、同5番人気以内は【0-0-1-6】といまひとつ。
昨年のパンジャタワーも2020年のラウダシオンも9番人気という低評価を覆しての戴冠だった。データ通りならダイヤモンドノットも3着まで。狙うなら200mの距離延長を味方につけられそうな伏兵だが、今年は該当しそうな馬がいない。
3戦2勝のエコロアルバも有力視される1頭だ。2歳新馬、サウジアラビアRCを連勝し、前走の朝日杯FSは0秒3差の4着と健闘した。休養明けはむしろ買いといわれる最近の競馬界だが、NHKマイルCに関してはそれが当てはまらない。前走が2歳G1だった馬は【0-0-0-9】と全滅している。
積極的に狙いたいのは「王道マイル路線の実績馬」
前置きが長くなったが、やはり積極的に狙いたいのがマイル路線を歩んできた馬だ。とりわけニュージーランドT組である。過去30年のNZT組の成績は【10-9-8-158】。馬券に絡んでいる馬も多いが、これは出走馬の数が多いため。勝率、連対率などはむしろ平均をやや下回っている。
NZT組の中でも特に狙いたいのが、あと一歩足りなかった2~3着馬。NHKマイルCで【5-5-3-40】と連続好走を見せていて、特に3着だった馬は【4-0-1-22】と、中山から東京へのコース替わりを味方につけている。
逆にNZTで1着だった馬は【3-2-0-22】で、3着馬と変わらない成績。2012年の勝ち馬カレンブラックヒル以降は【0-0-0-12】と不振に陥っている。3頭いるNZT組では優勝したレザベーションの評価を下げて、2着ロデオドライブと3着ジーネキングを上に取りたいところだ。
チャーチルダウンズC組は“末脚の質”が重要に
最後は、2年前までアーリントンCとして開催されていたチャーチルダウンズCから参戦してきた馬。過去30年で【2-0-5-32】と、NHKマイルCで連対した馬は2頭しかいない。チャーチルダウンズC組で重要なのは、どれだけ速い上がりを使えていたか。
今年、これに当てはまりそうなのは、メンバー2位タイの末脚を駆使して優勝したアスクイキゴミと同最速で3着に食い込んだバルセシート。前者は今年のメンバーで唯一の無敗馬で、まだ底を見せていない未知の魅力を感じさせるが、2月1日のデビュー時期がネックとなりそう。これまで2月1日以降にデビューし、NHKマイルCに臨んだ馬は【0-0-0-15】という結果が残っている。
今年の“激走候補2頭”
今年はローテーションという視点から、上位人気組に死角が少なくないことがわかった。先週の天皇賞・春ではヴェルテンベルクを注目馬として挙げたが、今週はズバり、ジーネキングとバルセシートの2頭を激走候補にピックアップする。
週半ばには“ジーネキング回避”という真偽不明のうわさがSNSで出回ったが、無事にゲートイン。
文/中川大河
【中川大河】
競馬歴30年以上の競馬ライター。競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。競馬情報サイト「GJ」にて、過去に400本ほどの記事を執筆。
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