■被害件数は15件→48件に
沖縄県警によると、2023年の特殊詐欺の被害は48件で総額は約2億円。2018~22年は15~25件、被害額は約2000万~9270万円で推移したのと比べると、23年は近年になく被害が多い年となった。
■「自分は大丈夫」なはずが不意打ちに
そもそも、人はなぜだまされるのか。泊教授が挙げたのは、誰しもが「正常性バイアス」を持っているからだ。「自分だけは大丈夫」「詐欺に遭うはずはない」と思って、心の平常を保とうとする心理を指す。このバイアスのせいで、急に電話がかかってきたり、ショートメッセージやダイレクトメールが届いたりといった「不意打ち」を食らうと、相手を疑うという気持ちが働きにくくなるという。
人間は不意打ちを食らうと無防備になり、相手の言うことをうのみにしやすくなる。そこで「今すぐ金を振り込まないと逮捕される」「裁判になる」と恐怖心をあおられると、しばしばパニック状態に陥る。その状態で「今、手続きすれば間に合う」などと解決策を提示されると、「この人の言うことを聞けばきっと助かる」「早く解決したい」とすがる気持ちから、だまされてしまうのだという。
■「甘い話」にもわなが
「甘い話」も同様だ。「高配当は確実です」などと金融商品の魅力を吹聴されると、「得したい」という欲望があおられ、心のハードルが下がる。その状態で「絶対にもうかります」「チャンスは今回限り。