オランダ海域で16世紀の難破船が偶然発見される。海洋船舶の発見としては最古のものである可能性


 オランダ海域に沈んでいたこの船は、まったくの偶然から発見された。海洋船舶の発見としては最古のものと言われている。

 今年初め、悪天候に見舞われた貨物船が運搬中のコンテナを大量に海に落としてしまい、その回収作業中に偶然この難破船を発見したのだ。
【海中に落下したコンテナを捜査中に偶然発見された16世紀の船】

 2019年始め、ポルトガルからドイツへ向かっていた貨物船MSCソエ号が悪天候にみまわれ、積んでいた200個以上のコンテナが海中に落下した。

 積み荷の一部はドイツやオランダ沿岸に流れ着いたが、今月、海上輸送ソナーを使って捜索していたところ、海底に何かがあるのを探知した。

 最初はソエ号の落とし物のコンテナかと思われたが、よく調べてみると沈没した16世紀のオランダ船の建材とおよそ5トン分にもなる銅板であることが判明したのだ。

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丸い銅板が取りつけられた木の梁

この発見は、まったくの偶然で幸運だったとしかいいようがありません。この驚くべき沈没船について開示される情報に大いに興味をそそられます。

考古学的にも貴重だし、人々の好奇心や想像力を大いにかきたてるでしょう。オランダ遺産の豊かさがよくわかります

 と語るのはオランダ教育・文化・科学省大臣のイングリット・ファン・エンゲルスホーフェン氏。

【1540年に建造されたオランダの船であることが判明】

 船の建材を分析すると、1536年にオランダで伐採された木であることが判明した。全長13メートルの船は1540年に建造されたもので、当時、この船は『Fugger(フッガー)』という家名が刻印された銅板を運んでいた。

 フッガー家は、15~16世紀に商業と銀行業で財を築いたドイツの名門で、資本主義的経済概念の発展に貢献した。

 オランダ文化遺産庁は、この船は文化的にも考古学的にも非常に価値があるものと言っている。

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難破船から見つかった4つの丸い銅板

【近年になり難破船発見が相次ぐ】

 最近、難破船発見が目白押しだ。昨年末には、1684年に沈没し、1971年まで発見されなかったオランダ商船シーダム号の積み荷が新たに発見され、錆びついた17世紀の手榴弾や、装飾の美しい大理石が出てきた。

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 つい先月には、イギリスのコンウォール沿岸で1600~1800年代の錨が発見され、その大きさと年代から、1641年に沈んだイギリス船マーチャント・ローヤルのものだと言われている。


 今回見つかった沈没船の場合、フッガー家の銅板を運んでいることしかわかっておらず、誰のものだったのか、どこへ向かって航海していたのか、まだはっきりしたことはわからない。オランダ政府筋は、今後もさらなる調査を継続していくと言っている。

References:cultureelerfgoed / abc.net/ written by konohazuku / edited by parumo

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