車好き&新しいモノ好きの4人がEV(電気自動車)を試乗したあと、都内某所に集まりコーヒー片手に「実際どうだった?」と本音トーク。一般ドライバー目線で感じたリアルなメリット&デメリット、あーだこーだが止まらない。
▶︎それぞれの試乗レポもチェック!三浦理志さん編は
こちら藤井隆行さん編は
こちら鈴木真悟さん編は
こちら石村浩平さん編は
こちら モデル 三浦理志さん Age 51マーシーの愛称でお馴染みのオーシャンズ看板モデル。仕事にサーフィンにと毎日のように駆り出す愛車は現行モデルのランドクルーザー プラド。今回の企画でEVの知識が急上昇したとか。
ノンネイティブ デザイナー 藤井隆行さん Age 45タイカンやEQCなど、今回の4人の中では最も多様なEVへの試乗経験アリ。そのほかデザインやプロダクト全般に知見が深く、オーシャンズ人気連載「
私的傑作批評」でも毎号お世話になってます!
1980inc代表 鈴木真悟さん Age 41自身の生誕年にちなんだ名を冠したブランドを昨年ローンチ。サーフィンや格闘技を嗜むアクティブ派であり、週末は4歳男児の良きパパ。
以前、EVの購入を検討していたが……。
アイシャイン インターナショナル代表 石村浩平さん Age 45世界中の魅力的な商品を輸入・販売する会社を経営。普段は古くてデカい、EVとは真逆の車を相棒にゴルフ、キャンプ、サーフィンを楽しむ。EVはもとより最新機能のすごさに驚いたそう。
ガソリンと同じ気軽さでは給電できません
鈴木さんが乗った「プジョー e-208」。2020年のヨーロッパ カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したコンパクトハッチバック208のEVバージョン。日本にはeモデルがやや遅れて上陸したが、欧州では「パワー・オブ・チョイス」のコピーのもと、ガソリンか電気かを選べるよう同時開発された最初の車だ。
航続距離は380km(WLTCモード)。全長4095×全幅1745×全高 1445mm。398.9万円~。
鈴木 今回、プジョーのコンパクトカー、208のEV版を試乗しました。ちなみに普段はレンジローバーのヴェラールに乗っています。
三浦 僕はメルセデスのEQAを試乗。
普段はランドクルーザー プラド。
藤井 しかもディーゼルのプラドですよね。僕は愛車がディスカバリーで、試乗させてもらったのがアウディ e-トロンのクワトロ。
石村 試乗車が日産のリーフで、普段乗りがシボレー アストロです。
一同 おおーっ。
石村 化石みたいな車です(笑)。
藤井 ということは、普段はみんなボディサイズが大きくて排気量もそこそこあるガソリン車に乗っているってことだ。そんなエンジンで駆動する車から、電気でモーターを回して走る車に乗ってみて、どういうギャップがありました?
三浦 やっぱり静か。圧倒的に静粛性が高い。
鈴木 そこはもう、比べるまでもないですよね。スーッと走るちょっとした浮遊感が何とも言えない。
三浦さんが乗った「メルセデス・ベンツ EQA」。
EVオンリー化へと急速に舵を切る同社のピュアEV第2弾となるエントリーモデル。日本の道路事情にハマるコンパクトSUVとして人気のGLAがベースとなる。運転支援システムも洗練され、加減速の滑らかさは特に定評が高くガソリン車と同じような感覚で乗れる。航続距離は410km(WLTCモード)。全長4465×全幅1835×全高1625mm。640万円~。
石村 俺はひとつ、一週間試乗してみてこれさえあればという条件が見えてきました。
藤井 気になる言い回し(笑)。それは何?
