10月13日から放送されるドラマ10『会社員』(NHK総合、毎週火曜22時~)。

 会社人間として勤務先の大企業に長年尽くしてきた主人公・宮木英理子(吉田羊)。
ある日、匿名の脅迫文が届いたことをきっかけに、自身のキャリアが大きく揺らぐことになる――。

吉田羊が海外の撮影現場で驚いたこと。「どんなに撮影が乗ってい...の画像はこちら >>
 サスペンスドラマとしてのハラハラドキドキ感がありながらも、“女性のキャリア”について考えたくなる本作。主演を務める吉田羊さんは1997年に舞台役者としてデビューして以降、現在までにさまざまな作品に出演するなど、確かなキャリアを築いてきた。そこで吉田さんにキャリアを築いていく中での、仕事に対する考え方の変化、撮影現場の変化など、幅広く話を聞いた。

「この先、何作品できるんだろう」

──キャリアを重ねる中で、仕事への向き合い方が変わった部分はありますか?

吉田羊(以下、吉田):私は映像の世界に入るのが遅かったので、当時は仕事をいただけるだけでただただありがたくて、とにかくたくさん仕事をしたかったんです。それで身体を壊したとしても、その痛みさえ生きている実感につながっていました。だから、若干無理をしてでも仕事を入れていましたね。

でも、年を重ねて、フィジカル的に難しくなり、「この先、何作品できるんだろう」というカウントダウンのフェーズに入ったなと感じたんです。今後は、1つの作品にきちんと時間をかけて向き合うペースを作っていかないといけないし、そうしたいなと思うようになりました。

──仕事への姿勢を変えて、景色が変わったことはありますか?

吉田羊が海外の撮影現場で驚いたこと。「どんなに撮影が乗っていてもパツンと切られる」仕事より優先される“大切な時間”は
『会社員』主演の吉田羊さん
吉田:正直に言うと、まだ実践できてはいないんです。「そうしたいな」と思っている段階で(笑)。なので、変わった実感はないですけれど、そう思い直したこと自体が、私にとっては大きな変化でした。ずっとこのまま仕事を詰め込んで生きていくんだと思っていたので。


──詰め込んだ若い時があるからこそ、今の活躍につながっているのかもしれませんね。

吉田:そう思いたいですね。経験を重ねたことで見えるものってあるなと。

海外と日本の働き方の違い

──今後、挑戦してみたいことはありますか?

吉田:「今まで経験しなかった現場に飛び込んでみたい」という思いがあります。だから、身体がついてくるのであれば、海外での仕事にも挑戦したいです。

──それはなぜですか?

吉田:日本と海外との合作をいくつかやらせていただいたのですが、スタッフさんのあり方が、日本とは明確に違うなと思ったんです。撮影中にきちんと休みを取るんですよ。食事も含めて、どんなに撮影が乗っていても、ランチタイムになったらパツンと切られる。心身の健康があってこその仕事だという価値観でみなさん働いていて、人が人として現場で働ける環境なんです。

──また違った刺激を味わえそうですね。

吉田:そうですね。あと、休みを大切にする姿勢などを経験して、これが正解だし、日本もこれがスタンダードになってほしいなと思いました。

吉田羊が海外の撮影現場で驚いたこと。「どんなに撮影が乗っていてもパツンと切られる」仕事より優先される“大切な時間”は
『会社員』©NHK
──そうした経験や考えを、日本の現場でも発信したりしているのですか?

吉田:取材で聞かれたら「海外ではこういう働き方をしていて~」と答えますが、自分から進んで発信するというのは、なかなかできていません(笑)。
ただ、「働き方が徐々に良いほうに変わってきているな」という実感はありますね。

働きやすくなったことの“弊害”?

──コンプライアンスの意識も高まっていますが、役者さん同士の接し方に変化はありますか?

吉田:最近は、作品に入る前に「リスペクト講習(相手を尊重する姿勢や、より良い人間関係を築くための考え方を学ぶ講習)」がある現場が多いです。そのおかげで、性別や年齢を問わず、「相手を尊重する」という価値観を共通認識として持って、コミュニケーションがとれるようになりました。

──リスペクト講習によって、具体的に変わったことは?

吉田:コミュニケーションをとろうとする時に、一度立ち止まって「この言葉は相手を傷つけないだろうか?」「ちゃんと心に届く言葉を選べているだろうか?」と考えられるようになりました。それはとても良いことだと思います。実際、働きやすくなりましたね。

──働きやすい環境が整備されていくことで、むしろ困ったこともありそうですが。

吉田羊が海外の撮影現場で驚いたこと。「どんなに撮影が乗っていてもパツンと切られる」仕事より優先される“大切な時間”は
吉田羊さん
吉田:仲良くなりたくてご飯に誘いたいのに、「誘ったら気を遣わせるかな」「年上ハラスメントや飲みハラスメントにならないかな」と考えてしまうのは、ちょっと寂しく思う部分もあります。私自身、「誘われたらプレッシャーにならないか?」と心配して、誘えなくなってしまうんです。

──どうしたら誘いやすくなりそうですか?

吉田:なるべく現場でお話をするようにしています。「相手の話を聞いて、誘っていい人かどうかを見極める」みたいに、誘う前から準備をしているところはありますね(笑)。

吉田羊が海外の撮影現場で驚いたこと。「どんなに撮影が乗っていてもパツンと切られる」仕事より優先される“大切な時間”は
『会社員』


『会社員』©NHK(以下同じ)

吉田羊が海外の撮影現場で驚いたこと。「どんなに撮影が乗っていてもパツンと切られる」仕事より優先される“大切な時間”は
『会社員』


吉田羊が海外の撮影現場で驚いたこと。「どんなに撮影が乗っていてもパツンと切られる」仕事より優先される“大切な時間”は
『会社員』


吉田羊が海外の撮影現場で驚いたこと。「どんなに撮影が乗っていてもパツンと切られる」仕事より優先される“大切な時間”は
『会社員』


<取材・文&人物写真/望月悠木>

【望月悠木】
フリーライター。
社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki
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