両親や親戚などの介護は、いずれ誰もが避けて通れなくなる問題です。

親の介護が必要になったことがきっかけで、中には仕事を辞める方もいらっしゃいます。

しかし、仕事を辞めてしまうと、自分たちの生活に対する不安が生じかねません。

そこで今回は介護休業と介護休暇の違いについて解説し、上手に介護と仕事の両立をする方法を解説していきます。

育児介護休業法の目的

介護休業も介護休暇も、要介護状態の家族がいる労働者が、家族の介護や世話をするために休暇を取得できる制度です。

どちらも育児介護・休業法で定められており、介護離職ゼロの取り組みの一環として実施されています。

育児・介護休業法とは、安心して仕事と家庭を両立できるように支援する法律で、子育てや介護などによって時間的な制約を抱えている時期の労働者を守り、長く働いてもらえるようにする目的があります。

制度として定められている要介護状態は、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のことを指します。

ここでいう「常時介護を必要とする状態」は以下のうち、2が2つまたは3が1つ以上該当し、その状態が継続すると認められることです。

介護休業と介護休暇の違いとは?気になる給付金や日数を解説の画像はこちら >>

(※1)「自分で可」には、福祉用具を使ったり、自分の手で支えて自分でできる場合も含む
(※2)「見守り等」とは、常時の付き添いの必要がある「見守り」や、認知症高齢者等の場合に必要な行為の「確認」、「指示」、「声かけ」等のこと
(※3)背もたれがあれば一人で座っていることができる場合も含む
(※4)動作を見守ることや、摂取する量の過小・過多の判断を支援する声かけを含む
(※5) 「自分や他人を傷つけることがときどきある」状態を含む
(※6)毎日の暮らしにおける活動に関して意思決定ができる能力
(※7)慣れ親しんだ日常生活に関する事項に関する意思決定はできるが、本人に関する重要な決定への合意等(ケアプランの作成への参加、治療方針への合意等)には、指示や支援を必要とすることをいう

介護保険証の提出や医師の診断書などを提出する必要はありません。

介護休暇と介護休業の違い

ここからは介護休暇と介護休業の違いについて解説します。

介護休暇と介護休業の違い 制度 介護休暇 介護休業 対象者 対象家族を介護する労働者
(日々雇用を除く) 日数 【対象家族1人】
年5日まで
【対象家族2人】
年10日まで 通算93日まで
(対象家族1人につき3回まで) 対象
家族 本人の父母、祖父母、兄妹姉妹、
配偶者の父母、子、孫 手続き 口頭でも可 書類提出

※労使協定を締結している場合は対象外となる場合あり

それぞれ見ていきましょう。

介護休暇とは

家族の介護や世話をするために数日間休暇を取得できる制度のことです。

対象となる家族は、本人の父母や祖父母、兄弟姉妹のほか、事実婚を含む配偶者とその父母、子や孫です。

介護休業と介護休暇の違いとは?気になる給付金や日数を解説
対象となる家族

取得できる日数は、以下の通りです。(1日または時間単位)

  • 対象家族が1人の場合:年5日まで
  • 対象家族が2人以上の場合:年に10日まで

介護休業取得の手続きは、口頭での申し出も可能となっています。書面の提出が必要なわけではありません。

書面で提出する場合は、社内で規定されている書面などを使用します。

対象となるのはすべての労働者ですが、労使協定を締結している場合は入社6ヵ月未満の労働者と1週間の所定労働日数が2日以下の労働者は対象外となります。

介護休業とは

介護休業は対象家族1人につき年3回まで、通算で93日まで取得できます。

対象となる家族は介護休暇と同じですが、手続き方法が異なります。介護休業を活用する場合には、休業開始予定日の2週間前までに書面などを事業主に提出する必要があるので注意してください。

提出する際の書面は社内で規定のものを使用するか、あるいは厚生労働省のホームページからダウンロードする必要があります。

介護休業の対象となるのは、日雇いを除くすべての労働者です。

パートやアルバイトなど期間を定めて雇用されている人の場合は、介護休業の取得予定日から起算して、93日を経過する日から6ヶ月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかではないことが条件になります。

また、労使協定を結んでいる場合には、「入社1年未満の労働者」は対象外です。

さらに、介護休業の場合、雇用保険の被保険者で一定の要件を満たしている人は、休業開始時の賃金の67%が、介護休業給付金として支給されます。

給付金の受給手続きをする際にはいくつか書類をあらかじめ用意しておかなければなりませんが、申請手続きは原則として事業主が行います。ただし、雇用保険の被保険者本人が行うことも可能です。

介護休業と介護休暇の違いとは?気になる給付金や日数を解説
介護休業は書面の提出が必要

ケアマネージャーを活用しよう

休暇が必要となっても、仕事の関係などで取得しづらい面もあるでしょう。

その場合は介護負担を減らすことを考えてみましょう。そこで活用したいのがケアマネージャーです。

ケアマネージャーは、在宅介護支援と施設のケアマネージャーの2種類があります。

ケアマネ 在宅介護支援 施設 所属 居宅介護支援事業所(ケアプランセンター)
  • 特別養護老人ホーム
  • 老人保健施設
  • 介護付き有料老人ホーム など
業務
  • 家族の介護負担軽減のためのサービス提案
  • 経済的負担を軽減する制度や介護保険制度の案内 など
利用者のケアプラン立案 など

介護休暇や介護休業等が必要になる多くの場合は、在宅介護者であるので、在宅介護支援のケアマネージャーが窓口になります。

ケアマネージャーをうまく活用することで、家族の介護負担を軽減し、不本意な介護離職を防げるかもしれません。

最近では、社員が介護しながら働けるようサポートする「ワークサポートケアマネジャー」が創設され、2022年に初めての研修が開催されました。

このような取り組みは、今後さらにニーズが高まっていくと考えられます。

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取得の際には相談窓口を活用

両親や親戚などの介護については、誰に相談して良いかわからず、1人で抱え込んでしまう方も多くいらっしゃいます。

前述のような居宅介護支援事業所だけでなく、地域包括支援センターや各市町村の介護保険の窓口でも介護に関する相談を受け付けていますので、悩むことがあれば気軽に活用してください。

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