「世界最高峰! 日本デニムの今」とは……アウトドアギアは、研ぎ澄まされた機能性こそ正義だ。ウェアも同様。
何せ相手は大自然。思いもよらぬアクシデントも起こりうるなかで、絶妙な色落ちで魅せるセルビッジデニムにロマンを感じるような余裕はない。と思いきや、日本を代表するアウトドアブランドはラインナップにデニムを招き入れた。その「なぜ」を紐解く。
実はキャンプシーンでも多いデニムラバー
今や、アウトドア由来のアイテムが街でも重宝されている。しかし、最近ではその逆の現象も起きているようだ。今さら言うまでもないが、デニムはもともとワーカーたちのユニフォーム。
それがやがて街に浸透し、ファッションアイテムとして愛されるようになる。
そしてマニアな世界も構築され、よりホンモノを求めるのが正義とされてきた。そんなデニムを「キャンプシーンでもはきたい」という声が多く寄せられ、ラインナップにデニムを招き入れたのが、1958年創業のスノーピークだ。2014年からアパレル事業を展開したスノーピークは、早いタイミングからラインナップにデニムを加えている。そして、「ワークウェアのような動きやすさやモノを入れられるポケット、フックが欲しい」「色落ちを楽しみたいので街、山関係なく毎日着たい」といったファンの要望を受け、日常から素直にはけるスタンダードな5ポケットタイプや、キャンプでも有益な機能性に優れる一本など、日々アップデートを繰り返し、デニム愛に溢れるキャンパーたちの期待に応えてきた。デニムの本流とは違うところで、圧倒的な進化を遂げてきたのだ。
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常識を覆す“TAKIBI Denimシリーズ”
「タキビデニムパンツ」2万8600円/スノーピーク 0120-010-660
「焚き火の際も安心してはきたい」という声が寄せられるようになったのは最近の話ではない。デニム生地はタフさがウリだが、とはいえベースはコットン。デニム特有の風合いを残しながら飛び火への耐性も備えるとなると、実現にはかなりハードルが高いように思える。ただ、これまでも世界を楽しませ、満足させるギアを生み出してきたスノーピークだ。ハードルが高ければ高いほど、彼らのクラフツマンシップに火が点かないはずはなく、トライ&エラーを繰り返しながらTAKIBI Denimシリーズを完成させる。こちらはその最新作。追い求めたのは、キャンプでも必要な耐久性やディテールと、単なるアウトドア専用にとどまらない普段着としても着られる一本だ。
生地はこれまでの14オンスからさらに軽量化が図られた12.7オンスの左綾織りのデニムを採用。コットン糸に難燃素材の糸を絶妙なバランスで交織し、万が一飛び火の被害にあっても燃え広がらないよう安全性を考慮している。それでいて生地の綾目が立ち、使い込んでいくうちにソフトな風合いになっていくのだ。
もちろん、各縫製部分を環縫いや裏チェーンステッチの巻き縫いで仕上げているため、屈強さはしっかりキープ。摩擦による負荷がかかりやすいヒップや膝部分は、裏から当て布補強を施して耐久性も高めた。また、ヒップ周りやワタリ幅を、ポケット内にモノを入れても窮屈にならないように設定。
サイドに加えたハンマーループも、いざハンマーを掛けたときに体を動かしても揺れを最小限にとどめるべく高めの位置に設置している。
細部への配慮やこだわりはジャパンメイドの為せる技
使用シーンをとことんシビアに想定し、ストレスを感じさせない一本へと昇華させた同シリーズ。その使い勝手はもはやキャンパーだけでなく、タウンユースを基本とする大人にとっても欠かせないアイテムとなっている。
それを支えているのが日本のファクトリーだ。基本的に、日常から負荷のかかりやすい部分を製作する際は、必然的に生地の厚みが増し、縫製の難易度も上がる。しかし、デニムの縫い方をよく心得ている国内ファクトリーの職人のスキルをもってすれば、高い水準をキープすることができる。
結果、常に安定したクオリティコントロールが可能というわけだ。しかも、上糸と下糸の縫製のテンションを、スノーピークの意図する絶妙な風合いでセッティング。結果、きれいな凹凸が生まれ、はくほどに豊かな表情を描き出す。 スノーピークでは、企画スタッフも実際に普段の生活やキャンプで着用し、利点と改善点を明確にしながら次なる製作に挑んでいるという。そうして生まれた同ブランドのデニムを、「アウトドアブランドのデニムだから」「キャンプをしないから」と素通りするのはもったいない。デニムが好きなら、一度足を通すことで、きっと新たな発見を得られるに違いない。
「世界最高峰! 日本デニムの今」とは……「デニムと言えばアメリカ」。かつてのヴィンテージブームを経験した人たちはそんな先入観を持ちがち。しかし今、世界を見てみると、プロはこう口を揃える。「デニムと言えば日本」。なんで? 方々から探る、世界最高峰、日本デニムの今。
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