洪水は台風18号による大雨でせき止め湖が溢水(いっすい=水のあふれ出し)したことにより発生。大量の水が同県光復郷の市街地に流れ込んだ。中央災害対策センターによれば、25日午後3時前までの統計で洪水により14人が死亡、22人が行方不明になっている。
王さんの娘婿の李さんによれば、1人暮らしだった王さんは、溢水が起きる前に避難所に身を寄せていた。だが23日午後2時過ぎ、外の天気が良かったこともあり、本人の強い希望で帰宅。それから1時間もたたないうちに、せき止め湖で溢水が発生した。
警報を聞いた李さんは急いで王さんの自宅へ向かったものの、すでに水が家の中に押し寄せており、間に合わなかったという。水が引き始めた午後7時ごろに再度自宅に向かうと、居間にいる王さんを見つけたが、再び水かさが増したため一人で屋上に避難。24日午前3時ごろになって、李さんは救助隊によって救助された。
李さんは、王さんの自宅から500メートルほど離れた平屋にも少なくとも3人が取り残されて連絡が取れなくなっており、いずれも低い土地で水位は最も高い所で1階を超える高さに達したと説明。「これだけ長く救出されていないので、生存は難しいだろう」と語った。
王さんの長女は、母は健康そのもので、年初には家族で旅行に出かけたばかりだったと振り返る。
王さんの自宅があり、犠牲者が最も多かった通りの一つ「佛祖街」では、25日朝から重機を使った泥の撤去が始まった。未だ住民の安否が確認できていない民家が5~7戸ほどあるものの、作業中には水位が再び上昇し、作業隊が一時避難する場面もあった。
王さんの家族らは、泥などの除去作業を眺めながら、家までの道のりがとても長く感じると口にした。
(張祈/編集:田中宏樹)