2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(40歳・以前は小林悠として活動)。

 20年間生活した東京をあとにして、故郷北海道で自然や犬との気ままなシンプルライフを楽しむアンヌさん。
本連載では、40代の今だから感じる日々のあれこれを綴ります。
 第92回となる今回は、最近できた“推し”への不思議な感情について綴ります(以下、アンヌさんの寄稿です)。

サッカーノルウェー代表・ハーランド選手に抱いた感情

北海道在住・40歳の元TBSアナがサッカー界のスターに抱いた...の画像はこちら >>
「推し活」と聞くと、どんな感情がわいてくるでしょう。かっこいい、かわいい、会いたい、応援したい。もちろんそれも推し活の醍醐味。

 でも40歳になった私は、最近それとは少し違う感情を知ったのです。「この人を好き」というより、むしろ「この人になりたい」というもの。

 きっかけは、サッカー・ノルウェー代表のアーリング・ハーランド選手。

 私は普段、北海道日本ハムファイターズを追いかける「野球の民」。サッカーワールドカップが始まる前は、自分がサッカーをここまで熱心に見るとは思ってもいなかったというのが正直なところ。

 ところが、いつの間にかハーランドの存在が気になり始めたのです。

 190センチを超える長身。波打つ金髪をかわいいヘアゴムでまとめ、必要以上には走らず、ここぞという場面でゴールを決める。
余裕があるのに威圧感がある。それでいて、インタビューでは礼儀正しく穏やか。

 気づけば私は彼のInstagramまでフォローしていました。

ハーランドの生活は“理想のどさんこ”!?

 とはいえ、その感情は「かっこいい!」に収まらない不可思議なもの。

 ファイターズの選手を見るときは、「ケガだけはしないで」「おいしいもの食べてね」と、どちらかというと母のような目線になる私ですが、ハーランドに抱いた感情は、「私もハーランドになりたい」というもの。

 何を言っているんだというご意見は重々承知です。はい。だって私アスリートでもないし、40歳女性でも、この謎の感情の正体を考えてみたら、自分でも納得したのです。

 ハーランドはノルウェー代表。彼の身体をつくっているのは、牛肉、牛乳、そして特産品のサーモンだそう。大量のタンパク質を摂り、豊かな自然に囲まれた環境で育ち、引退後は農場を経営したいと語っているハーランド。

 ……あれ? これ、まさしく北海道民じゃない? と気づいてしまったのです。

 鮭を食べ、牛乳を飲み、牛肉を食べ、自然を身近に感じながら暮らす。
四季の移ろいが明確で、アウトドアライフも時にはゆったり楽しむなんて幸せに暮らしている理想的どさんこの姿よ!?

北欧デンマーク発祥の「ヒュッゲ」という概念

北海道在住・40歳の元TBSアナがサッカー界のスターに抱いた“まさかの感情”「私も…」
アンヌ遙香さん
 さらに彼は、エルメスや高級車などの高額な買い物もする一方で、文化への投資を惜しまないという姿勢があり、それがまた魅力。

 同じくアスリートであった父親とともに数千万円という書籍を地元の図書館に寄贈し、一般公開できるようにしたと聞いています。

 購入した書籍は16世紀に書かれた貴重なヴァイキング叙事詩。現存する唯一の写本だそうで、そんなノルウェーの貴重な歴史書を誰でも見られるよう寄贈したという話を知ったとき、ますます尊敬の念が。

 スポーツだけではなく、本や教育、文化も大切にする。なんて素敵!!!

 そこから私の中で、小さな変化が始まったのです。

 ハーランドへの興味がノルウェーおよび北欧そのものにむき、「ヒュッゲ」をテーマにした本をかたっぱしから読み始めているのです。

 ヒュッゲは「世界で最も幸福度が高い」とされているデンマークに伝わることばで、「安らぎ」や「温かなつながり」「お気に入りにかこまれて生活する」などの概念をあらわす言葉。「満ち足りること」という意味のノルウェー語が語源なんだとか。

 居心地のいい時間を大切にすること、自然と共に暮らすこと、必要以上に物を持たず、家族や友人との時間をじっくり味わうことなど、知れば知るほど概念としての北欧にハマり始めた私。

 これが私に良い変化を与えてくれています。

“イマジナリーハーランド”のおかげで…

北海道在住・40歳の元TBSアナがサッカー界のスターに抱いた“まさかの感情”「私も…」
イマジナリーハーランド
 というのも最近、家の中で困ったことがあると、「北欧の人ならどうするだろう」と考えるようになったのです。

 もちろん本物の北欧の人ではないわけで、頭の中の「イマジナリー北欧人」および「イマジナリーハーランド」。


 例えば、ドライヤーのコードがぐちゃぐちゃだとして、以前なら「まあいいや」で終わっていたところでした。

 でもイマジナリーハーランドは、きっと丁寧に巻くでしょう。だから私も巻く!

 冷蔵庫の中身もそう。飲みかけのトマトジュースがあるのに、新しい飲むヨーグルトを開けようとした私に、頭の中のイマジナリー北欧人およびハーランドが話しかけるのです。

「まず、それを飲み切ろう。冷蔵庫、すっきりさせよ?」

 誰に怒られたわけでもないのに、ちゃんと飲み切る。そんな小さな積み重ねで、家の中は驚くほど整っていくではないですか! イマジナリーハーランドのおかげで家がきれいになっていく!!

 日本では「北欧暮らし」に憧れる人が多い印象があります。

 北欧家具、北欧食器、『かもめ食堂』。私は、ハーランドを入口に北欧にたどりつきました。

 そして気づいたのは、雪が降り、自然が豊かで、鮭も牛乳も牛肉もおいしい北海道との共通点の数々。

 犬と散歩をし、ときにはアウトドアを楽しみ、四季を味わう。憧れていた北欧のエッセンスは、北海道にこそある!!

 というわけで私は今日も鮭を食べ、シンクをきれいにみがきます。


 どさんこ風ヒュッゲ、およびイマジナリーハーランド生活。なかなかよいですよ。

<文/アンヌ遙香>

【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道札幌出身、在住。現在はフリーアナウンサーとしてSTV「どさんこWEEKEND」メインMCや、情報番組コメンテーターして活動中。北海道大学大学院博士後期課程在籍中。文筆家。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram: @aromatherapyanne
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