竹内涼真主演ドラマ『再会~Silent Truth~』(テレビ朝日系)には、やたら癖の強いキャラクターがいた。ネバネバと粘性のある訛り言葉を操るその人は、山田純大が演じていた。


 堺雅人主演の大ヒットドラマ『半沢直樹』シリーズ(TBS系)では、朗々(ろうろう)としたネチネチキャラを演じ、ネット上でも話題になった。

 俳優デビュー作は、1997年放送の連続テレビ小説『あぐり』(NHK)。30周年を迎えようとしている大ベテラン俳優だ。そんな山田純大について、“イケメン研究家”加賀谷健が解説する。

江戸弁から茨城弁への豊かな変化

実は父親が有名俳優。『半沢直樹』でクセ強ネチネチキャラも演じ...の画像はこちら >>
「べらぼうな世の中があってたまるか」

 1971年にフジテレビで放送された、時代劇ドラマ『一心太助』第2話冒頭で、画面を活気づけていた台詞だ。同作が民放初単独主演だった杉良太郎が、主人公・一心太助を江戸っ子情緒たっぷりに演じていた。

 一心太助とは、江戸の人情や人助けの粋を象徴する、時代劇ではお馴染みのキャラクターである。そんな一心太助の頻出ワードが「べらぼう」であり、江戸弁(江戸言葉)の代表として、横浜流星主演の大河ドラマではタイトルにもなった。

 べらぼうはもともと、「バカ者」を意味し、そこから「甚だしい」や「並外れた」といった意味合いに広がった。ではこれを江戸弁から茨城弁にしてみるのはどうか。何とも豊かな変化がある気がする……。

山田純大は杉良太郎の息子

実は父親が有名俳優。『半沢直樹』でクセ強ネチネチキャラも演じた53歳俳優の“名人芸”とは
杉良太郎著『生涯献身』(徳間書店)
 正確に当てはまるかは微妙だが、茨城弁では「ごじゃっぺ」がバカ者を意味する。「ごじゃっぺよ」だと「バカ者め!」となるだろうか。2026年1月期放送ドラマ『再会~Silent Truth~』では、この茨城弁が杉良太郎の江戸弁以上に画面を活気づけていた。


 第1話後半、三ツ葉警察署管内で事件発生。久しぶりの捜査会議で張り切る刑事課長・盛田昭二(山田純大)が、ホワイトボードに状況を書いている。でも字が大きく読みづらい。

 部下の警察官が他の人に書いてもらったらどうか指摘すると、盛田が「ごじゃっぺよ」と一喝する。

 なぜかサングラスをかけているビジュアルも相まって、とにかくキャラの癖が強い。

 だが、同じ「バカ者」を意味する江戸弁から茨城弁への豊かな変化が確かにあるのは、何を隠そう、盛田役の山田純大は杉良太郎の息子だからだ。

粘りのある名演から俳優デビュー30周年へ

実は父親が有名俳優。『半沢直樹』でクセ強ネチネチキャラも演じた53歳俳優の“名人芸”とは
画像:『再会~Silent Truth~』テレビ朝日公式サイトより
 第1話冒頭、主人公の刑事・飛奈淳一(竹内涼真)との通話場面で盛田が初登場するのだが、さっそく「でっから」という語尾が炸裂していた。ネット上では、盛田の出身地がいったい、どこなのか話題になっていた。

 山田純大は、方言だけで視聴者の関心を強く引きつける。実に粘りのある名演ではないか。

 2013年放送の国民的ヒットドラマ『半沢直樹』でも、粘性がある嫌みなキャラクターを演じていた。同作第8話、主人公の営業第二部次長・半沢直樹(堺雅人)と山田演じる融資部次長・福山啓次郎が対峙する、白熱の会議場面は見応えがあった。


 銀行内では「リサーチの福山」と呼ばれ、ネット上では「タブレット福山」と命名された。どんなシチュエーションでもタブレットを片手にデータを分析。相手と目も合わせず、画面上を人差し指でカチカチ鳴らす音。

 1997年放送の連続テレビ小説『あぐり』(NHK)での俳優デビューから30周年、ネバネバ、ネチネチの名人芸でさらなる代表作を更新してほしい。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
イケメン研究家 / (株)KKミュージック取締役
“イケメン研究家”として大学時代からイケメン俳優に関するコラムを多くの媒体で執筆。アーティストマネジメント、ダイナマイトボートレース等のCM作品やコンサートでのクラシック音楽監修、大手ディベロッパーの映像キャスティング・演出、アジア映画宣伝プロデュースを手掛ける。他に、LDHアーティストのオフィシャルレポート担当や特典映像の聞き手など。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。
X:@1895cu
編集部おすすめ