『『能面女子の花子さん』他』(織田 涼 他)
2016年4月22日、講談社にて第1回4誌合同(「Kiss」「BE・LOVE」「ハツキス」「ITAN」)編集部主催の新人賞授賞式が行われました。
上記講談社女性コミック4誌による新人漫画賞『オトナ少女漫画大賞』には、初開催としては異例の105作の応募がありました。
授賞式は講談社第四事業局の嘉悦局長による挨拶でスタート。
「電子書籍の売り上げが紙を上回っている雑誌もあり、ここ数年で状況はどんどん変わってきています。デジタル、映像化、そして世界を見越していろいろな発想で漫画を描いていってもらいたい」と、嘉悦局長は熱意のこもった言葉で漫画業界の第一線に飛び出す皆さんを激励しました。
さらに「Kiss」「ハツキス」の鈴木編集長が受賞パーティーでの挨拶にかえて話したのは《載せたくなる作品》について。
「受賞された皆さんはひとりひとりが異なる強みをお持ちです。ストーリーを描く力、ハッとするような場面を描く力、魅力的な人物を描く力など、今回評価されたポイントをぐっと前に出したような“あなたの武器”が盛り込まれた作品を待っています。今後の「Kiss」「BE・LOVE」の成功は皆さんにかかっています」と会場の受賞者の顔を、期待を込め見つめていました。 「BE・LOVE」「ITAN」の岩間編集長は「自分の好みに反するものでも食わず嫌いをせず、皆さんにはいろいろなものに触れて、読んで、雑食で進んで欲しいと思っています。そして書店さん、スポーツ、音楽といった“ライブ感”を感じられる場所に実際に足を運んでみてください。
続いて行われたのは各受賞者によるスピーチ。
オトナ少女漫画大賞『サイソウラヴァーズ』江唯みじ子さんは「他誌でデビューするも連載を勝ち取ることができず焦りを感じていた時、『オトナ少女漫画大賞』に出会いました。大賞に選んでいただき、本当に感謝しています。今後はこの賞に恥じぬよう精進してまいります」とコメント。念願の連載に向けて力強く決意表明をしていました。予想もつかない展開で選考委員の度肝を抜いた注目作『サイソウラヴァーズ』は5月25日発売の「Kiss」7月号から連載スタートです。
●東村アキコ賞 『鉱石乙女』 元田可奈子
東村先生評「少女漫画でしか描けない感性が光っていてトキメキました!」
ITAN32号(6月7日発売)に掲載。
「6歳の頃からの夢だった漫画家になることができました。今後は人の心に響く漫画を描いて、胸を張って職業欄に『漫画家』と書けるようになりたいです」
●末次由紀賞 『ひとを編むひと』 あべまりな
末次先生評「感性をつぶさず物語に乗せている繊細さは少女漫画そのもの」
ハツキス5月号(4月13日発売)でデビュー!!
「まさか自分が賞をもらえるとは思ってもみなかったのですごくうれしいです。これからは私の漫画を好きと言ってくれる人のために描いていきたいです」
●小川彌生賞&雲田はるこ賞 『運命線でダンス』 原 夏見
小川先生評「絵の力で印象的なシーンを見せる、という意識を強く感じ、それがしっかり出来ている作品でした」
雲田先生評「黒-トーン-白のバランスが美しくて、可憐です。生半可なセンスでは作れない画面」
ハツキス5月号(4月13日発売)でデビュー!!
「最終選考で意見が分かれているとうかがっていたので、自分はラッキーだと思っています。
●特別賞 『悪魔は××しない』 ほしのもも
岩間編集長評「悪魔というよく見る題材でありながら、人間を描こうという意気込みを感じ読ませる内容でした」
ITAN33号(8月5日発売)に掲載決定!
