「石油化学のコメ」と呼ばれるナフサ不足の影響がじわじわ広がっている。
 カルビーは、おなじみのスナック菓子「ポテトチップス」のパッケージを、カラー刷りから白黒に変更すると発表した。

 包装用の印刷インキの調達が不安定になっているためだ。
 生活に欠かせない、家庭用指定ごみ袋不足も目立ってきた。
 豊見城市はごみ出しルールを変更し、市販の透明袋も使えるようにした。与那原町は「もやす・もやさない」の印字をなくし、袋の色で区別する方法へと切り替えた。
 苦肉の策とはいえ、パッケージを白黒にすることで他社商品より目立たなくなる不安もあるだろう。市販のごみ袋を使うことで自治体のごみ処理費用に影響が生じるのではないか。
 さらに建設資材の供給が滞る建設業界からは「影響はコロナ禍以上」と悲鳴が上がっている。ナフサ不足は企業経営にも影を落とし始めている。
 原油を精製して作るナフサは、プラスチックや印刷インキなどの原料となる。プラスチックは、レジ袋や電気製品の部品など身近な品物に広く使われている。
 ナフサの調達は、中東を中心とした海外が6割、国産が4割。国産とはいえ、もととなる原油のほとんどは中東頼みだ。

 アメリカとイスラエルによるイラン攻撃で中東からの輸入が難しくなり、不安と混乱が広がっている。このままナフサ不足が続き価格が高騰すれば、関連商品の値上げは避けられない。
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 飲食料品メーカーなどが加盟する国民生活産業・消費者団体連合会の先月の調査で、ナフサ不安が続いた場合、7割を超える企業が製品価格を引き上げると回答した。
 4月に3千品目近い飲食料品が値上げされたばかりだ。電気・ガス料金も6月以降、原油価格の急騰が響いてくるという。
 消費者は「値上げの春」に続く「値上げの夏」に直面することになる。特に低所得層が受ける打撃は大きい。
 高市早苗首相は12日の閣僚会議で、印刷インキの原料は「前年実績での供給が可能であることを確認できている」と主張した。
 ナフサ由来の化学製品については、中東以外からの代替調達で年を越えて供給を継続できるとの説明を繰り返している。
 この「危機感のズレ」は何なのか。
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 現状は買いだめなどにより流通に偏りが生じているというのが政府の見方だが、少々楽観的過ぎないか。
 生産側のサプライチェーンも流通の仕組みも非常に複雑。
政府の言う目詰まりはどこで起きているのか。「足りている」と繰り返すだけでは、消費者の不安は解消されない。
 現実問題として、現場は供給不足と価格高騰に苦しんでいる。
 国民生活への深刻な影響を回避するためにも、もっと具体的に対策を語る必要がある。 
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