石村 端的に言って、充電器ですね。充電器が家にあればEVはアリ。というか、最高なんじゃないかと。
鈴木 おお、いきなり結論めいた発言になりましたね。
石村 鈴木さんとふたりで一緒によくサーフィンに行っているんですけど、今回、俺が試乗したリーフにも同乗してもらったよね。
鈴木 はい。そこで肝を冷やした経験があって。
三浦 何々? そこ気になる。
鈴木 皆さんが乗ったモデルの航続距離表示って正確でしたか? というか、事前のカタログ掲載値どおりでした?今回高速道路で長距離ドライブしてみて、そこらへんに齟齬があった感覚があって。実際の表示よりも航続距離が短かったなって。
石村 行きは良かったんです。エンジン音がなくて快適だし、シフトチェンジのない滑らかな加速が気持ち良く、EVならではのドライブが楽しかった。それで調子に乗っちゃって、千葉からの帰り、海ほたるの手前でハッと気付いたときには電池残量が15%を切って、10%くらいになっていて……。
藤井 それはヤバい。
藤井さんが乗った「アウディ Eトロン 50 クワトロ」。ブランド初の市販EV。ベースグレードにあたる本モデルも日本発売がスタートしている。クワトロ、すなわち四輪駆動のSUVとなり、高速道路のカーブなどでは電子制御された前後独立モーターによる高い安定性を感じるはず。現在発売されているEVの中では大きめのサイズ感。航続距離は335km(WLTCモード)。全長4900×全幅1935×全高 1615mm。935万円~。
石村 メーカーによると、30%を切ったら充電してくださいとのことだったので。手前のパーキングにも充電スポットがあったけれど、海ほたるのほうが飲食店が充実していそうと判断して。
鈴木 でも海ほたるの手前で渋滞にハマって、そこでまたじわじわと減って。パニックになりましたよね。
石村 いざ海ほたるに着いてみたら、充電器は一台分しかないし、先約がいるし、思いどおりに事が運ばない。
三浦 急速充電器だと、基本的に一回30分で終了するじゃないですか。
石村 はい。先に充電してた人の表示を見るとあと20分ということだったので、軽く飯でも食べに行ってたら、戻ってきたときにはもう次の車が入っちゃってて(笑)。
三浦 あるあるー! すごいわかる!
鈴木 さらにもう30分待ちましたよね(笑)。で、結局その夜に予定していた大先輩との会食に遅刻しちゃいました。そうじゃなくても朝イチにサーフィンとかゴルフに行って、午後から仕事っていう日があると思うんですけど、そういうときに航続距離の不足や、充電待ちで時間を取られるパターンがしばしば起こるようなら、困りますよね。--{}--
航続距離400kmに「安心の壁」がある
三浦 都内近郊からの往復で遠出するとなると、航続距離が300km台だと確かにちょっと厳しい。街中の充電スタンドなどを観察していると、年配の方が比較的コンパクトなEVに乗っているというパターンが多い。近所での街乗りが多く、あまり遠出しないんじゃないかな。そういう充電の心配のない乗り方なら魅力的な選択肢だと思う。今回の企画の取材では地元の神奈川県・辻堂から片道180kmくらいの静岡県・静波まで行ってみたんだけど、実際に着いたら電池残量が半分以上なくなってた。
鈴木 単純計算すると、充電しないと帰れないですね。
三浦 そう。だから道の駅に急速充電器があったので、先客が終わるまで30分待ってから、自分たちも30分充電したんだけど、それじゃあ満充電にならないの。でも、次の充電待ちの車に譲らないといけない。なら今度はハンバーグ店の「さわやか」で晩飯がてら別の充電スポットを見つけて充電してました。
石村 さわやかのげんこつハンバーグ、ウマいっすよね。
三浦 会話が盛り上がって、近くのホテルにあった充電器になんだかんだ1時間くらいはつないでた。でも急速でなく普通充電だったから20km強しか増えてなくて、それを考えると遠出するときは気を使うね。
石村さんが乗った「ニッサン リーフ」。日本車のEV代表も登場来早10年以上が経過。現行は第2世代に当たり、62kWhの大容量バッテリーを搭載したe+なら航続距離は458㎞ (WLTCモード)、容量が大きければ相対的に充電速度も速まるため、週末ドライバーからも支持を集める。車から家へと給電できるV2Hに対応し、まさに「走る蓄電池」だ。全長4480×全幅1790×全高1540mm。332万6400円~。
藤井 会社の社長がテスラに乗っているんですけど、ロングレンジモデルだと実際の航続距離で500km前後乗れるから、片道200kmくらいのところは十分に往復できます。
鈴木 一気に実用的になりますね。
藤井 テスラは航続距離の表示も誤差が小さくて、低温の影響で電池性能が低下する冬場は何割か減った距離が表示されるし、運転手のクセだったり上り坂でのロスの反映もかなり正確。「表示の航続距離と、実際走れる距離が違う問題」はクリアしてるから、計画的に走れば大丈夫な気がする。
三浦 それか~。静岡行ったときも、御殿場のあたりが標高高いから。
藤井 急速充電に関しても、電池容量に対して残量が少ないときはスピードが速いんだけど、満充電に近くなると溜まり方が遅くなる。スマートフォンなど、ほかのリチウムイオン電池と一緒です。
石村 どおりで! 96%から先が全然充電されないなーと思ったんです。結局98%くらいで諦めてました。
鈴木 海ほたるでのトラウマで、事あるごとに満タンにしたくなってるんですよね(笑)。
石村 300kmって表示したら、ちゃんと300km走ってほしい。
三浦 乗っているうちに、つまり放充電を繰り返しているうちに電池が多少劣化して、容量がちょっとずつ低下していくとも言われてるよね。
藤井 社長のテスラも、新車時は満充電で500kmだったのが、2年経ってだいたい470kmになっているそうです。中編に続く