国が生活保護費の基準額を引き下げたのは生存権を保障する憲法や生活保護法に違反するとして、那覇市内の受給者9人(うち3人は死去)が国の決定に伴って保護費を減額した市を相手に減額処分を取り消すよう求めた訴訟の判決で、那覇地裁(福渡裕貴裁判長)は14日、原告側の訴えをいずれも退けた。原告側は控訴する方針。
 同様の訴訟は29都道府県で起こされ、一審判決は23件目。受給者側の一審勝訴は12件あり、11月30日の名古屋高裁判決では原告側の請求を退けた一審名古屋地裁判決を取り消し、初めて国の賠償責任も認めた。 争点は、引き下げ判断を巡る厚生労働相の裁量権の範囲や方法の妥当性。厚労省は物価下落などを理由に、2013~15年の3年間で食費などに充てる生活扶助の基準額を平均6・5%、最大で10%引き下げた。原告側はその判断に「裁量権の逸脱や乱用がある」と主張していた。 那覇地裁への訴訟提起は14年10月で、原告は当時30~70代の男女9人。
訴訟では、引き下げの根拠とされる物価の下落率が全国指数と大きく異なるなど沖縄の特性も訴えた。
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