
罪を犯した者への刑罰は古くから存在するが、主に17世紀のイギリスの教会で行われていた指ロックの刑が話題になっている。
これは文字通り指を固定するもので、フィンガー・ピロリィという専用の器具まで作られていた。
当時この刑に処されたのは重罪人ではないものの、教会で説教を聞かなかったり、クリスマスの祝祭で大騒ぎするような人たちだった。
[動画を見る]3 Finger Pillory
【据え付けの台で指をロックする刑】
ピロリィ(pillory)とは、かつて欧米で使われていた刑罰用具の一種で、罪人もしくは罪を犯したと疑われている人の手や首を固定してさらす台を意味する。
つまり「フィンガー・ピロリィ」とは、指をロックする台のこと。
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この台は指の関節を曲げたまま固定するもので、17世紀頃の教会などに設置され、説教に耳を傾けないなどの無礼な者への罰に使われた。
以下は、イギリスのセントへレンズ教会に現存するフィンガー・ピロリィだ。この教会では観光客が指ロックの刑を体験できるらしい。
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指ロックの刑に使用された器具の蓋を開けると、そこにはいくつか穴が並んでいるのがわかる。
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この奥のL字型の空洞に指を曲げて入れる。
そして蓋を閉められると刑の執行が開始される。
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【教会の祝祭を妨害する人への罰】
17世紀のイギリスの博物学者ロバート・プロット(1640-1696)によると、こうした刑は教会のクリスマスの祝祭で騒ぐ人を懲らしめるためにできたという。
当時はクリスマスの祝宴の仕切り役が、大事な宴を邪魔する非礼な者や無法な者の指を同意のもとで固定した。その中には乱痴気騒ぎを起こす人々も含まれていたそうだ。
【ひどい苦痛を伴った可能性も】
このように指を固定する刑は古くから存在していたらしく、イギリスの作家のウィリアム・アンドルーズ(1848-1908)が著した、中世の罰にまつわる本「Medieval Punishments」でも取り上げられている。
指を閉じ込められた罪人は、それが開かれるまでじっと待つしかなかった。アンドルーズは「もしこの姿勢でずっと拘束されたなら、ひどい苦痛を伴ったに違いない」と綴っている。
叩かれたり殴られたりするようなものではないが、長時間だとかなりきつい気がする。その場からも動けないし、一見軽そうで徐々に苦痛が増す刑とみた。
ちなみに以下はイギリスの歴史資料館による「フィンガー・ストックス」の再現動画だ。これも指ロックの一種だが器具は据え付けではなく、現代の手錠に通じるものがある。
[動画を見る]Finger Stocks (aka Finger Cuffs) - Victorian school punishment - Dean Heritage Centre
この刑はヴィクトリア朝(1837-1901)の頃も行われていたという。にしてもけっこう最近まで使ってたんだな。
References:boingboing / youtubeなど /written by D/ edited by parumo
記事全文はこちら:17世紀のイギリスで軽犯罪を犯した者に行われていた「指ロック」の刑とは? http://karapaia.com/archives/52274310.html
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