「働きながら同人誌を描きつつ2年ほど前から投稿をしていました。今日がスタートという新たな気持ちでがんばります」
式典では「第77回BE・LOVE漫画大賞」、「第11回スーパーキャラクターコミック大賞」、「モーニング・ツー×ITAN 即日新人賞 その4」、「2014年度KissIN年間審査員賞」の授賞式も同時開催。すでに漫画家としての一歩を歩み始めた先生が思いを語りました。
「ITAN」で『能面女子の花子さん』を連載している織田涼先生は「同人誌やWEBなど数ある媒体の中で、雑誌で描く意味を毎月締め切りがくるたびに考えています。自問自答しながらこれからも漫画を描いていきたいです」と述べ、漫画への真摯な姿勢に会場の空気が引き締まる場面も。デビュー作が「ハツキス」に掲載されたばかりの福丸やすこさんは「30歳を過ぎてから漫画を描き始めた自分が、今こうして漫画家としてこの場にいるのが不思議」と語り、言葉にならない幸せを噛みしめていました。授賞式直前まで下描きをしていたというたまいずみ先生は「昨年8月に賞を受賞し、10月の連載開始から今日まであっという間だった」とか。待望の初コミックス『マコちゃん、さ』が5月6日に発売され、今後ますますの活躍が期待されます。
第2回の開催も決定した「オトナ少女漫画大賞」。それ以外にも新人賞や持ち込みなど、「Kiss」、「BE・LOVE」「ハツキス」、「ITAN」各誌では新たな才能への門を常に開いています。
【受賞者一覧】(敬称略)
第1回オトナ少女漫画大賞
●大賞
『イライラ虫の闊歩』 江唯(えゆい)みじ子
●東村アキコ賞
『鉱石乙女』 元田可奈子
●末次由紀賞
『ひとを編むひと』 あべまりな
●小川彌生賞&雲田はるこ賞
『運命線でダンス』 原 夏見
●特別賞
『悪魔は××しない』 ほしのもも
●第77回BE・LOVE漫画大賞佳作
『うしろの正面』 岡野秋生
●第11回スーパーキャラクターコミック大賞優秀賞
『能面女子の花子さん』 織田 涼
●モーニング・ツー×ITAN 即日新人賞 その4 ITAN大賞
『マコちゃん、さ』 たまいずみ
●第1回ハツキス新人漫画賞大賞
『ファムファタルと朝食を』藤沢もやし
●2014年度KissIN年間審査員賞・ヤマザキマリ賞受賞
『昭和キャラメル日記』 福丸やすこ
◎レビュアー紹介
■松澤夏織
ライター。漫画やアニメのインタビュー・構成を中心に活動。
◎今回ご紹介した本
2016年4月22日、講談社にて第1回4誌合同(「Kiss」「BE・LOVE」「ハツキス」「ITAN」)編集部主催の新人賞授賞式が行われました。
上記講談社女性コミック4誌による新人漫画賞『オトナ少女漫画大賞』には、初開催としては異例の105作の応募がありました。
その中で第1回の大賞を受賞したのは江唯みじ子さんの『サイソウラヴァーズ』(『イライラ虫の闊歩』より改題)。審査委員をつとめた東村アキコ先生、末次由紀先生、小川彌生先生、雲田はるこ先生各賞の受賞者も決定し、5名のデビューが決定となりました。その他、各編集部主催の漫画賞などの受賞式も並行して行なわれました。
授賞式は講談社第四事業局の嘉悦局長による挨拶でスタート。
「電子書籍の売り上げが紙を上回っている雑誌もあり、ここ数年で状況はどんどん変わってきています。デジタル、映像化、そして世界を見越していろいろな発想で漫画を描いていってもらいたい」と、嘉悦局長は熱意のこもった言葉で漫画業界の第一線に飛び出す皆さんを激励しました。
さらに「Kiss」「ハツキス」の鈴木編集長が受賞パーティーでの挨拶にかえて話したのは《載せたくなる作品》について。
「受賞された皆さんはひとりひとりが異なる強みをお持ちです。ストーリーを描く力、ハッとするような場面を描く力、魅力的な人物を描く力など、今回評価されたポイントをぐっと前に出したような“あなたの武器”が盛り込まれた作品を待っています。今後の「Kiss」「BE・LOVE」の成功は皆さんにかかっています」と会場の受賞者の顔を、期待を込め見つめていました。 「BE・LOVE」「ITAN」の岩間編集長は「自分の好みに反するものでも食わず嫌いをせず、皆さんにはいろいろなものに触れて、読んで、雑食で進んで欲しいと思っています。そして書店さん、スポーツ、音楽といった“ライブ感”を感じられる場所に実際に足を運んでみてください。
お客さんがいるところに行って肌で感じたことは絶対肥やしになりますよ」とインプットの大切さについて語りました。
続いて行われたのは各受賞者によるスピーチ。
オトナ少女漫画大賞『サイソウラヴァーズ』江唯みじ子さんは「他誌でデビューするも連載を勝ち取ることができず焦りを感じていた時、『オトナ少女漫画大賞』に出会いました。大賞に選んでいただき、本当に感謝しています。今後はこの賞に恥じぬよう精進してまいります」とコメント。念願の連載に向けて力強く決意表明をしていました。予想もつかない展開で選考委員の度肝を抜いた注目作『サイソウラヴァーズ』は5月25日発売の「Kiss」7月号から連載スタートです。
●東村アキコ賞 『鉱石乙女』 元田可奈子
東村先生評「少女漫画でしか描けない感性が光っていてトキメキました!」
ITAN32号(6月7日発売)に掲載。
「6歳の頃からの夢だった漫画家になることができました。今後は人の心に響く漫画を描いて、胸を張って職業欄に『漫画家』と書けるようになりたいです」
●末次由紀賞 『ひとを編むひと』 あべまりな
末次先生評「感性をつぶさず物語に乗せている繊細さは少女漫画そのもの」
ハツキス5月号(4月13日発売)でデビュー!!
