毎年夏に繰り広げられる、日本テレビ系フジテレビ系の超長時間テレビ対決。フジテレビは今年、『武器はテレビ。

SMAP×FNS 27時間テレビ』と題し、国民的アイドル・SMAPをメインMCに起用。オープニングの「生前葬」から「解散」をテーマにしたドラマなどタブーに果敢に挑み、瞬間最高視聴率は23.8%を記録する大成功を収めた。

 特に大きな話題を集めたのは、元メンバー森且行からの手紙だ。1996年、人気が急上昇中だったにもかかわらず、オートレーサーになるという夢をかなえるために脱退。その後、SMAPの過去映像を流す際には森の部分が不自然にカットされるなど、長年にわたりタブー扱いをされてきたが、近年は映像が解禁されるなどジャニーズ事務所側の対応も軟化。脱退から18年の月日を経て、手紙での"共演"を果たし、視聴者にも大きな感動を呼んだ。

 一方、日本テレビ系の夏の超長時間テレビといえば、言わずとしれた『24時間テレビ 愛は地球を救う』である。今年は関ジャニ∞がメインMCに起用されているが、実は関ジャニ∞にも脱退したメンバーがいることをご存じだろうか?

「関ジャニ∞(エイト)」と言いながらも、現メンバーは7人。かつて関ジャニ∞の8人目のメンバーだった人物こそ、現在もジャニーズ事務所に所属している内博貴である。

 関ジャニ∞の前身となったバラエティ番組『J3KANSAI』(関西テレビ)のレギュラーに名を連ね、03年にはNEWSのメンバーとして、錦戸亮とともに掛け持ちメンバーに選ばれた内。しかし、05年7月に『バレーボール 2005ワールドグランプリ』の中継で宮城県仙台市を訪れた際に、フジテレビの社員・アナウンサーと酒を飲み、宮城県警に補導されるという不祥事を起こした。当時内は18歳で、未成年の飲酒を重く見たジャニーズ事務所は、無期限の謹慎を下す。
その後、ジャニーズの研修生に降格し、関ジャニ∞とNEWSからは事実上の脱退という処置をとられることになったのだ。

 グループ存続を揺るがす大事件であったが、関ジャニ∞メンバーの絆は強く、ジャニーズ公式携帯サイト「ジャニーズウェブ」内で、"縦読み"を使って内へエールを送ったり、大倉忠義は「8→1」と内のことを思わせる暗号をコラムに毎回付けたり、内のソロコンサートを観覧するメンバーの姿が目撃されたりと交流は続いていた。05年の関ジャニ∞の東京ドーム公演では、観覧に来ていた内を錦戸亮がステージに押し上げ、8人で手をつなぐという奇跡的な瞬間もあった。

 しかし、ジャニー喜多川社長は内について「元のグループに戻ることはない」と明言しており、11年には内が自身のコンサートのMCで過去の不祥事を改めて謝罪した上で、「関ジャニ∞に戻ってほしいって書かれたファンレターをもらうこともあるけど、でも、オレはもう後ろを振り返りたくないんですよ。振り返ったら前に進めない」と、グループとは別の道を歩むことを宣言。

 12年には、関ジャニ∞のデビュー8周年を記念したイベントのグッズパンフレットの中で、改めてメンバーが内脱退当時のことを語った。「正直、最初オレは戻ってくると思ってたし、だから内の位置は空けたままにして、オレらは死ぬほど頑張らないと」(大倉忠義)、「"戻ってきやすい状況に持っていかないと"って思った」(村上信五)と当初は内が復帰することを考えて体制を整えていたが、内の決別宣言もあってか、「今は内もソロで頑張ってるわけやから...それはほんまによかったと思うよ」(横山裕)と生きる道が変わってしまった現実を受け入れているような一文も目につく。

 関ジャニ∞は今年デビュー10周年となる節目の年でもある。1月にインタビューを受けた渋谷すばるが、メンバー一人ひとりへの想いを語り、その最後に、「......あと、内、頑張れよ!」とエールを送り、ファンの涙を誘った。

 現在、ドラマや舞台を中心に俳優として活動している内が関ジャニ∞に戻る可能性は現実的ではない。だが、内も研修生から努力を重ね、事務所内で独自のポジションを築くまでに成長した。SMAPの『27時間テレビ』ではないが、10周年の節目に関ジャニ∞と内が同じステージに立つことを願うファンも少なくないだろう。
今年の『24時間テレビ』のテーマは、「小さなキセキ、大きなキセキ」。ファンにとっての「キセキ」は起こるのだろうか。
(江崎理生)

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