斬新なスタイルを取り入れたイタリアの実験的な家「カーサ・スペリメンターレ(Casa Sperimentale)」廃墟


 ローマの中心から海に突き当たるまで西へ真っ直ぐ進み、ほんの少し南に下ったフレジェーネ地区に、「カーサ・スペリメンターレ(Casa Sperimentale)」、すなわち、「実験的な家」という名の家がある。

 いや、正確には、家「だったもの」があるのだ。

 現在では廃墟となっている。

 そのスタイルは非常に先鋭的で斬新なスタイルで、オブジェのようにも見える。これはブルータリズムという建築様式をとりいれたものだ。

【7年の月日をかけて建築された先鋭的な家】

 一見すると、公園の古びた遊具にも見えるこの建物は、「カーサ・アルベーロ」という名でも知られている。

 ジュゼッペ・ペルジーニ氏と妻のウーガ・デ・プライサント氏、後には息子のライナルド氏を加えたイタリアの建築家の一家が、7年をかけて造り上げたものだ。

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 一家は休暇用の別荘を新しい建築技法と、それまでとは異なる形態の居住空間を実験する機会と捉えた。
選択されたスタイルは、1950年代に見られるようになった建築の形式、ブルータリズムだ。

 ブルータリズムは荒々しさを残した打放しコンクリート等を用いた彫塑的な表現を特徴とし、冷酷で厳しい獣のような(すなわちブルータルな)手法を用いた表現主義である。

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 松の木々の間に、方体と球体のモジュールからなる建物が、コンクリートの枠組みの中に、明確な意志によって組み立てられている。また、近辺の地面にも、同様のモジュールが散らされている。

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 主となる建物と地上を結ぶ赤い階段は、吊上げ橋のように地面から引き上げることができ、上げてしまえば誰も中に入ることはできなくなるのだ。

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 さらに詳しい様子は、YouTube動画で観ることができる。


【デジタル化による保存の試み】

 さて、落書きまみれとなってしまったこの建物を、二人の建築家がデジタルデータとして保存しようと試みている。ロンドン大学バートレット建築校の研究者でもある、パトリック・ウェーバー氏とサビーン・ストープ氏だ。

 二人の目標は、いまや不安定になってきたこの建物の、建築学的な奇抜さを包括したドキュメントを作成することである。そうすることで、物理的に、あるいは少なくともデジタルの世界で、保存することが可能になるからだ。

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 そのため、二人はエキシビションのためのデジタル記録プロジェクトを引き継ぎ、3Dスキャニング会社 "ScanLAB" の写真家、アンディ・タイ氏と共同で作業を行った。

 「これは実験的建築の優れた例です」と研究者たちはいう。
「包括的な研究と記録に値します。そうすれば、この物語は失われず、世界中の建築家たち、また建築を学ぶ学生たちが、永遠に無視され、破壊されつくしてしまう前に、そこから学ぶことができるのです」

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Casa Sperimentale by Giuseppe Perugini, Uga de Plaisant and Raynaldo Perugini - 3D Scan
References: Dezeen など / written by K.Y.K. / edited by parumo

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