【Day1】
初日である4月8日には04 Limited Sazabys、キュウソネコカミ、See You Smile、My Hair Is Bad、Age Factory、クリープハイプ、SHANK、ウルフルズ、FOMARE、SUPER BEAVER、KUZIRAが出演。YON FESの、フェスシーンの新たな幕開けを筋斗雲に乗ってフロアに飛び込んで「予感」から「確信」に変えたキュウソネコカミ、ポップパンク真正面からぶん投げることでフロアを笑顔でいっぱいにしたSee You Smile、不安と焦燥の中でじゃあ何が好きで何が大切なのかを再確認させられたMy Hair is Bad、鼓動を高め心を走らせる轟音を優しく熱く鳴らしたAge Factory、こんがらがった愛の糸も意図も、解けないままその言葉と音でえぐるクリープハイプ、導火線に火を付けたと思った瞬間に大爆発させるようなバチバチのライブを見せたYON FES皆勤賞SHANK、とにかく笑えればって願い続けてきたこの数年を前を向いて胸をはってパワフル魂で笑い飛ばす勇気をくれたウルフルズ、当たり前だった毎日を当たり前に抱きしめることを思い出させてくれたFOMARE、心のずっと奥の方まで潜り込んできて一人一人に独りじゃないと叫んだSUPER BEAVER、憧れと敬意を大爆殺させて、初出演にしてLAND STAGEトリを飾った海を泳ぐKUZIRAと、計10バンドが04 Limited Sazabysに思いを繋ぐ。
YON FES初日、04 Limited Sazabysが1曲目に選んだのは「Every」だった。メロディを以って光を放つと宣言するこの曲は、この数年間をもがきながらそれでも前に進もうとしてきた04 Limited Sazabysと僕たちの「同志」としての決意の歌だ。「Keep going」だってそう。誰も置いていかず、一緒に前に進むための約束をYON FESでしっかり果たす4人の姿に感情的にならない訳がない。
容赦ない決断を迫られ続けた中で僕らが手に入れた新しい価値観。
【Day2】
YON FES 2日目、4月9日は04 Limited Sazabys、KEYTALK、TENDOUJI、緑黄色社会、Paledusk、HEY-SMITH、dustbox、Dragon Ash、Wienners、フレデリック、Makiが出演。4月にも関わらずカラダが夏になるほどの灼熱のサマーアンセムを乱射したKEYTALK、ローファイもハイファイも押し込んで丸呑みして吐き出して天気すら操つるTENDOUJI、メラメラとポップに今を鳴らしたフォーリミと同郷の緑黄色社会、メタルコアをダンスミュージックに昇華させフロアに地獄絵図を作るべくYON FESに降臨した悪魔超人群Paledusk、スカパンクの持つメッセージや希望や現実やそして何より楽しさを体現してYON FESを盛り上げたHEY-SMITH、雲ひとつない空から降り注ぐような奇跡のメロディーを炸裂させDragon Ashのステージ袖では興奮してコーラも爆発させたdustbox、時の流れが激しくとも、その音楽で蹴散らし、YON FESに堂々と始まりの合図を鳴らしたDragon Ash、直射日光と音楽のビームを味方につけて愛で音楽を連打したWienners、踊ってない夜があったら教えて欲しいくらいモリコロパークを巨大なディスコにしたフレデリック、沢山の地元バンドの期待と思いを背負ってLAND STAGEトリを努めたMakiと、計10バンドの熱演を受けSKY STAGEに登場したのは04 Limited Sazabys。
YON FESを以てしてフェスカルチャーの新たな扉が開いたことを確信したこの日の04 Limited Sazabysのライブ。僕らの日々を返せってずっと思っていたけど、取り戻したり取り返したりするんじゃなくて新しく作るのがこれからのやり方だ。「swim」でフロアが泳いでいる光景を観て、もうそのまま好きな方へ泳いでいこうと何度も思った。もがいたって沈んだって息継ぎして泳いでいけばいい。大事なのは前に進むことを諦めないことだ。今ならうっかり大気圏を突破した流星群とだって一緒に泳げる気がする。「fade」「fiction」とライブハウスシーン、フェスシーン、そして僕らの日常が日常としてドクドク鼓動が鳴り始めていることを実感するナンバーが続く。この数年で生活のサイクルも遊び方も変わったと思うけど、例え世界が終わったとしてもライブハウスでいつだって僕らを待っている。もしまだ少し怖いなって思うなら、それも全然否定しないからファインダーを覗いてみて欲しい。そこには飛び出して踏み出した04 Limited Sazabysが待っているから。ライブハウスで待っているから。ここからはもう舞ってる未来しかないから。
Dragon AshのKjとWiennersの玉屋2060%を迎えてのDragon Ashカヴァー「crush the window」は目の前で伝説の瞬間を観ているようだった。GENとKjが向かい合って歌う姿にはカルチャーを作り続ける男達の絆を感じたし、ハンドマイクで歌うGENの代わりにベースを弾く玉屋2060%の存在感の大きさにも胸がパチパチするほど騒いでしまった。04 Limited SazabysとDragon AshとWienners。世代も活動する場も昔だったらみんな違ったのかもしれない。だけど2011年があって、2016年があって、コロナ禍を経て、大切な人を失って、そうやって少しずつ共有するものがあって、いつの間にかみんな仲間になっていた。そのひとつの形が今日の「crush the window」なのだ。連動したプラスとマイナス、ブレンドしたガイダンス、そうやって作り上げた光あるステージ。やっぱり今年のYON FESで何かが大きく動いたのは錯覚なんかじゃなかった。
それが如実に表れていたのが「hello」だ。YON FESで聴く「hello」は本当に特別で、これまでも何度もこの曲でドラマが生まれてきたけれど、今日、本当に久しぶりに完全版「hello」を聴けた気がする。コロナ禍での「hello」は音源に近いアレンジでの披露が多かった印象だけど、この日の「hello」はこの数年、ずっと聴きたかった「hello」だった。これは憶測だけど、メンバーの表情を見ている限り、演奏しながらきっと阿吽の呼吸でアレンジというか曲の尺が変わったんだと思う。そうさせたのはきっとYON FESに集まった沢山の人の声だと思うし、見守る沢山の仲間の顔だと思うし、何より04 Limited Sazabysがそうしたくなったんじゃないかと、肌にこびりついてる感触がそうさせたんじゃないかと想像する。やっぱり「Feel」でも前に進むことを力強く宣言し、アンコールではバンドにとって幼馴染のような「Buster call」、そして「message」で大団円を迎えた。
この2日間でGENが何度も言っていた前に進むということ。その為には一度壊してまた作り直すことが必要だったんだと思う。それがあの2年間だし、その過程の去年のYON FESだし、作り直して新たに前に進んだ今年のYON FESなんだと思う。11月には武道館2DAYS公演の開催も決定した04 Limited Sazabys。これからまた予想もつかない何かが起きるかもしれない。日常が、当たり前が、奪われるようなこともあるかもしれない。だけどありふれた安心を、ありふれた感動を、その度に04 Limited Sazabysが僕らに与えてくれるはずだ。そして僕らも04 Limited Sazabysに与えていきたい。だって僕らはYON FES観戦同志だから。ここからが反撃開始だ。行こう。
photo by ヤオタケシ、藤井拓、日吉”JP”純平、ヤマダマサヒロ、かい
text by 柴山順次(2YOU MAGAZINE)