(台北 26日 中央社)“天然のパン”をうたい文句に売上げを伸ばしてきた台湾のベーカリーチェーン、「パン達人手感[火共]焙」(胖達人)のパンに人工香料が使用されていたことが発覚、台湾で騒ぎになっている。この事件で25日夜、創業者で元会長の荘鴻銘被告が台北地検に出頭、パンの製造販売をめぐる詐欺容疑で4時間にわたる取り調べの後、罪状は深刻だが拘留の必要はないとして100万台湾元(330万円)で保釈された。


「パン達人」に対しては、天然と称して販売していたパンの中からリュウガン、メープルシロップ、チョコレート、ライチ、アールグレー、ワイン、レモンヨーグルト、ブルーベリー、ラズベリーの人工香料計9種類が検出されたことから、虚偽の広告があったとしてすでに18万元(59万円)の罰金が課されている。その後、台北地検では24日、事件を詐欺容疑に切り替え捜査を開始、同社の会長や社長、経理担当者など経営陣の取り調べを行っている。

荘被告は25日の取り調べで、パンにはクルミやレーズンなどまぎれもない天然食材が使われており、使用した人口香料も合法的な食用成分で問題はないとし、パンがおいしいから“この値段”なのであって、(詐欺だと騒ぐのは)消費者が勘違いしているにすぎず自分に詐欺の意図はないと言い切ったという。

「パン達人」は台湾のほか上海、香港にも店舗を展開しているが、今回の騒動はあるパン好きの香港人がインターネット上で同チェーンについてコメントしたのが事の発端。「いい匂いがいつまで経っても消えないのはパンに含まれている人工香料のせい」と天然をうたって高価なパンを販売しておきながら実際には化学添加物を使用するという「パン達人」のやり方は不誠実などと批判したことから、たちまち台湾で問題とされ大きな騒ぎとなった。

(編集:谷口一康)