雪山で遭難し動けなくなった飼い主の体を13時間温め続けたマラミュート犬。両者ともに無事救助
 クロアチアで雪山にハイキングに出かけた男性が、滑落して負傷した。動けない状態となった飼い主を、13時間にわたって温め続けたのは愛犬のアラスカン・マラミュートである。

 寒冷地に強い犬とは言え相当の忍耐と愛情が必要だ。愛犬のおかげで飼い主は重度の凍傷になることなく、両者とも山岳救助隊に救助された。

 男性は、「犬が奇跡を起こしてくれた」と愛犬を称えた。『The Guardian』などが伝えている。

雪山でハイキング中に滑落した男性 1月2日、クロアチアのアドリア海沿岸に沿ったヴェレビト山地に、愛犬のアラスカン・マラミュートのノース(生後8か月)を連れて友人2人とハイキングに出かけたグレガ・ブルキッチさんは、150メートルほどの斜面を滑り落ち、足のかかとを骨折し、身動きできない状態に陥った。この時愛犬のノースも共に滑落した。

 友人2人は、すぐに救助を要請したが、グレガさんが落ちた場所は標高も高い上に雪深く、倒木や氷などがあり地滑りの危険性もある。約30人の山岳救助隊が駆け付けるも、救助活動は難航した。

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13 sati spašavanja unesrećenog planinara - Velebit救助が来るまで13時間飼い主を温め続けた犬 雪山の遭難で危険なのはその寒さだ。グレガさんの体温は急速に下降していく。しかし、その危機を救ったのは、ノースだった。

 ノースは、グレガさんの体の上に乗り、体を丸めるようにして寄り添い、飼い主の体を13時間にわたって温め続けたのだ。 飼い主も犬も無事救助される 滑落から13時間後、ついにグレガさんは山岳救助隊に救助された。

 ノースがずっと温め続けてくれたおかげで、重度の低体温症になるのを防ぐことができただけでなく、命そのものも救われたグレガさんは、後日地元メディアでこのように話した。
救助されるまでの1分1秒は、とても長く感じました。愛犬は、まさに私にとっての奇跡です。
 クロアチア山岳救助隊のFacebookには、救助時に担架に乗せられたグレガさんと、彼の傍にしっかりと寄り添うノースの写真がシェアされている。 幸いにもノースに怪我はなかったようだ。

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冬のハイキングには注意が必要と山岳救助隊が呼びかける 山岳救助隊は、「人間と犬の友情と愛には、境界はありません。」と、飼い主を守ろうとしたノースへの称賛の言葉を寄せた。

 その一方で、グレガさんが厳しい状況で助かったことはまさに奇跡であるとして、「特別な登山用具を必要とする冬のハイキングは控えるようにしてください。あなたの愛犬が必ず助けてくれるとは限りません。犬の安全の為にも犬を連れて行かないようにしてください」と警告を促している。  アラスカン・マラミュートはその名の通りアラスカを原産とする北方の大型犬だ。寒冷地に強く、筋肉質の四肢は強靭で持久力があり、極地での長時間に及ぶ犬ぞりなどに使用されている。

 性格は穏やかで愛情深く、人に対する親和性に優れており、忠実で献身的なコンパニオン・ドッグとなる資格を十分に備えている。

written by Scarlet / edited by parumo

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