「まさか自分が賞をもらえるとは思ってもみなかったのですごくうれしいです。これからは私の漫画を好きと言ってくれる人のために描いていきたいです」
●小川彌生賞&雲田はるこ賞 『運命線でダンス』 原 夏見
小川先生評「絵の力で印象的なシーンを見せる、という意識を強く感じ、それがしっかり出来ている作品でした」
雲田先生評「黒-トーン-白のバランスが美しくて、可憐です。生半可なセンスでは作れない画面」
ハツキス5月号(4月13日発売)でデビュー!!
「最終選考で意見が分かれているとうかがっていたので、自分はラッキーだと思っています。
今後は少女漫画界にちょっとパンチのある作品を投じていきたいです」
●特別賞 『悪魔は××しない』 ほしのもも
岩間編集長評「悪魔というよく見る題材でありながら、人間を描こうという意気込みを感じ読ませる内容でした」
ITAN33号(8月5日発売)に掲載決定!
「働きながら同人誌を描きつつ2年ほど前から投稿をしていました。今日がスタートという新たな気持ちでがんばります」
式典では「第77回BE・LOVE漫画大賞」、「第11回スーパーキャラクターコミック大賞」、「モーニング・ツー×ITAN 即日新人賞 その4」、「2014年度KissIN年間審査員賞」の授賞式も同時開催。すでに漫画家としての一歩を歩み始めた先生が思いを語りました。
「ITAN」で『能面女子の花子さん』を連載している織田涼先生は「同人誌やWEBなど数ある媒体の中で、雑誌で描く意味を毎月締め切りがくるたびに考えています。自問自答しながらこれからも漫画を描いていきたいです」と述べ、漫画への真摯な姿勢に会場の空気が引き締まる場面も。デビュー作が「ハツキス」に掲載されたばかりの福丸やすこさんは「30歳を過ぎてから漫画を描き始めた自分が、今こうして漫画家としてこの場にいるのが不思議」と語り、言葉にならない幸せを噛みしめていました。授賞式直前まで下描きをしていたというたまいずみ先生は「昨年8月に賞を受賞し、10月の連載開始から今日まであっという間だった」とか。待望の初コミックス『マコちゃん、さ』が5月6日に発売され、今後ますますの活躍が期待されます。
第2回の開催も決定した「オトナ少女漫画大賞」。それ以外にも新人賞や持ち込みなど、「Kiss」、「BE・LOVE」「ハツキス」、「ITAN」各誌では新たな才能への門を常に開いています。
【受賞者一覧】(敬称略)
第1回オトナ少女漫画大賞
●大賞
『イライラ虫の闊歩』 江唯(えゆい)みじ子
●東村アキコ賞
『鉱石乙女』 元田可奈子
●末次由紀賞
『ひとを編むひと』 あべまりな
●小川彌生賞&雲田はるこ賞
『運命線でダンス』 原 夏見
●特別賞
『悪魔は××しない』 ほしのもも
●第77回BE・LOVE漫画大賞佳作
『うしろの正面』 岡野秋生
●第11回スーパーキャラクターコミック大賞優秀賞
『能面女子の花子さん』 織田 涼
●モーニング・ツー×ITAN 即日新人賞 その4 ITAN大賞
『マコちゃん、さ』 たまいずみ
●第1回ハツキス新人漫画賞大賞
『ファムファタルと朝食を』藤沢もやし
●2014年度KissIN年間審査員賞・ヤマザキマリ賞受賞
『昭和キャラメル日記』 福丸やすこ
◎レビュアー紹介
■松澤夏織
ライター。漫画やアニメのインタビュー・構成を中心に活動。
片道25km圏内ならロードバイクで移動する体力自慢。漫画はなんでも美味しくいただける雑食系。
◎今回ご紹介した本
- 著者名:織田 涼 他
- 初版:2016年4月7日
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