大学の入学試験で「生成AIを使ってもよい」―。そう言われたら、あなたはどう思いますか?

ずるい、当たり前、ラッキー…様々な意見があるかもしれません。



こうしたなか、まもなく出願が始まる大学入試の「総合型選抜」で、生成AIの利用を認めると決めた大学が出てきました。

一方で、これまでは事前提出だった志望理由書を「試験当日に現地で書かせる形式」に変更したという大学もあります。

“AI時代”を迎えるなか、今後入試の形はどのように変化していくのでしょうか。

『生成AI』利用できる入試とは?

大学入試に生成AIはアリ?ナシ?近畿大学情報学部の総合型選抜...の画像はこちら >>

生成AIの利用を認めると発表したのは、9月1日から出願が始まる近畿大学情報学部の総合型選抜入学試験です。

総合型選抜は、「AO入試」とも呼ばれ、志望理由書や小論文、面接などを通して、受験生の学習意欲や将来性などを総合的に評価します。

AIエンジニアなどの養成を目指す近畿大学情報学部の総合型選抜では、情報分野における能力やプログラミング経験がある人などを求めています。

『生成AI』使えるシーンは「自己PR動画」や「プレゼン準備」など

大学入試に生成AIはアリ?ナシ?近畿大学情報学部の総合型選抜では「利用認める」方針 専門家は「今後入試は二極化する」との見方 AI時代の入試のあり方とは
YOUTUBE「5分でわかる近大入試」より

選考は、
▼第1次審査は志望理由書や活動報告書、自己PR動画などの出願書類、
▼第2次審査はプレゼンテーションや面接によって行われ、

自己PR動画の制作やプレゼンテーションの準備で、構成を検討したり、スライドを作成したりする際に生成AIを使うことができます。

また生成AIの活用経験や工夫した点、そこから得た学びをアピールすることも認めるということです。

これまでは生成AIの活用について、利用方針を示してきませんでしたが、受験生から「生成AIを活用してシステムを開発した経験を示してもよいか」などの問い合わせが寄せられたことから、利用方針を明示することにしました。

文部科学省は「適切なルール等の策定を期待」

大学入試に生成AIはアリ?ナシ?近畿大学情報学部の総合型選抜では「利用認める」方針 専門家は「今後入試は二極化する」との見方 AI時代の入試のあり方とは
MBS

大学入試での生成AIの利用をめぐっては、文部科学省が24年8月に「各大学において適切なルール等が策定・運用されることが期待される」とする考え方を示したことをきっかけに、取り扱いについてのルールや考え方を示す大学が徐々に増えています。

しかし生成AIの利用を認める方針を発表しているのは、情報経営イノベーション専門職大学(iU)や流通経済大学など一部の大学に限られているのが現状です。

生成AIの利用認める大学は「まだめずらしい」と専門家

大学入試に生成AIはアリ?ナシ?近畿大学情報学部の総合型選抜では「利用認める」方針 専門家は「今後入試は二極化する」との見方 AI時代の入試のあり方とは
佐賀大学・西郡大教授(アドミッションセンター長)

大学入試改革に詳しい佐賀大学の西郡大教授(アドミッションセンター長)は、「大学は生成AIの使用の可否を明言するのではなく、『志願者本人が作成することを原則とする』という表現にとどめている場合が多い」と指摘。

そのうえで「学生や学部の数が多い総合大学で生成AIの利用を明示した大学はめずらしいのが現状だ」と話しました。

生成AIめぐり今後大学は二極化?

大学入試に生成AIはアリ?ナシ?近畿大学情報学部の総合型選抜では「利用認める」方針 専門家は「今後入試は二極化する」との見方 AI時代の入試のあり方とは
早稲田大学

一方早稲田大学国際教養学部のAO入試では、これまで事前提出していた「志望理由書」を、試験当日に大学キャンパス内の会場で書かせるようにしました。

加えて、与えられた資料を分析したうえで、自分の考えを表現する筆記試験も行う予定だということです。

MBSの取材に対し早稲田大学は、生成AI利用に対する対策かどうかについては「差し控える」としていますが、西郡教授は、今後は、生成AIの利用を前提に受験生を評価する大学と、現地で論文を書かせるなどAIを使わせない方法で選考を行う大学の二極化が進むのではないかとしています。

生成AI時代の入試…乗り越えるポイントは?

大学入試に生成AIはアリ?ナシ?近畿大学情報学部の総合型選抜では「利用認める」方針 専門家は「今後入試は二極化する」との見方 AI時代の入試のあり方とは
生成AIを活用する学生(提供:近畿大学)

そのうえで、生成AIの利用を事実上認める大学であっても、「提出書類の内容と本人の実力のギャップを確認するために面接などに力を入れるだろう」と指摘しています。

このため受験を考える生徒に対しては、「AIを活用して文章の推敲を重ねたり、示された情報源を自身で探求すればレポートの質をさらに高めることができる 」とし、適切な使い方で能力を向上させてほしいと呼びかけています。

編集部おすすめ