お菓子のパッケージが白黒に

 ナフサが不足する“ナフサショック”。お菓子のパッケージを白黒にするなど企業は異例の対応に追われていますが、政府は「ナフサは足りている」と説明しています。

 製造・流通の現場の実感と政府の説明には「ずれ」があるようにも見えますが、専門家によると「ナフサは足りているとも言えるし、足りていないとも言える」とのこと。

 これは一体どういうことなのか?石油化学コンサルタント・柳本浩希氏に聞きました。

「ナフサショック」食品・住宅など様々な業界に影響

【ナフサショック】「足りているが足りていない」の謎を解く…流...の画像はこちら >>

 化学繊維やプラスチックなどに使われる液体の石油製品ナフサ。

 石油化学工業協会によると、日本では約40%を国内で精製、約40%を中東から輸入していますが、ホルムズ海峡封鎖や原油価格高騰によりナフサが手に入らない=ナフサショックが起きています。

 これに伴い、様々な業界に影響が…

 ▼菓子:「印刷インク」の調達不安⇒パッケージ変更
 ▼食品:「容器」「フィルム」などの包装資材が高騰⇒値上げ
 ▼住宅:「断熱材」などの資材が値上げ・受注停止⇒引き渡し遅れ

 マイホームを建てようにも、ナフサで作られる建築資材が入ってこないため、杭を打った状態で工事が止まっている…というような事態に直面している人もいるということです(MBS前田アナウンサーの知人の話)。

製造業の約3割に調達リスクも…政府「供給足りているが“目詰まり”」

【ナフサショック】「足りているが足りていない」の謎を解く…流通経路の“目詰まり”とは?7月ごろ『不足感解消』も『価格高騰』か【専門家解説】
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 帝国データバンクの調べによると、製造業全体の約3割にあたる4万7000社がナフサの調達リスクに直面していて、うち9割は中小企業だということです。

 一方、「供給は足りているが“目詰まり”が起きている」というのが政府の見解。高市総理は「原油・ナフサ由来の化学製品の供給は年を越えて継続できる」と話しています。

 「ナフサが足りない、調達できない」という製造業の“現場感覚”とずれているようにも見えますが…

「日本はお金を積んで調達できている」

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 ナフサは足りているのか、足りていないのか?石油化学コンサルタント・柳本浩希氏は「いずれも事実」と指摘。

 ナフサ高騰により海外では需要が減少しているため、買える国が限定されていて、日本はお金を積んで調達できていると言います。これが「足りている」の根拠です。

どこで?なぜ?ナフサ目詰まりの正体

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 では、「足りていない」のはなぜか?ナフサは以下のような流通経路を辿りますが…

<ナフサの流通経路>
 ↓タンカー
 ↓石油精製プラント
 ↓ナフサ分解プラント
 ↓商社・問屋
 ↓加工メーカー
 ×←―――――――ここで目詰まり
 ↓商社・問屋
 ↓末端業者・消費者

 タンカーから加工メーカーに至るまでの<上流>では、価格転嫁が済んでいて流通が滞っておらず「足りている」状態。

 一方、それ以降の<下流>、商社・問屋や末端業者・消費者のところにまでは値上げの波が及びきっていない=価格転嫁が済んでおらず、在庫を先に流せないという状況。

 こうした『価格のギャップ』による目詰まりが、「足りていない」現象の正体だと言います。

 また、柳本氏によると、この“目詰まり”以外の理由もあるようで…

ガソリンにブレンドしている?

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 ナフサから作られる塗料・インク・シンナーなどの原料となる「C4」「トルエン」「キシレン」が、ガソリンにブレンドするために使われる傾向にあると柳本氏は指摘します。

 これらの原料はそもそも生産量が少ない“副産物”ですが、ガソリン価格が高騰している中、石油会社などがより利益の出るガソリン向けに使っているというのです。

目詰まり解消「7月ごろでは」しかし同時に価格も…

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 ナフサの“目詰まり”解消は「7月ごろではないか」と柳本氏は指摘。これは「末端業者にまで価格転嫁が行きわたるのが7月ごろ」という推測に基づいていて、不足感が無くなるものの、それに伴い価格も上がるのではないかということです。

 国産ナフサの価格(1キロリットルあたり)は今年1月~3月は6万5700円でしたが、4月~6月は12万円に倍増するというのが柳本氏の予想です。

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 “目詰まり”への対策としてナフサに直接補助金を出すのは難しく、転売対策や倒産リスクを防ぐための中小企業への補助金など、政府の支援が必要だといいます。

石油化学製品は「当たり前に供給されるものではない」

 柳本氏は「石油化学製品は当たり前に(蛇口をひねれば)供給されるものではないという認識を持つべき」と話します。

 (石油化学コンサルタント 柳本浩希氏)
「高騰は世界的な流れ。残念ながら受け入れるしかないが、買い占めは控えてほしい。ナフサは容易に替えがきくものではない」

(2026年5月20日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)

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