2026年5月25日夜、オーストラリア・シドニーで開催中のイベントで、大規模なドローントラブルが発生した。
89機のドローンが制御を失って編隊を崩し、海面へ次々と落下したのである。
運営側は「予期しない無線周波数環境の変化」が起きたと説明しているが、その原因についてはまだ調査中である。
ショーの最中に突然ドローンが落下を始める
この日、ダーリングハーバーのコックルベイでは、オーストラリア史上最大規模のドローンショーと謳われた「スターバウンド(Star-Bound)」が開催されていた。
スターバウンドは光・音楽・アートの祭典「Vivid Sydney[https://www.vividsydney.com/]」の人気プログラムのひとつで、約1000機のドローンを使用。イギリスのドローン演出会社「SKYMAGIC[https://skymagic.show/]」が運営を担当していた。
事故が発生したのは、5月25日19時30分ごろ。ショー開始直後から、一部のドローンが突然編隊から外れ、コックルベイ周辺へ落下し始めたのだ。
最終的に落下・不時着したドローンは89機。そのうち83機は海へ落下し、6機は海沿いの遊歩道周辺へ落ちたとされている。
現場を写した映像では、編隊の一角が突然崩れ、光るドローンが水面へ吸い込まれるように落下していく様子が確認できる。
公式によると、今回のショーは「生命 → 自然 → 宇宙 → ビッグバン」といったテーマで行われる予定だったという。
映像を見ると、その一番最初のDNAを模した演出の段階で、突然ドローンの編隊が崩れ始めたようだ。
まさかのリアルビッグバン!
「予期せぬ周波数の変化」が原因
Vivid Sydney側は、この事故が発生した後、同日21時30分に予定されていた2回目の公演を中止。
さらに翌26日と27日に予定されていた「Star-Bound」の公演も、すべて中止することを発表した。
Vivid Sydneyを運営するニューサウスウェールズ州政府観光局のカレン・ジョーンズCEOは、次のような声明を発表した。
ご期待に沿えず、また参加者の皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。
次回のドローンショーは日曜夜に予定されていますが、必ず開催されるとは保証できません。今回の評価結果次第です
事故原因について、SKYMAGIC社は「予期しない無線周波数環境の変化」が発生し、ドローン群の位置精度が損なわれた」と述べている。
同社の運営・制作責任者であるディファン・リース氏は、次のように説明する。
この異常により、一部ドローンの位置精度が損なわれ、フェイルセーフ機能が作動しました。機体が安全境界の外へ出ることはありませんでした。
専門オペレーターが技術的問題を確認し、標準的な安全手順に従ってショーを安全に中止する判断を行いました。公共の安全とセキュリティは、引き続き私たちの最優先事項です
故意による妨害やハッキングが行われたのでは?という声に対し、ジョーンズCEOは、初期調査の時点でその兆候は確認されていないと説明した。
昨夜の初期評価を進める中で、その可能性についても慎重に確認しました。しかし、故意の干渉は確認されていません
実際の映像はこちら。DNAが形を失い、ドローンの編隊が崩れて、次々と水面に落ちていく様子がわかると思う。
立ち入り禁止区域外へ落下した疑い
目撃者の1人は、ドローンがマリーナへ墜落し、海沿いにいた作業員たちの近くまで落ちて来る様子を見たと語っている。
最初はすべて正常に見えました。でも最初の映像が表示された直後、コックルベイ南側でドローンが海へ落ち始めたんです。そこから、次々と連鎖的に故障が広がっていきました。
ドローンは明らかに飛行区域外にいたように見えました。人の上を飛んだり、人に近づいたりしてはいけないはずなのに、私のそばの数m以内に落ちてきたんです
また、別の目撃者は、15~20m離れた場所でも衝突音が聞こえていたと話す。
激突する音はかなり大きかったです。コンクリートの桟橋にぶつかって、粉々に砕ける音まではっきり聞こえました
だが運営側は、指定された飛行区域外にドローンが着陸したという情報は、現在のところ把握していないと述べている。
ジョーンズCEOも、ドローンは万一不具合が生じた場合、ショーのために設けられた立ち入り禁止区域内に落下するように設計されていると話す。
オーストラリア運輸安全局は、既にこの事故の報告を受けており、現在詳細な情報を収集しているとのこと。
相次ぐドローンショーの事故
同様のドローンショーでの事故は、これまでにも何度か発生している。2021年には中国河南省で、約200機のドローンが空から落下する騒ぎがあった。
また2023年にはオーストラリアのメルボルンで、400機以上のドローンが川へ落下するという事故が起こっている。
さらに2025年にも、中国湖南省で花火を搭載したドローンが落下。
今回の事故を受けて、ネットではさまざまなコメントが寄せられていた。
- 誰かがGPS信号を妨害して、海へ墜落させたってことだろ。もしたった1人でこんなことができるなら、しばらく公共ドローンショーなんて無理かもしれないな
- GPSなしだと、ドローンは本当に何もわからなくなる。気圧計で大まかな高度は取れるし、下向きカメラで速度くらいは読める。でもGPS信号がないと、ドローンはかなりアホになるんだよね
- 防衛関係で働いてる友人に聞いたら、「ジャミングされたように見える」って言ってた。ドローンがXY座標を維持したまま、ゆっくり地面へ降りてる感じだったし、高高度側の機体は影響を受けていなかった。港のどこかに妨害装置を持ったヤツがいた可能性もある
- 単純な事故の可能性もあるよ。大規模イベントの無線周波数調整って本当に大変で、うっかり他へ干渉してしまうことも珍しくない。もちろん妨害の可能性もあるけど、位置情報喪失時のルーチンが作動しただけかもしれないし、基地局との通信断でも同じことは起きる。都市環境って無線が飛び交いまくってるからな
- マジで、こういうテクノロジーが地球を汚しまくってるな
- 言いたいことはわかるけど、ドローンショーって大気汚染する花火の代替でもあるし、ペットを怯えさせないし、負傷事故も減らせるんだよ
- こういうのって、花火より環境汚染が少ないって話じゃなかった?
- 海に落ちなければな
- 自分このショー撮影してた。友達と、「これ演出だと思った」って話してたよ。
何が起きてるのか全然わからなかった- 海へ落ちた機体、全部回収できたとは思えないな
- 公式発表は見てないけど、SNSで「ダイバーが回収してる、それも契約内容に含まれてる」って読んだ。それなら少し安心だな。全部見つかるといいんだけど
今後の大規模ドローンショーの開催に影響も
実はVivid Sydneyのドローンショーは、2025年も開催が予定されていたが、「安全対策コストと群衆管理」の問題を懸念して、中止された経緯がある。
鳴り物入りで「復活」を謳った今回の開催で、しょっぱなからこのような不具合が起こってしまったことは、州観光局にとっても大きな誤算だったと言えるだろう。
夜空を彩る新しいエンターテインメントとして急速に広がるドローンショーだが、その裏では電波環境や測位精度、安全区域、フェイルセーフ制御など、かなり複雑な技術管理が求められている。
今回の事故は単なる機材トラブルとしてだけではなく、「大型ドローンショーを、都市部でどう安全運用するか」という問題にもつながりそうだ。











