(台南中央社)南部・台南市で9日、烏山頭ダムのきれいな水でかんがいした対日輸出用のコメ「台南11号」の出荷式が行われた。式典に立ち合った黄偉哲(こういてつ)市長は、日本の消費者が味を気に入り、主要顧客になってくれればと期待を示した。


同市政府農業局によると、同市は台湾の米どころの一つで、栽培面積は2万4000ヘクタールと、全国の約9%を占める。品質と競争力を高めるため、同市は行政院(内閣)農業委員会農糧署とともに優良品種や栽培管理技術の導入に取り組んできた。

今回輸出されるのは300トン。生産業者の弘昌碾米工廠は、栽培から収穫、精米、包装全てに対応できるワンストップ管理システムを2004年に導入。トレーサビリティー(生産履歴追跡)や有機認証などの制度を確立し、19年に日本の厳しい残留農薬、重金属の検査に合格した。昨年1年間で、日本向けの約45%を占める3800トン余りの受注があったという。
同社は、日本との長期的な協力関係の持続と市場のさらなる拡大に期待を寄せている。

烏山頭ダムは、日本統治下の台湾で水利事業の発展に貢献した技師の八田与一が設計を担当した水利施設。かつて干ばつに悩まされた嘉南平原(嘉義、台南一帯)を台湾の主要な穀倉地帯に生まれ変わらせた。

(楊思瑞/編集:塚越西穂)