「昔、僕が見た映画の男たちは傘を差さなかった」。
キャプテンサンシャインのデザイナー、児島晋輔さんは、そのスタイルを今に蘇らせようとする。
歴史が教えてくれる、幸福の「傘不要論」!?
「キャプテンサンシャイン × ゴールドウイン」のレインコート
リップストップのポリエステルシェルのハーフコート。ボリューム感のあるAラインは、キャプテンサンシャインでは頻出する定番のシルエット。国産アウトドアブランドの雄の力を借りて完成した一着だ。そして、ゴールドウインのインラインで展開される同カラーのゴアテックスのキャップを被れば、傘不要スタイルの完成。
「正直、雨が嫌いなんですよ」。
「というか、傘を差すのが嫌なんです。持ってるだけでも煩わしいし、電車に乗ったり人混みを歩いたりするにも、傘ってとにかくストレスになりますよね」。
とはいえ、不意の悪天候はやはり避けられない。そこで児島さんにヒントをくれたのが、自身のルーツでもあるクラシックな男性像だった。
「古い洋画はいつもインスピレーション源になっています。
マーロン・ブランド、ポール・ニューマンなどもその印象が強く、ハンフリー・ボガートの映画『カサブランカ』には豪雨のシーンがありました。自分が好きなそういう時代のスタイルに、今の技術を取り入れてみようと思ったんです」。
そんな発想から生まれたのが、このコートというワケだ。
「僕も雨の日にはレインハットを被ることが多いので、フードはなし。
機能面については、ゴアテックス プロを使った第1弾とは異なり、今回は裏地を用いず透湿性を高めた2層構造のゴアテックス パックライトを選んでいる。
「春夏なので、軽さにこだわったのがその理由。畳んで持ち運べて気軽に羽織れ、雨がやんだら水をパッと払ってまた畳める。街着にも旅にも、こういうレインウェアがあると便利ですよね」。
もちろん、その知恵は日常生活にも活きてくる。
銀幕のダンディズムに倣って、コートと帽子で雨避けを。“水も滴るいい男”なんて昔の褒め言葉があるが、現代に置き換えてみてもなるほど、一理ある。このコートは、なんだかそんな気持ちにさせてくれる。
児島晋輔さん Age 44
1976年、兵庫県出身。ファッション誌の編集者を経て服作りをスタートし、2013年にキャプテンサンシャインを設立。
山本雄生=写真 松平浩市=スタイリング 今野 壘=文