「冷蔵庫」が、使う人の健康状態を表すバロメーターになるってご存じですか?「最近、家族の様子が少し変わった気がする」と感じたら、冷蔵庫をチェックしてみて。冷蔵庫の中身には、認知機能の衰えや心身の不調のサインが隠れていることがあります。
高齢者医療専門医の高瀬義昌さんに聞いた、冷蔵庫からわかる不調のサインをご紹介します!

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※この記事は雑誌『家の光』2025年10月号特集「暮らしが変わる! むだが減る! 冷蔵庫レボリューション」を一部抜粋・再編集して制作しています。

冷蔵庫からわかる「老い」と「不調」のサイン

自分ではなかなか気づけない、老いや不調のサイン。冷蔵庫の中身には、困り事や異変に気づくヒントが隠されています。高齢者医療の専門医・高瀬義昌さんに聞きました。

冷蔵庫は、判断力や意欲の低下、物忘れといった不調が現れやすい場所のひとつです。問診だけではわからない日常の様子を知るヒントになるため、訪問診療で高齢者の自宅に伺うさいは、かならず冷蔵庫の中を見せてもらいます。

一見、元気そうに見えても、冷蔵庫の中を見ると同じ物をたくさん買い込んでいたり、整理整頓がままならなくなっていたりする様子がみられたら、それは判断力や意欲の低下の現れかもしれません。
もっとも、こうした変化が見られたからといって、認知症だと決めつけるのは禁物です。他の病気や不調が原因の可能性もあるので、小さな変化を見逃さず、なるべく早めに専門機関に相談しましょう。

また、物忘れをはじめとする認知機能の低下は、自覚が難しいと言われています。違和感を覚えても、「年のせい」「疲れているから」と見逃してしまうからです。

日ごろから冷蔵庫の中を整理整頓し、まわりの人や自分自身が異変に気づきやすい状況をつくっておくのも自衛策のひとつ。
自覚が難しいからこそ、家族や身近な人、地域ぐるみの見守りとサポートがたいせつです。

それ、不調のサインかも?冷蔵庫のチェックポイントとは

冷蔵庫は使う人の健康状態を表すバロメーター。認知機能の衰えやうつ症状などの不調のサインも隠れています。家族や身近な人の冷蔵庫に変わった点がないかチェックしましょう。

【冷蔵庫の中に認知症のサインが!?】専門医が教える「老い」と「不調」を見抜く4つのチェックポイントとは?


□中身をチェック!
眼鏡や財布、その他の日用品など、本来冷蔵庫に入れるべきではないものが入っていたら、記憶力や判断力の低下が疑われます。加齢による自然な物忘れの場合もあるので、まずは頻度を確認し、かかりつけ医などに相談を。

□量をチェック!
冷蔵庫の中身が極端に少ないと、心身の不調をきっかけとする食欲不振や料理にたいする意欲が低下している可能性が。これらはうつ病や認知症の初期症状に多くみられます。

□期限をチェック!
賞味期限が切れた食材がいくつもある場合は認知機能低下のサインかも。カビや明らかな腐敗がみられる場合は、嗅覚が衰えている可能性もあります。

□台所まわりもチェック!
冷蔵庫の中だけでなく、台所まわりも意識的に確認しましょう。食器の洗い忘れや電子レンジで温めた物の取り出し忘れ、炊飯器のスイッチの切り忘れなど、今までスムーズにできていたことができない様子が頻繁にみられる場合は、認知症の初期症状の可能性も。


【冷蔵庫の中に認知症のサインが!?】専門医が教える「老い」と「不調」を見抜く4つのチェックポイントとは?


~まずは専門家に相談を~
身近な人の冷蔵庫の状態がチェックポイントに複数該当したり、頻繁に起きていたりする場合は、全国にある地域包括支援センターや認知症疾患医療センター、かかりつけ医などの専門家に相談しましょう。適切な医療の受診につながり、生活の混乱を防ぐことができます。

こんなとき、どうしたらいい?Q&A

【冷蔵庫の中に認知症のサインが!?】専門医が教える「老い」と「不調」を見抜く4つのチェックポイントとは?


Q.友人宅で冷蔵庫の異変に気づいてショック!家族でもないのでなにも言えず、だれに相談すればいいかわかりません。

A.前のページで紹介した「冷蔵庫のチェックポイント」にあるような認知症のサインがみられるようなら、まずは、お住まいの市区町村にある地域包括支援センターに連絡し、相談を。高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けるための”よろず相談窓口”でもあり、介護、福祉などそれぞれの分野の専門職員が配置されています。

Q.子どもが独立して夫婦2人暮らしになり、冷蔵庫を買い替えようと思っています。お勧めはありますか?

A.慣れたものを使うのがお勧めです。たとえば冷凍室と野菜室の位置はメーカーによって異なるので、買い替える場合はなるべく同じメーカーを選ぶなど、変化を最小限に抑えましょう。

Q.最近、食材や冷蔵庫の管理がしづらくなり、医師からは軽度の認知症の疑いがあると診断されました。このまま施設に入るしかないのでしょうか。

A.訪問介護や宅配弁当の利用など、在宅で過ごすためのさまざまな選択肢があります。介護のプロの力を借りながら家族とも相談し、自分のペースで暮らしを整えていくことがたいせつです。


家族やたいせつな人の”いつもと違う”を見逃さないで!

生活のさまざまな場面で、冷蔵庫と併せて見るべき「4つのポイント」
本人が気づけなくても、周囲の人なら「いっもと違う変化」に気づけるかもしれません。とくに注視すべき4つのポイントを紹介します。

Point-1 入浴
認知症やうつ病のサインとして、入浴を嫌がったり避けたりする行動がみられることがあります。無理強いはせず、まずは理由に耳を傾けましょう。

【冷蔵庫の中に認知症のサインが!?】専門医が教える「老い」と「不調」を見抜く4つのチェックポイントとは?


Point-2 服
高齢になると体温調節機能の低下や、体内の水分量の減少から、暑さや寒さを感じにくくなる傾向があります。認知症の初期症状としては、季節外れの服装をすることがあります。
また、判断力が低下することで身なりがだらしなくなったり、その人らしい格好をしなくなったりすることも。

Point-3 トイレ
トイレの失敗にはさまざな病気が隠れているおそれが。認知症の場合は尿(便)意を自覚できず、尿(便)失禁をしてしまうことも。「トイレに間に合わない」「汚れた下着を隠す」「昼夜を問わず何度もトイレに行きたがる」など、これまでと違う様子に気づいたら、早めにかかりつけ医や、認知症専門医に相談してください。

Point-4 財布の中身
認知機能が低下すると、判断や行動に時間がかかるようになります。財布がパンパンになるほど小銭がたまっていたら、計算や小銭のえり分けが苦手になっているサインかもしれません。


【冷蔵庫の中に認知症のサインが!?】専門医が教える「老い」と「不調」を見抜く4つのチェックポイントとは?



【冷蔵庫の中に認知症のサインが!?】専門医が教える「老い」と「不調」を見抜く4つのチェックポイントとは?
高瀬義昌さんたかせ・よしまさ/医学博士、認知症サポート医。東京都大田区で高齢者を中心とする訪問診療に取り組む「たかせクリニック」理事長。
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