ニューヨーカーに希望を与えたフクロウ、フラコの完全な検死結果が発表され衝撃の事実が明らかに
在りし日のフラコ / image credit:Instagram@davidlei

 2023年2月にニューヨーク、セントラルパーク動物園から脱走した、ユーラシアワシミミズクのフラコは、今年2月、ビルに衝突して死亡した。

 野生では生きられないといわれていたフラコだが、自力で狩りを覚え、たくましく自由に生きるその姿に多くのニューヨーカーが希望を見出していただけに、町全体が悲しみに包まれた。

 直接の死因は衝突の衝撃による急性外傷だが、窓と衝突する前から行動に異常が見られたことから、衝突を引き起こした要因が他にあるのでは?と解剖検査が進められていた。

 その検査結果が先ほど発表されたのだが、フラコは生命に関わる重大な病気を患っていたことがわかったそうだ。さらに殺鼠剤を口にしたことも判明した。

フラコはハトヘルペスウイルスに感染していた フラコの遺体からは、ハトヘルペスウイルス「CoHV-1(Columbid alphaherpesvirus 1)」が検出された。おそらくは狩りで仕留めたハトから感染したと考えられている。

 ハトヘルペスウイルスは、ミミズクやハヤブサのような猛禽類にとっては危険なもので、感染した獲物を食べてしまうと感染し、体のさまざまな部分に障害が出る。肝臓や脾臓が壊死し、死亡することもある。

 野生動物保護協会によると、ウイルスに感染したフラコは、「脾臓・肝臓・消化管・骨髄・脳など、多数の臓器に重大な組織損傷と炎症」が見られたという。[画像を見る] 4種類の殺鼠剤も検出 またウイルス以外にも、フラコの体からは4種類の殺鼠剤が検出されている。

 ニューヨークの地下鉄に乗ったことがある人ならわかるように、殺鼠剤は街のいたるところに仕掛けられており、フラコはこれを食べたネズミを食べてしまったようだ。

 さらに殺虫剤「ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)」の分解産物であるDDEも微量だが検出されている。[画像を見る] ビルに衝突した理由はウイルスと殺鼠剤の影響の可能性が高い フラコの直接の死因はビルとの衝突による怪我かもしれない。

 だが、そもそも衝突したのは、ウイルスと殺鼠剤の影響でフラコが混乱していたことが関係する可能性があると、野生動物保護協会は指摘する。

 また、もしビルに衝突していなくても、これらの要因により衰弱してやがては死んでいたとも考えられるそうだ。

 ニューヨーカーから愛されたミミズクの死は、「野生の鳥が、特に都市環境において直面する危険」を浮き彫りにしていると、野生動物保護協会は述べている。  フラコは2023年2月2日、何者かによってマンハッタン動物園の囲いが破壊されたことで脱走した当時13歳のユーラシアワシミミズクだ。

 小さな時から動物園で育っていたため野生では生きられないだろうと考えられていたが、持ち前の狩猟本能が芽生え、自力で狩りの仕方を習得していった

 動物園に戻そうと何度か捕獲も試みられたが、賢いフラコが罠にかかることはなかった。以降1年間、マンハッタンの大都会で自由を満喫し、2024年2月23日、ビルの窓に激突しこの世を去った。

 多くのニューヨーカーはフラコの良く止まっていた木に花束や贈り物を捧げ、その死を惜しみ、追悼した

References:Central Park Zoo Releases Postmortem Testing Results for Flaco, the Eurasian Eagle Owl > Newsroom / written by hiroching / edited by / parumo

追記(2024/03/31)誤字を訂正して再送します。

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