「Running Up-Date」とは…
恵比寿にあるヘアサロン「ブロッコリー」のオーナー藤川英樹さんは、前編でご紹介した通り、ドレッドヘアーをなびかせて走る美容師トレイルランナーだ。
ギア選びの審美眼も実に個性的で、特に欠かせないのはヘッドバンド。
ウェアは派手に、ヘッドバンドは地味に
愛用しているのはスウェーデンのアウトドアメーカー、フーディニのチューブタイプ。
「フーディニは着用感が最高。締め付けがキツくなく、そのうえで頭の上までしっかり覆ってぴったりフィットしてくれます。素材のバリエーション違いでで何モデルもラインナップされているから、家には全部で5個あります。今日はまだ肌寒いのでメリノウール製のものを。ヘアスタイルが派手だから、ベーシックな黒がちょうどいいんですよね」。
自身のサロンと同じビルにフーディニの輸入代理店であるフルマークスが運営する直営ショップがあるため、ついつい増えてしまうという。
藤川さんのコーディネイトはファッション性を意識してセレクトしている。ストリートブランドも手掛けるデザイナーの手によるエルドレッソのロンTは、袖部分に大きく“F○CK PRIDE”とプリントされているのがミソ。
ファッション的にもトレンドのアイテムだから「走り終わったあとそのまま呑みに行ける」のだ。
小物選びにも一家言あり
藤川さんは100kmを超えるトレイルのロングレースを主戦場にしているので、何の対策もしないまま長時間を走ると股部分がウェアの生地と擦れて炎症を起こしてしまうことがある。そこで予防として使っているのがワセリンのような保護クリームと、通気性に優れたアンダーウェアだ。
また、長距離を走るという視点はシューズ選びにも表れている。
「最近はトポのシューズをよく履いています。これも輸入代理店の東京ショールームが近所にあって、その前を覗いていたら気になっちゃって。特徴はソールの頑丈さ。路面の突き上げからプロテクトしてくれるので、長距離派としてはありがたいんです。つま先側が幅広な点も僕の足に合っています」。
ちなみに合わせているソックスは、知る人ぞ知るサンフランシスコ・ランニング・カンパニーというショップのもの。
最新サプリメントでケアにも気を使う
大麻草から抽出されるCBDオイルは、アメリカを中心に話題のサプリメントだ。CBDとはカンナビジオールと呼ばれる成分で、大麻(ヘンプ)に含まれるカンナビノイドと呼ばれる化合物の一種のこと。CBDに幻覚作用はなく、リラックスを促し免疫力を高め、炎症を抑えるなど、薬理効果の期待できる成分として注目を集めているのだ。
「オイルタイプを舌の下に垂らして服用しています。摂取すると心拍数が下がると聞いて興味がわきました。服用するようになってから実際によく寝られるようになりましたね。アップルウォッチで睡眠スコアをモニタリングしていますが、そのスコアも明らかに良くなってきています」。
「もうひとつおすすめしたいのが『センズ』というナイスなネーミングのサプリメントです。体に欠かせないアミノさんを16種類も含んだ高山植物の紅景天(こうけいてん)が主成分。
旺盛な物欲から逃れるために山を走り始めた藤川さんらしく、人とは違って半歩先行くセレクトが大いに参考になる。また、ギアやケアアイテムの選び方次第でパフォーマンスが変わるトレイルランニングだからこその面白さもある。トレイルランナーにギア好きが多いのか、ギア好きだからトレイルランナーになるのか。ランニングのおもしろがり方は本当に人それぞれだ。
「Running Up-Date」
ランニングブームもひと昔まえ。
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RUNNER’S FILE 09氏名:藤川英樹
年齢:38歳(1981年生まれ)
仕事:美容室「ブロッコリー」経営
走る頻度:毎日、朝晩どちらかで1~1.5時間ほど
記録:砂漠マラソン完走、100マイルトレイルレース上位入賞など
礒村真介(100miler)=取材・文 小澤達也=写真