「それまで2人だけでボソボソ喋って、他人と話してるのを見たことない、不気味な存在だったんですよ。今のダウンタウンからは想像もつかないぐらい暗かった。でも初めて漫才見て、『あ、紳助・竜介よりオモロい。すごいなこいつら』と一発でファンになりました。
僕は紳竜さんが好きだったから、番組をチェックして『今日何のネタするかな?』とワクワクしてたんですよ。それと同じように『早く松本・浜田(2人の当時のコンビ名)の新ネタが見たい。ネタ何本持ってるんやろう』と気になるようになりました」
ライバル視するはずの同期にそう思わせた当時の2人。今でこそ、「松本=ボケ、浜田=ツッコミ」という不動のスタイルが出来上がっているが、当時はネタの4分の1ほどは浜田がボケていたという。
「たとえば浜田が『オレ、暴走族に入っててん。驚くなよ』と暴走族の名前でボケて、『なんやねん、それ』で松本が上を行くボケをかぶせるような……。あとヤンキーのウンコ座りでタバコ吸った形のまま歩きよるんです。
前田は「『こんな暗いヤツらがどこで練習してるんだろう?』と思うぐらい当時からうまかった」と思っていたそうだが、ある時、2人がエントリーした漫才大会(第3回今宮子供えびすマンザイ新人コンクール)に行ったところ、境内の端っこで練習している2人の姿を目撃。「あ、ちゃんと練習すんねや」とびっくりしたそうだ。
◆『クイック・ジャパン』vol.104(10月12日発売/太田出版)