(東京中央社)元陸上自衛隊西部方面総監の小川清史氏は25日、日本李登輝友の会が東京都内で開催した台湾セミナーで講演し、台湾有事を巡る高市早苗首相の発言について、中国に台湾侵攻に関する既存シナリオの見直しを迫るもので、発言の意義は大きいとの見方を示した。

小川氏は、国防部(国防省)は中国の台湾侵攻について、台湾に対して認知戦を仕掛けて社会混乱を起こし、軍艦を使って台湾を包囲し、外国軍の介入を阻止する「平時の段階」、ミサイルを台湾の軍事施設に撃ち込み、サイバー攻撃で指揮システムをまひさせる「演習から戦争への移行」、海空が優勢な態勢を取り、台湾に上陸する「本格侵攻」の3段階で展開されると見込んでいると指摘した。


その上で、「中国にとって大事なことは、外国軍の介入前に、台湾制圧を完成すること」だと分析。戦艦を使い、武力の行使を伴うものであれば「存立危機事態になり得る」とした高市首相の発言は、1段階目に当たる「平時の段階」を指しているとし、中国にとっては想定外だったのではないかと語った。

また「戦術的には(攻撃側は)少なくとも防御部隊の3倍の戦力がないと勝てない」と強調。台湾の陸軍兵力を約10万人規模とした場合、中国は約30万人の動員が必要となり、食料や燃料、弾薬など、後方支援は相当な規模になるとの見込みを示した。

さらに、台湾は有事の際、持久戦や縦深防御などの戦略を採用し、沿岸から多層的な防御態勢で時間を稼ぎ、外部からの支援や介入を待つと予測。中国が台湾の制圧に成功しても、日本やフィリピン、米国の反撃に直面し、沖縄やフィリピン方面への追加展開が必要となり、戦線が拡大する可能性があるとし、中国が台湾を容易に掌握するのは困難だとの見方を示した。

(戴雅真/編集:齊藤啓介)
編集部おすすめ