伊藤園とネスレ日本は4月から、物流効率化に向けた共同輸送とラウンド輸送を開始した。トラックドライバー不足など物流を取り巻く課題が深刻化する中、「お~いお茶」と「ネスカフェ」に代表される“お茶とコーヒー”の企業が、物流面でタッグを組んだ形だ。
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今回の取り組みは、静岡~千葉間の共同輸送と、静岡~関西間のラウンド輸送の2本立てで実施する。ラウンド輸送とは、往路で荷物を届けた後に復路で別の荷物を積むことで、荷物が空の状態で戻らないようにする輸送方式のこと。
静岡~千葉間の共同輸送では、ネスレ日本の飲料製品「ネスカフェ ボトルコーヒー」を積載した際に生じる上部スペースに、伊藤園の軽量なリーフ製品「さらさらとける お~いお茶 抹茶入り緑茶」などを積み合わせる。両社が従来、それぞれ個別に輸送していた製品を組み合わせることで、荷台の容積を有効活用し、積載効率を高める。これにより、トラック台数を従来比で23%削減できる見込み。運用開始日は4月6日で、頻度は週1回片道となる。
一方、静岡~関西間のラウンド輸送では、往路でネスレ日本の島田工場の出荷倉庫から関西の物流拠点へ「ネスカフェ ボトルコーヒー」を輸送し、復路で伊藤園の物流倉庫から伊藤園静岡工場へ「お~いお茶」などに使用する原料茶葉を運ぶ。これまで空車で運行していた区間を活用し、トラック1台当たりの稼働効率を高める。ラウンド輸送では、トラック台数を従来比で50%削減できる見込み。運用開始日は4月7日で、頻度は週1回往復となる。
両社の組み合わせが実現した背景には、発着地や輸送ルートなど物流上の条件が合致したことがある。ネスレ日本によると、食品・飲料メーカーの物流部門同士では情報交換が活発に行われており、千葉県野田市の倉庫を両社が利用していたことなどから、「一緒にできることはないか」という検討が今年1月ごろから始まったという。
また、伊藤園とネスレ日本は、従来から製品面で取引関係があった。ネスレ日本の「キットカット」では、伊藤園の抹茶を使用した製品などを展開してきたほか、原料取引もあった。一方で、物流面での連携は今回が初めてとなる。
ネスレ日本の広報担当者は今回の取り組みについて、「競合かどうかということではなく、お互いに運べるものがあり、共通するルートがあるなら、効率よく一緒に運びましょうということで話が進んだ」と説明する。今後の頻度や対象ルートの拡大については、まず今回の運用状況を見ながら検討していく考えだ。
伊藤園も、物流問題を企業間の競争領域ではなく、業界や業種を超えて解決すべき社会課題と位置づけている。同社広報担当者は「物流問題は、競合と競い合う部分ではなく、同じ社会課題を解決していくもの。同業種であっても異業種であっても、そうした枠を超えて、このような取り組みは広がるべきだと考えている」としている。
静岡~千葉間の共同輸送では、ネスレ日本のペットボトル飲料を積載した際に生じる上部スペースを、伊藤園の軽量なリーフ製品で活用する点が特徴となる。伊藤園は「当社には飲料だけでなく、リーフ製品もある。ネスレ日本社のペットボトル製品を積んだ際に空くスペースへ、軽いリーフ製品を載せることで共同輸送が可能になった。リーフ製品を持っているからこそ、協業の幅が広がった面がある」と説明する。
伊藤園では、2024年問題を背景に、業種・業態を超えた物流協業の取り組みを強化している。2024年7月ごろから、日清食品とのラウンド輸送、コカ・コーラ ボトラーズジャパンとの協業配送、全農グループとの飲料と米穀のラウンド輸送、森永製菓との共同輸送などを進めてきたという。
ネスレ日本も、昭和産業との小麦粉のラウンド輸送や、日清食品との共同輸送など、他社との物流連携を進めている。今回の取り組みは、そうした流れの中でも、「お茶」と「コーヒー」という生活者にもなじみのある商材を持つ両社が連携した点が特徴だ。
両社は今回の取り組みにより、積載率の向上やトラックの使用台数削減につなげる考え。物流人材の不足や輸送効率化への対応が求められる中、“お茶とコーヒー”の連携は、食品・飲料企業による業界横断型の物流協業を象徴する事例となりそうだ。









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